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親が「世話してくれる存在」から「世話する存在」へ~介護体験談 Sさん 2

2014年9月8日

高齢者介護の体験を語る、「私の介護体験談」。今回のシリーズは、認知症の実母を介護したS・Aさんの体験です。その第2回目は、介護者の母親と父親との葛藤がテーマです。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

父の怒号、母の叫び……。家の中は波乱続き

2_1母の認知症が発覚してからは、母をひとりで家においておくことができなくなりました。父はまだ仕事をしていて、毎日出勤してしまいますし、二世帯同居の兄嫁も、階下に降りてきて母と過ごす自信はないと言います。兄は自治体に相談してケアマネジャーを紹介してもらい、母をデイサービスに通わせることになりました。

 

母はデイサービスに行くことをいやがりました。デイサービスの車が朝、お迎えに来ると、「つまらないからいやだ」「行きたくない」と、大声で叫びました。朝のお迎えの前に家を抜け出して、徘徊してしまうことも何度かありました。母はどんどん扱いにくい人になり、短気な父は母を怒鳴ります。
私は仕事や育児の合間を縫って週末ごとに実家に出向くようになりましたが、家に近づくと外の道路にまで、父の怒声と母の泣き叫ぶ声が聞こえるほどでした。あわてて仲裁に入っても父の怒りは収まらず、母を私の家に一時的に連れて帰ることもありました。

 

母の認知症がすすみ、家事ができなくなってきました。訪問介護のスタッフが母が眠るまで世話をし、食事づくりもするようになったのですが、それでも父は自分の分の食事を作ることを、母に強要しました。自信がないことをやらされ、失敗し、怒鳴られる。母にとっては地獄です。次第に母は自室にこもって出てこなくなりました。

 

つらいのは母だけではなかった

いよいよ父母の夫婦仲がひどくなった頃、ケアマネジャーは「関係者を集めてカンファレンスを行いたい、もうこのままで看過できない」と連絡してきました。兄夫婦と私、訪問介護のスタッフ、そして父母を集め、話し合いをすることになりました。

 

集まった全員が、父にもっと穏やかになってほしいと話しました。どう考えても父が悪い、とみな心の中で思っていたのです。「このままでは、母がかわいそうだ」と、口をそろえました。父はさまざまな反論をしたあげく、あろうことか、その場で大泣きを始めました。本当に驚きました。頑固で威厳があり、私たちの前で涙など見せたことがない父――。もともと父に批判的だった兄は、苦々しい表情で黙りこくりました。

 

しかし、私はようやく気づきました。父もまた、寂しく、つらかったのです。母の病気を受け止め、やさしい言葉をかける心の余裕がないのは、大人げないことと思います。けれど、日替わりで訪問介護スタッフが次々にやってきて、口に合わない料理を作り、認知症の母の世話をして夜遅くまでいるのです。兄夫婦が夕刻に階下に降りてくることはありませんから、ひとりでそれらを受け止め、対処する。父にとってもまたこの環境は地獄、くつろぐ時間もない、疲労と孤独の日々だったのでしょう。

 

すると、母もまた、泣き出しました。「みんな、私のためにケンカしないで。私がこの家にいるからみんな怒るんでしょう? 私なんか、死んでしまえばいいんだ!」

 

2_2幼い頃、両親は私たちを見守り、世話をしてくれる存在でした。私はいつまでもその感覚で両親に接していました。でも、もう違うんだ。これからは両親が子供で、私が親のような気持ちにならないといけないんだ、とつくづく思いました。泣くのは、寂しいからだね、もっとかまってほしいんだね。「泣かなくていいよ」とやさしくしてほしいんだね――。

 

それぞれが帰り、母が自室に入って眠ったあと、私は父に聞きました。「おとうさん、私に何をしてほしい? なんでもするよ」。もちろん、私にはできないことだらけです。平日に来てほしいと言われても仕事があるから行けないし、週末に長時間母を世話することだって。父に希望されたことができなかったら、どうしよう……。そう思いながら返事を待っていると、父は小さな声で言いました。「これまでどおりでいいよ、それでいいよ」

 

私は、それまでどおり、週末に短時間だけ実家に出向くことにしました。けれど時間帯を夕食の時間にずらしました。かつての母の得意料理を真似て作り、父母が食べる間、ふたりの話し相手になりました。家にはおなかをすかせた夫や子供たちが待っているから、あまり時間はないのですが、あと片づけをし、家で作ってきた2、3種類の常備菜を冷蔵庫に収め、食べ方を書いたメモを置いて帰ります。これで2日ほどは、父の舌も満たされるでしょう。

 

父は相変わらず、母を怒鳴ります。でも、少しだけ、家の中の空気が変わった気がしました。

 

次回はさらに認知症が進んでいく母親の行動をお伝えします。

 

*本文中の写真はイメージです。
*S・Aさんのケースでは、母親の介護サービスとは別に、家族の食事を作る家事援助を導入しています。

 

*この体験談の1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

プロフィール

S・Aさん(女性 53歳)会社員
母親は70歳で認知症を発症し、16年間介護を続けている。短期記憶の衰えから始まり、徘徊など、さまざまな行動も始まる。同居の父親は常勤の仕事を持ち、いわゆる昔の男として、母親に以前と同様の家事などを要求し、混乱を招く。2階に長男家族が住み、同居の際には両親の介護を請け負うのも暗黙の了解であったが、いざ直面すると逃げ腰に。S・Aさんは車で30分の距離に住まいを持つ。

 

介護体験談はこちらの記事も参考に

私が思う「良い老人ホーム」より
●デザイナー・東海大学講師/山崎 正人さん
●モデル・タレント・ビーズ手芸家/秋川 リサさん
●フリーアナウンサー/町 亞聖さん
●エッセイスト・ライター/岡崎杏里さん
●フリーアナウンサー/岩佐 まりさん
●映画監督/関口 祐加さん
●漫画家/岡 野雄一(ぺコロス)さん

 
さまざまな介護体験を語っていただいています
→ 介護体験談<親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<義理の親の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<妻・夫の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<祖父母の介護 編> 一覧
→ 介護体験談<その他の介護 編> 一覧

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