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老人ホームや病院の食事・厨房を変革する~フードプロデューサー多田さん2

2015年11月17日

フレンチのシェフから、介護食のプロデューサーへ。異色の転身を遂げた多田さんが展開する「介護食」は、フレンチの手法を取り入れたおいしく、美しく、なめらかで食べやすいものです。
「高い材料を使える高級老人ホームならいいけど…」、「調理に手間がかかりすぎるんじゃ…」そんな声が聞こえてきそうですが、多田さんの発想は、どんな老人ホームにも応用できます。また、ホームだけでなく、在宅介護で食事を作る人にとっても、役に立つものです。
どのようにして、おいしい介護食を作るのか、今回は具体的に教えていただきました。高齢者でなくても、食べてみたくなりますね。

 

*このインタビューの1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

○●○ プロフィール ○●○
多田鐸介(ただ・たくすけ)さん クリニカルフードプロデューサー
2_11968年生まれ。18歳で渡仏し、「ル・コルドン・ブルー・パリ」で学んだ後、パリのミシュラン星つきのレストランで修行。「ル・コルドン・ブルー・東京」開校とともに帰国、講師に就任。その後、タイユバン・ロブション、パークハイアット東京などを経て、ドイツの厨房機器メーカーにてフードアドバイザーとして7年間勤務。その間、病院食、介護食のコンサルタントとなる。自らのフランス料理店経営を経て、アンチエイジングメニューの開発、病院食、介護食など、アンチエイジングを含む食の総合コンサルタントとして活動。病院や老人ホームの食のコンサルタントとして、高齢者の食べる喜びと健康に大きく貢献している。

 

生物学を学び、ドクターと対等にディスカッション

――多田さんは、40以上の病院と老人ホームで食事のコンサルティングをされてきたんですよね。病院の場合、厨房の栄養士さんだけでなく、ドクターや看護師さんとも接するのですか?
そうですね。カンファレンス(会議や研究会)ではドクターや看護師さんなどと一緒に話します。でも、料理人が同席するなんて、違和感があったのでしょうね。専門用語がわからなくて戸惑っていると、医療側からは「こんなこともわからないのか」「今まで食べさせたことのないものを食べさせて事故があったらだれが責任を持つのか」などと言われることもありました。

 

だから、勉強しましたよ(笑)、嚥下食に関することは、すべて。生理学、生化学、解剖学も。飲み込みの複雑なメカニズムや、呼吸をするときに食道に食べ物が入ってしまう理由、経管栄養と経口栄養の違い……。魚がどうやって餌を食べるのかなど、嚥下とは直接関係のなさそうなことまで勉強しました。同級生が、大学の理系学科を卒業して高校の生物の先生をしていたので、彼にアルバイト代を支払って、週に1回2時間ぐらい、みっちりと教えてもらいました。最初は小学校の理科の教科書から、だんだん中学の理科、高校の生物、大学の専門的な生物学。もともと農業高校の食品化学学科で生命工学などを勉強していたので、飲み込みは早かったみたいですね。医学書などもずいぶん買いました。

 

――それで行き着いたのが、フレンチの技法を使った独自の介護食なのですね。
これまでの介護食といえば、食材をやわらかく煮るなど調理したもの、細かく刻んだもの、フードプロセッサーで通常の食材をガーッと混ぜて仕上げたものなどがありました。刻み食は、通常の食材をただ細かくしただけのもの。水分も足りず、むせることが多い。それで、フードプロセッサーでなめらかにしたミキサー食や、増粘剤(とろみ剤)を加えてきれいに仕上げたソフト食がよい、とされてきましたよね。

 

しかし、なんでもかんでも食材をまぜてミキサーにかけてしまうミキサー食というのは、どうでしょう。トンカツを、衣も肉もソースも全部まぜてドロドロにしても、トンカツを味わったことにはならないですよね。

 

また、増粘剤を加えて仕上げたいわゆるソフト食は、見た目はよくても、天然物質でないものを加えるわけです。高齢者は体力が弱っていることが多く、特に寝たきりの方などは、化学物質を体に入れ続けると、ますます弱ることがあります。また、増粘剤を入れると変におなかが満たされる感じがありますし、食材の味も感じにくくなります。
本来は、あまり良い方法ではないように思います。

 

――そう言われると、確かに今までの介護食に疑問を感じてきます。ミキサーでドロドロにした「元トンカツ」…食欲がわきそうにありませんね。

フェッテは、メレンゲなどを作る方法としてもおなじみ。『新・介護食レシピ』より

フェッテは、メレンゲなどを作る方法としてもおなじみ。『新・介護食レシピ』より

そうなんです。これでは身体が弱っている高齢者が、ますます食べられなくなって弱ってしまう。一方、フレンチでは、もともと、泡立てる(フェッテ)という基本的な手法があります。泡立てることにより食材に空気が入るので、食材がなめらかに軽くなり、食べやすくなります。また、泡立てると食材に空気が入るので、口に入れたときに空気が鼻に抜け、食材の香りをより強く感じます。

 

香りを感じることは、とても大事なことです。人はただ単に舌で味わうのではなく、香りでもおいしさを味わうわけです。私を介護食に導いてくれた聖隷三方病院の管理栄養士・金谷節子先生は、常に「香りが大切」と言い続けてきました。私も本当にそう思いますね。

 

また、フレンチにはもうひとつ、乳化(エマルジョン)という技法があります。たとえば、手作りのマヨネーズでは、卵黄などの材料と油をしっかりと混ぜ合わせます。十分に混ざり合うと、口溶けのいいものになります。こうしたフレンチの手法はまさに、介護食に最適。私は自分の技術を使い、得た知識や、ドクター、看護師さんの指導と兼ね合わせ、理想的な介護食づくりを目指してきました。

 

クリームチーズでムースを作る

――多田さんの介護食は、見た目もとても美しい。フレンチレストランのムースのように盛りつけられています。彩もよく、カラフルですね。

「筑前煮」の場合も、すべてまぜるのではなく、一つ一つの食材をわけてミキサーにかけ盛り付ける。これが多田さんの提案。『新・介護食レシピ』より

「筑前煮」の場合も、すべてまぜるのではなく、一つ一つの食材をわけてミキサーにかけ盛り付ける。これが多田さんの提案。『新・介護食レシピ』より

たとえば、肉じゃがをやわらかくして食べてもらおうとして、全部一緒にまぜてつぶしてしまうと、一種の茶色のかたまりになります。見た目で食欲が減退しますし、素材ひとつひとつの味わいもわからなくなります。人が食べる食事としては非常に粗末なものになりますね。
ですから、食材は個別に柔らかく仕上げるべきなんです。ジャガイモはジャガイモ、ニンジンはニンジン、肉は肉でムース状に仕上げて盛り付ければ、それぞれの味を味わえる。見た目も格段にきれいになるわけです。

 

――多田さんの提案するレシピには、クリームチーズやバター、生クリームを使った洋風の味付けのものが目立ちますね。
今までにない食味だと思います。カロリーも高い。それは意識してやっています。カロリーが高ければ、少ない量で栄養がとれる。そうすると、食事介助をするときにも楽です。これまで100さじ分だったものが50さじになれば、よく味わっていただけますし、残してしまうことも少なくなります。
また、介助の時間も短縮でき、介護する側もされる側も負担が少なくなります。のどに詰まらせる原因のひとつに、早く口に運びすぎるということがあります。
介助側が心の余裕を持ってスプーンを口に運べるようにするためにも、ハイカロリーであることは一役買います。

 

――老人ホームの食事では、調味料やお米にこだわるとお聞きましたが、それはなぜですか?

オリーブオイルは抗酸化作用もあり、さまざまな料理に使える。こだわりがいのある調味料。『新・介護食レシピ』より

オリーブオイルは抗酸化作用もあり、さまざまな料理に使える。こだわりがいのある調味料。『新・介護食レシピ』より

食材そのものを上質にすれば、おいしくなるのは当然です。ですから、高級レストランであれば、必ず食材にこだわります。
しかし、病院やホームの食事には予算があります。その予算内におさめながら美味しくしないとならないので、いい食材ばかりそろえることはできません。その時に効果的なのは、まず「調味料」を変えることなんです。私の祖母は、上質なオリーブオイルを使った料理で末期を乗り切ったことがありました。上質なオリーブオイルやハチミツは、ビタミンEが豊富に含まれ、体力の弱った高齢者に生気を蘇らせることさえあります。しょうゆやみそなど、基本的な調味料も、添加物の少ないまともなものを使えば、胃に負担が少ない。これは家庭の介護食でも同様です。
また、すべての食材にこだわれなくても、毎食のように食べる主食の「米」をおいしくすれば、満足感も高まります。

 

食材や調味料、お米などを吟味することは、本来、料理の提供側は当然行うべきことです。しかし、病院や老人ホームの介護食は、そこをおざなりにしてきた経緯があります。レストランは、まずいものを出せばお客さんは二度と来てくれません。しかし施設の食事だと、患者さんや入居者さんは、まずくても食べるしかない。

 

私は、全国の老人ホームや介護施設のコンサルタントをしていますが、単に料理の仕方を指導するだけではないんです。予算に合わせた食材の選び方、組み合わせ方なども、指導しています。そうでないと、安く栄養もあり、かつおいしいという介護食は提供できません。これは、私の重要な仕事でもあるんですよ。

 

<今回のまとめ>

多田さんが考える「良い介護食」とは

 

・嚥下のメカニズムなどの確かな知識をもとにメニューを開発する
・クリームチーズなどを使い栄養価を高くする。食べる人にも介助する人にもメリット。
・お金をかけられなくても、よい調味料や米を使い、味わい深い仕上げにする。

 

次回は、良い介護食を作るための、老人ホームの職場内環境や厨房スタッフのモチベーションアップなどについて語っていただきます。

 

*このインタビューの1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら

 

*多田鐸介さんの著書『食べる喜びを 新・介護食レシピ』は、オアシスナビ書籍紹介記事で詳しくご紹介しています。

 

老人ホームを検討される方は・・・【初めての老人ホーム探しガイド】

現在老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。

 

●さまざまな老人ホームを取材リポートしています → 編集部の取材レポ <介護付き有料老人ホーム編>
●本人と家族にぴったりの老人ホームを探すには→ 老人ホームの「見つけ方・選び方」

 

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