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特養で看取りの医師を失い、茫然と立ちすくむ~介護体験談 Rさん2

2016年10月3日

96歳で大腿骨骨折をし、病院から特別養護老人ホーム(特養)に戻ると、食事がほとんどとれなくなっていた義母。死に向かっていることを認めざるを得なかったR・Mさんは、看取りの医師と契約をします。しかし、契約のその日、どうしてもサインをしたくないと思う展開……。苦渋の選択の後、どう行動したのでしょうか? 今回は看取りの医師についてお伝えします。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

「じゃ、やめましょう」と看取りの医師に言われて

image001看取りの医師との契約は、まず義母を診察するところから始まると聞いていました。その診察で、義母には看取りが近いなんてことは悟ってほしくない。だから、自分が義母に付き添い、気配を感じさせないようにするつもりで待っていました。しかし、医師がなかなか来ない。ようやく誰かがと思ったら、名乗りもせずに「どうもどうも」と言いながらいきなり義母に近づきます。その人は、義母に断りもせずに背中越しに聴診器を入れて2秒ほどで帰っていきました。もしかして、あの人が看取りの医師? 詳しい診察はいつするんだろう、と思っていると、特養の生活相談員から、「これから契約です」と、会議室に招き入れられました。

 

そこには、さきほどの初老の男性が座っていました。やっぱり、あの人が医師だったんだ。私が座るなり、「じゃ、契約に入りましょう」とぶっきらぼうに言いました。「あの、診察はいつするんですか?」と聞くと、「さっき、しましたよ」と。あの2秒が?

 

そして、自分はクリニックを経営している医師であること、看取りはするけれど、自分のクリニックの営業が第一なので、時間によっては最大12時間、死亡診断を待ってもらうこと、夜半の診察をしないことなどの条件を言い始めました。
なにそれ……。じゃ、亡くなって12時間放っておかれることもあるのでしょうか? 要するに、クリニックの医師がお金のためにバイトをしているに過ぎない? この人はいったいどういう人? そういえば、まだ名乗ってもいない――。

 

私は思い切って言いました。「先生のお名前をまだうかがっていません」。
すると、投げるように名刺を渡してきた……と思ったら、それは医師が経営しているというクリニックの、義母の診察券でした。知らぬまに診察券まで作っているのか。

 

私が不快に思っているのを察し、向こうも憤慨して言いました。「いやなんですか? いやならやめてもいいんですよ」。やめたらどうなる? わからない。でもこの人はいけすかない。押し黙っていたら、「じゃ、やめましょう。どうなっても知りませんよ!」と捨て台詞を残して、医師は部屋から出て行ってしまいました。

 

ドアがバタンと閉まってから、私は口を開きました。「あの人は、死にゆく人をどう思っているんでしょうか?」。ホームの職員もみな、私の怒りを感じて下を向いています。「あの医師が自分でやめるって言うなら、代わりのドクターは用意してもらえるんですか?」

 

すると、看護師が言いました。「特養の場合、決まった医師を変更すると、特養は関知できません。自由契約になり、おそらく診察料も自費になります」。なにそれ? 向こうがやめるといったのに、医師を自分で探せ、それは自費だと? 私の怒りは爆発しました。
「看取りって、そんなものですか!? 病院でなく、住み慣れてお世話になったこのホームで最期を穏やかに迎えさせていただきたいと思っていました。みなさんにも、それがいいと言っていただきました。けれど、それは、あの誠意のない医師に義母の最期を任せないと、できないのですか? そんなんじゃ、義母がかわいそうじゃないですか!」。大人げないと思いながら、最後は泣きながら叫んでいました。

 

新しい医師は「尊厳を守ることが大切」と

image003あとから、知り合いのケアマネジャーさんに、「制度上の問題で、しかたがないのよ。でもそれを知りながら、自分からやめるっていう医師はしょうもないわね。患者へのいじめに等しいわ」と言われました。そう、しょうもないからこの人が嫌だと思ったのです。でも、四の五の言っている暇はありません。インターネットで近隣の在宅診療をしている医師を何人か見つけ、その中で一番誠実そうなメッセージをホームページに載せている医師のところに電話をかけて懇願しようと考えました。相談すると、ケアマネジャーは太鼓判を押しました。「あのドクターは評判いいわよ、きっと受けてくださるわよ」

 

改めて、新しい看取りの医師と契約を結ぶことになりました。特養の同じ会議室で、医師が開口一番言ったのは、「看取りの医師が一番大切にすべきことは、患者さんの尊厳を守ることです」。ああ、このドクターにしてよかった。心から思いました。そして、3人の医師で24時間体制の診療をしているから、何かあれば何時であろうと連絡してほしい、と言い残して帰っていったのです。

 

月に2回の診療のときは、義母にあれこれと話しかけ、元来陽気な母の元気を引きだしてくれました。「正月を楽しく迎えましょうね、その次は節分だ。豆はいくつ食べるの? ちょっと人より多めだから、がんばって食べてくださいよ」と、毎月、生きていく目標もさりげなく与えてくれました。3月の義母の誕生日には、誕生日カードも送ってくれました。誕生日カードがこんなにうれしいなんて。このカードが宝物のように思えました。

 

次回は、さらに弱っていく義母の様子をお伝えします。

 

*写真はイメージです。

 

<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

プロフィール

R・Mさん(女性 57歳)団体職員
埼玉県在住。会社員の夫、ふたりの娘がいる。20年以上同居していた義母は10年半前、84歳のときにかかとを骨折。以後認知症となり、4年間の自宅介護の後にグループホームに入居。3年前からは、家からほど近い特別養護老人ホームに転居、ここで義母を看取ることとなる。

 

介護体験談はこちらの記事も参考に

私が思う「良い老人ホーム」より
●デザイナー・東海大学講師/山崎 正人さん
●モデル・タレント・ビーズ手芸家/秋川 リサさん
●フリーアナウンサー/町 亞聖さん
●エッセイスト・ライター/岡崎杏里さん
●フリーアナウンサー/岩佐 まりさん
●映画監督/関口 祐加さん
●漫画家/岡 野雄一(ぺコロス)さん

 
さまざまな介護体験を語っていただいています
→ 介護体験談<親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<義理の親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<妻・夫の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<祖父母の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<その他の介護 編> 一覧

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