老人ホーム入居のきっかけは? 入居者はどんな日常を送っているの? 入居者同士やスタッフ、家族との人間関係は? 外からはなかなか見えにくい、老人ホームにまつわる人間ドラマをお伝えします!
今回は、「動物と触れ合える老人ホーム」という話題について紹介します。
老人ホームへの入居を検討するもペットの猫がネックに
超高齢化社会と核家族化が進むなか、高齢者の中にはペットを生きがいにしている方も少なくありません。しかしそういった方々が、いざ老人ホームに入ろうとすると、ペットの問題が大きく立ちはだかります。
現在、老人ホームで暮らすIさんも、かつて愛猫とともに暮らしていた男性。娘のHさんが、その経緯を振り返ります。
「ウチの父は数年前に母(Iさんの妻)を亡くし、その後は一人暮らしをしていました。そんな父に寄り添っていたのが、生後すぐに飼い始めたネコの『モコ』。モコのお気に入りのキャットフードを近所のホームセンターに買いに行くのが、父の唯一ともいえる運動時間でした」
しかしそんなIさんも認知症が始まり、徐々に家事ができなくなってしまったそうで、娘のHさんはIさんの老人ホーム入居を検討し始めました。ただし、モコの存在が大きな問題でした。
「父はモコをとても可愛がっていたので、『できれば一緒に』と思ったんですが、ペットOKの老人ホームはやっぱり費用が高いんですよね。すると、もともと施設に入ることを嫌がっていた父は、完全にその気がなくなってしまって……」
老人ホームに入って、父に生きがいができた!?
しかしそんな問題も、悲しい形で終わりを告げます。すでに16歳に達していたモコが亡くなってしまったのでした。
「父の落ち込みようが激しかったので、『これはまずい』と、改めて老人ホームを真剣に探したんです。そうしたら“動物とのふれあい”を謳っている施設を見つけたんですね。そこはペットOKではないんですが、老人ホームが犬や猫を飼っているんです。これはと思い、そこにお願いすることにしました」
入居後しばらくして、ふとIさんは娘のHさんにこんなことを言ったそうです。
「父は今まであんなに猫のモコを可愛がっていたのに、老人ホームで犬と戯れながら『犬はなついてくれるから本当にかわいいんだ』と言うんです。施設の職員によれば、父は犬に勝手に名前を付けて、まるで自分のペットのように可愛がっているみたいです」
「モコ問題」で老人ホーム探しに苦労をされられたHさんは、Iさんの話しを聞いて一瞬ムッとしたそうですが、「父に生きがいができたのなら良かったのかな」と、思っているのだとか。施設に入居することで期待以上のメリットがあったようです。
終の棲家で生きがいができたとは羨ましい話しですね。「年を取っているから」と、親に趣味や好きなことを諦めてもらうことなく、「何かしたいことはない?」と尋ねてみるのも大切なことかもしれません。
●ペットと暮らせる老人ホームについて、詳しくはこちら
→「老人ホームに、ペットと一緒に入居したい」は可能?
●老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。
ぴったりの老人ホームを探すには → 良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
介護業界の著名人や有名人にインタビュー → 私が思う「良い老人ホーム」
