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病院?それとも在宅?本人らしい最期の迎え方~介護体験談 Tさん4

2015年9月21日

2008年の暮れに脳内出血で倒れ、右半身麻痺となった夫。2009年には肝臓がんを宣告され、11月には再度の脳内出血。そして、夫の体力は次第に弱まっていきます。看取りの時期を覚悟し、T・Hさんがとった行動。それは、夫の生きた証しを残すことでした。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

イラストレーターとして最後の個展を開く

4_1夫が倒れてから最初の1年ぐらいは、私も車を運転しているときなど、彼の引き受けた過酷な人生を思うと、涙が止まらなくなりました。
でも、デイケアに通うようになると、私もすべてを受け入れられるようになりました。不思議なことですが、力が湧いてきて、彼のために、できることはなんでもやろうと腹がすわりました。リハビリを助け、祈るように玄米菜食やビワ葉の温熱療法を続けました。私と夫とは、ともに病気と闘う戦友のようになっていきました。

 

20歳のときから40年以上、周囲の人たちに「きょうだいみたいだね」と言われて寄り添ってきた私たち。だからこそ、今を大事にしよう。1分1秒でも無駄にできないな、と思うようになりました。

 

しかし残念ながら、次第に夫は体力を失っていきました。
そんな折り、通っていたデイケアの施設長さんから、「ねえ、ご主人の個展をやらない?」と持ちかけられました。「病気になったあとも、ご主人はコツコツと作品を描きためていたでしょう? それらを中心に、かつての大作も含めて、個展をやったらどうかと思うの。ご主人は、作品を売りたいという気持ちもあるんでしょう? それならなおのこと、個展の会場で、販売したらどうかしら」。

 

突然の申し出に驚きました。でも、もしかしたら、これが最後の個展になるかもしれない。イラストレーターとしての証しのためにも、やってみたらどうだろう。夫にさりげなく相談したら、「いいよ、やろう」と。言葉は少なかったけれど、うれしそうでした。

 

個展は、カフェの壁を使って行われました。ガラス窓の多いカフェだから、通りすがりの人にも見てもらえるように、小さな作品は外に向けて展示をしようとか、大作は一番目立つところに、など夫もいきいきと指示をしていて。そんな姿を見ると、個展をやってよかったと、しみじみ思いました。
そして、個展は大盛況。知人を中心に、彼の絵を買ってくれる人もたくさんいました。彼がもしこの世の中にいなくなっても、彼の絵は、それぞれの家で生きている。そう考えると、苦しい気持ちも癒されました。

 

最期まで妻の料理を食べ、ビートルズを歌う

4_22012年の春になると、さらに夫は弱ってきました。この頃にはがんが骨転移をしていることがわかり、入院しました。病院からは「あと1カ月の命」と宣告されました。

 

このまま病院のペースで最期を迎えることになるのでしょうか。たくさんの管につながれ、薬を注入され、夫との面会も制限されます。それは、安全で手間がかからないことかもしれません。でも、夫との時間を1秒でも無駄にしたくないという思いはどうなるのか――。

 

そんなことを考えていると、デイケアの施設長さんが、また思いがけないひと声をかけてくれました。「Tさん、自宅でご主人をみましょう。大丈夫よ、私たちも手伝うわ」

 

 

そんな最期の迎え方もあるのか、とびっくりしました。最期は病院しかないと思っていたのに、自宅で? 訪問ヘルパー、訪問入浴、そして往診と訪問看護。これらを組み合わせて乗り切れば、入院しなくてもすむ、もう治療は必要ないのだから、入院も必要ないと言うのです。信じられない思いでした。けれど、そのほうが彼らしいし、ずっと一緒にいた私たちらしいと思えました。病院に私たちの思いを伝え、退院させてもらうことにしました。

 

訪問介護には、デイケアのいつものスタッフも入ってくれました。気心の知れたスタッフが入れ代わり立ち代わり来てくれて、夫の大好きなビートルズの歌をギターで奏で、合唱。寄り添って写真を撮ったり、DVDのカメラを回したり。ふだんなら息が上がってしまうのに、カメラの前で楽しそうに歌いきっている夫の姿を見て、「もし入院してしまったら、こんな時間はなかったな」と、施設長さんに感謝するばかりでした。友人や妹たちもよく見舞ってくれ、心から寄り添ってくれました。

 

食事も、病院だったら、ミキサーをかけてドロドロになった流動食から、最期は栄養剤の点滴になったと思います。けれど、自宅では私が作った食事を、亡くなる直前まで食べました。玄米を一度炒ってからやわらかく炊けば消化もいいし、食べやすい。そんな主食と、安全な野菜で作ったおかずを食べ、やせ細ることもなく過ごせました。

 

2012年の8月、彼は息を引き取りました。「余命1カ月」と言われながら、4カ月も過ごせた彼の生命力を、周囲の人たちが讃えてくれました。本当によくがんばったと、私も思います。そして、彼の眠る顔は、「どうだ、俺らしい最期だっただろう」と自慢しているかのようでした。

 

*写真はイメージです。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

プロフィール

T・Hさん(女性 64歳)ヨガ講師
東京都在住。20歳の頃から元同級生の夫と暮らす。イラストレーターの夫を支え、自らはマクロビオティックとヨガを生活の指針とし、ヨガ講師として週に数回のレッスンをこなす。Tさんと夫が58歳のときに夫が出先で倒れる。脳内出血と言われ、夫に右半身麻痺が残る。以後、リハビリ病院に転院し、ふたりの試練が始まる。子どもはなし。

 

介護体験談はこちらの記事も参考に

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さまざまな介護体験を語っていただいています
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→ 介護体験談<義理の親の介護 編> 一覧
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