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【最終回】ゆずこ家の介護はまだまだ続く!~漫画★孫娘のガチンコ介護

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介護サービスを拒否する父が、まだらな認知症に…~介護体験談 Tさん 3

2015年3月2日

要介護認定を受けたものの、介護スタッフをことさら嫌って、デイサービスはもちろん、訪問介護も受け付けないT・Iさんのお父様。お母様が骨折入院し、認知症の症状も出て、一人で暮らすことが難しくなっていきます。それでも頑として老人ホームへの入居を拒否するお父様に、T・Iさんは頭を抱えます。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

自己流で外廊下を歩き、よろける

3_1訪問リハビリを拒否し、再び、部屋で過ごすばかりになってしまった父。ほとんど歩くこともなくなり、これでは本格的に歩けなくなりそうです。なんとか外に出てほしい、杖をついても歩いてほしいと思っても、「そんなみっともない姿はさらしたくない」と、譲りません。
 
「お父さん、それでいいの? 歩けなくなったら、不自由に決まっているのに。なんで前向きになれないの?」と私は父を責めました。すると、しばらく考えてから、「自分なりに考えてやるから、黙っていてくれ」と言われてしまいました。
 
次に訪問したときに、ふとマンションの外廊下を見ると、父がいるではありませんか! 手すりにつかまったり、自分なりに手を放したりして、よろよろと歩いているのです。「何してるの、危ないじゃない!!」と声をかけると、振り向きざまにまたよろけるのです。あわてて駆け寄り、腕をとると、ふり払われました。「お前が歩けというから歩いているんだ。これから自分で歩く訓練をするんだ、無礼なリハビリのやつなんかいなくても、やれるんだよ」。
 
がっかりして、腹が立ちました。なぜ、そんなに見栄を張るんだろう。素直に人の手を借りればいいし、専門のスタッフにきちんとした歩き方を教わればいいのに。「恰好悪いところを人に見せたくない」ために、自己流でやって、よろけて骨折でもしたらどうするのか。でも、言い出したらききません。しかも、「やる」と言ったことは、キチンきちんとやる人です。いくら止めても、毎日欠かさず外廊下を歩きました。
 
こういう姿を見ても、「判断や行動のバランスが悪くなってきているなぁ」と思います。が、どうすることもできず、ハラハラしながら見ているだけでした。

 

食事をしたことさえ忘れるようになって

3_2そんな日々を過ごしているうち、昨年秋に、母が圧迫骨折をして、入院してしまったのです。家にひとりで残されてしまったので、私が実家に通う回数はますます増えていきました。
 
インテリアコーディネーターの仕事はフリーランスで受けているので、時間の自由は比較的きくのですが、大きな案件が入ると、休むわけにはいきません。仕事を断らざるを得なくなり、それも私のストレスを増やす原因になりました。
 
母がいないので身の回りのことのすべては私にかかってきます。洗濯や掃除は行ったときにすればいいのですが、食事はそうもいきません。かといって、毎日行くわけにもいかないので、いくつかの宅配弁当屋さんの試食をし、一番父の舌に合いそうなところを頼んで、日に2回、配達してもらいました。朝食だけは、パンなどで適当にやってもらうことにしました。
 
しかし、ひとりで住むのは寂しいのでしょうね。私が行かない日は、必ず電話がかかってきます。「おい、どうしたんだ、いつ来るんだ」。行くのは月水金と決まっているのに、火曜日や木曜日に連絡してきます。
 
心細いんだろうな、と思いました。長年連れ添った妻がいないことはもちろんですが、父は定年後すぐに大腸がんを煩い、その後の後遺症で、腸閉塞を起こしがちなのです。体調が悪いときなど、徐々にお腹が痛くなり、息もできないほどの痛みに変わるらしく、自分で救急車を読んだり、訪問看護師さんが呼んでくださったりして、何度か搬送されています。痛くなった時にだれも近くにいない、という恐怖もつのるのでしょう。
 
あるとき、電話口で話していて、何気なく「食事はしたの?」と電話口で聞くと、「いや、今日は配達が来ていないんだ、連絡しても出ないんだよ」と言ったことがありました。そんなひどいこと! お腹がすいてしまうではないかと、あわてて実家に飛んでいくと、食べ終わった弁当の容器が放り出してあります。あれ……、配達されているし、食べているんじゃない!!
 
これを見たときは、ショックでした。曜日があやしいのはわかっていましたが、昼食を食べたことを忘れるなんて。知らず知らずのうちに、父の認知症もすすんでいたのです。
父は89歳になっていました。もう、ひとりでは置いておけないと、強く感じました。家の中での足取りもおぼつかず、つたい歩きができない部屋の真ん中に行くことが困難になりました。そこで、福祉用具として、歩行器も借り始めたほどなのです。この歩行器の扱いを間違って転倒したら、起こしてくれる人もいません。
 
家に帰るなり、有料老人ホームをインターネットで調べました。近くにけっこうたくさんあることがわかりました。母は急性期病院からリハビリ病院に転院して、まだまだ家に戻るには時間がかかりますし、戻ったところで、家事ができるわけでもないでしょう。ふたりそろって、どこか私の家の近くで安心して過ごせるホームに、と密かに心に決め、父に提案することにしました。
私ひとりで行くと、また怒鳴られてすごすごと帰ることになってしまう。そこで、日曜日に家族についてきてもらうことにしました。夫や子どもたちがいれば、私を怒鳴ることもないと、作戦を立てました。今度は慎重にことを進めなければなりません。
 
その日は、父の誕生日が近かったので、みんなでごちそうを食べたり、ケーキのろうそくを吹き消したり。久しぶりに笑顔があふれました。家族全員で写真を撮り、そろそろ帰ろうか、という段になって、ごくさりげなく、老人ホームのパンフットをいくつか出して話を始めました。家族全員が、父の独居を心配していること。日常生活の中で上手にリハビリをしてほしいこと、そしてもちろん、いつまでも健康で長生きしてほしいことも伝えました。
 
しかし、急に黙りこくり、不機嫌になった父の口から出た言葉は、
「一切必要ない!」。
私も家族も絶句し、空気が一気に暗くなりました。
 
帰りの車の中で、私は涙が止まりませんでした。子どもたちの前で泣くなんてみっともない、と思っているのに、止まりませんでした。無力感が襲い、家に帰ってからもしばらくしゃがみこんで動くことができませんでした。

 

T・Iさん最終回の次回は、腹を据えて、新たな対策を考え直す彼女の決意をお伝えします。

 
*写真はイメージです。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

プロフィール

T・Iさん(女性 54歳)インテリアコーディネーター
神奈川県在住。夫、社会人の長女、大学生の長男がいる。電車で1時間ほどの県内に今年90歳になる父親がいる。母親は昨年、特別養護老人ホームに入居。ひとりっ子なので両親の世話はひとりで担う。以前は忙しく仕事をしていたが、介護が始まった4年前からは量を減らし、週に3回は実家に出向く。叩き上げで平社員から取締役に上り詰めた父親は、プライドが高く介護を受けることを嫌うため、ケアがすすまないのが悩みの種。

 

介護体験談はこちらの記事も参考に

私が思う「良い老人ホーム」より
●デザイナー・東海大学講師/山崎 正人さん
●モデル・タレント・ビーズ手芸家/秋川 リサさん
●フリーアナウンサー/町 亞聖さん
●エッセイスト・ライター/岡崎杏里さん
●フリーアナウンサー/岩佐 まりさん
●映画監督/関口 祐加さん
●漫画家/岡 野雄一(ぺコロス)さん

 
さまざまな介護体験を語っていただいています
→ 介護体験談<親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<義理の親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<妻・夫の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<祖父母の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<その他の介護 編> 一覧

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