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映画『まなざし』…監督 卜部敦史さんのインタビューつき

2016年8月24日

image001■作品名:まなざし
2015年/93分
■出演:根岸季衣 山崎 満 入江崇史 松永拓野 ほか
■監督・脚本・編集:卜部敦史
■劇場公開:2016年8月27日(土)~ 渋谷アップリンク

>>『まなざし』公式サイトはこちら

 

 

 

服役を終えた父を介護する娘、その葛藤の果てに見出したもの

image003今まで見たことがないタイプの映画だ。受刑者となり、拘留先で寝たきり高齢者となった父を、娘はやむなく自宅に受け入れることになり、介護する。その経過を、定点観測のように淡々と描く。

 

娘は、罪を犯した父を恨んでいた。この人によって人生を狂わされたのだ。弟は断固拒否しろと言う。しかし、介護職である彼女は、受け入れることを選択する。自宅に介護ベッドを据え、食事や排せつの介助をする。拘留先でのケアが悪かったのだろう、痛ましい褥瘡ができている。その褥瘡を治すために、きめ細かな配慮をする。オムツ替えシーンのたびに、褥瘡は小さくなっていく。

 

しかしその過程で、彼女は疲れ、すさんでいく。昼は仕事で介護、夜も介護。しかも、愛よりも憎しみのほうがはるかに強い父の世話は重くのしかかる。その様子が、部屋中にたまりはじめるゴミや食欲の衰えで示される。

 

image005ほとんどふたりだけの関係で完結する映画。言葉も少ない。時間の経過ごとに変化していく情景で、ふたりの感情の変化も表すという手法。それだけに、胸に迫るものがある。葛藤の果てに、彼女が選択した道もまた、介護の形で示される。

 

人生は、いいことばかりではない。むしろつらいことがたくさんある。でも、たとえ希望を失い、自分を見失ったとしても、「人生は少しずつ、少しずつよくなっていく。それを教えてくれるのが、介護という行為だ」と、監督は言う。

 

監督は、介護をテーマにした映画を撮ろうと決心してすぐに、実際に介護職となった。最初はグループホームに勤務し、今は介護の国家資格である介護福祉士を取得し、訪問介護に従事する。

 

「介護現場は、人間にとって最も大事な“生きることと死ぬこと”を学べる場です」と監督は言う。決してきれいごとでは済まされない。しかし、きれいごとではないからこそ、そこに真実がある、と。

 

リアルな映像は、希望への前奏曲のようなもの。介護を通して、「親子とは」「いたわり合うこととは」という大きなテーマが、ズシンと響いてくる。

 

○●○ 著者ミニインタビュー ○●○

祖母のいる特別養護老人ホームでの出来事が
映画制作のきっかけだった

image007映画制作のきっかけは、特別養護老人ホーム(特養)にいる祖母との出来事でした。
祖母と話しているときに「トイレに行きたい」と言われ、トイレまで車椅子で連れて行ったものの、立ち上がることもできない祖母を、どう介助したらいいのかわからない。困っていると、女性ヘルパーさんが颯爽と現れ、祖母に優しく声をかけました。そして、手際よく体を抱えて手すりにつかまらせ、流れるような動きでスッと便座に座らせたのです。それから慣れた手つきで祖母の排泄介助を済ませ、ただ立ち尽くすしかなかった私に、「ごゆっくり」と笑顔で再び祖母を預けてくださったんですね。

 

その無駄のない動きは、まるでアーティストのよう。祖母が生活できるのは、こういったヘルパーさんたちの存在のおかげなんだ、と介護職のすばらしさを実感し、ぜひ世の中に伝えたいと思いました。製作にあたっては、まず自分が介護職として働いてみなくては、と思い、すぐにグループホームに勤め始めました。1年後には、訪問介護事業所に転職し、介護福祉士の資格を取り、映画製作が終わった今でも介護職として働いています。

 

グループホームにいた頃、夜勤のときに余命わずか、という女性に話しかけたんです。「あなたにとって、人生とはどういうものですか?」と聞いてみました。すると、その方はハッキリと「そうね、人生って少しずつよくなっていくものね」とおっしゃったのです。まさに、この言葉が、今回の映画のテーマにつながっています。

 

介護はキツイ、汚いなどと言われますが、こんな会話や出来事に出会えることがたびたびあるのです。それに、“人間の生き死に”は日本では学ぶ機会がなく、自分も死に対してずっと恐怖感を抱いていました。介護の現場は、その考えが変わるような、死生観を学べるすばらしい場だと思っています。この映画でも、介護を通して、ギリギリのところで、人生をどう生きていくのかを、主人公はつかんでいく。ぜひ、その「少しずつよくなっていく」様を、映画で見届けてくださればと思います。

 

<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

 

監督プロフィール

卜部敦史(うらべ・あつし)さん
映画監督・介護福祉士。1981年オーストラリア生まれ。映画の助監督、テレビ局の報道取材部勤務を経て、自ら映画を製作するためにフリーに。2010年、初長編作品『scope』を監督。渋谷アップリンクで、インディーズとして異例の3カ月のロングランを記録した。長編2本目となる『まなざし』は、介護現場で自ら働きながら取材を繰り返し、制作。受刑者であり、その存在自体が自分を苦しめた父を家で介護することになった中年女性を描いている。8月27日より渋谷アップリンクで上映される。また同作は2015年11月の第13回バンコク世界映画祭に正式出品、2016年5月のドイツ・ニッポンコネクションに正式出品。現在は、訪問介護の介護職を続けながら次の映画製作の準備中。

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