老人ホームへの入居を検討する時には、いろいろな疑問や悩みが生じるもの。老人ホームに期待することや、ゆずれない条件は十人十色、人それぞれ違います。よくあるお悩みからその人ならではのこだわりまで、老人ホーム入居に関する疑問に、オアシスナビ編集部がお答えします。
今回は、「老人ホームでも、自炊や外食はできるの?」というご相談についてお答えします。
<相談者のお悩み>
料理や食べ歩きが趣味の義理の母。もう高齢で食は細くなりましたが、その趣味は健在です。しかし、最近では足腰の不安もあるので老人ホームへの入居を考えています。食事がおいしいホームがいいのはもちろんですが、たまには自分で料理をしたり、外食もしたいようです。でも、そんなことってできるんですか? (相談者:息子の嫁)
キッチン付きの居室や共同キッチンがあれば自炊可能
まず、自分で料理をしたいという場合。自室にキッチンがついていたり、共同キッチンがある老人ホームならば自炊は可能です。
公益社団法人全国有料老人ホーム協会の2013年の調査によると、介護付き有料老人ホームの14.4%、住宅型有料老人ホームの11.3%、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の46.4%にキッチンがついています。
半数近くの居室にキッチンがついているサ高住ならば、相談者のお義母さまの条件に合うところを見つけやすいかもしれません。なお、サ高住の68.8%には、共用のキッチンがあるという結果も出ています。もし、キッチンは共用でも構わないのであれば、多くのサ高住の中からより条件に合ったとことを選ぶこともできそうですね。
ただし、大半のサ高住では、介護付き有料老人ホームのように、24時間介護スタッフが常駐しているわけではなく、介護が必要な場合は外部の事業者に依頼することになります。
相談者のお義母さまは「足腰に不安がある」とのことなので、買い物や料理に付き添いが必要な場合は、その都度ヘルパーに来てもらう必要があります。
お義母さまの状態によっては、常時介護が受けられる介護付き有料老人ホームの、キッチン付きの居室に入居するのが良いかもしれません。もし、いまはまだあまり介護の必要がなくても、2年後、3年後の要介護度を見据えてホーム選びをしておけば、自立した生活ができなくなっても安心できそうです。
老人ホームに入居中でも、自立度が高ければ自由に外食を
外食は、基本的にどの老人ホームでも可能です。自立度が高ければ高齢者一人で気軽に外食を楽しめるでしょう。一人での外出が困難な場合には、家族などに付き添ってもらう必要があります。
ただし注意点として、もしホームで食事が用意される場合は、それを事前にキャンセルする必要があります。数日前までにキャンセルの申し出がなければ、食べなくてもその分の料金が発生するなど、ホームによってルールが異なります。場合によっては、食費が割高になる可能性があるので注意が必要です。老人ホーム入居前の時点で、外食をしたい希望があるのであれば、食事をキャンセルする時のルールについてもしっかり確認しておきましょう。
また、見学時にはホームの近くにどんな飲食店があるのかもチェックしておきましょう。車椅子が必要になったときのことを考え、車椅子でも入れる飲食店があるのかも併せて確認しておくと良いでしょう。
なお、行事として入居者みんなで外食に行く「イベント食」を実施している老人ホームも数多くあります。いずれの場合も、入居前にホームによく確認しておくことが必要です。
●キッチン付きの居室について、詳しくはこちら
→台所・浴室付きの個室…そんな老人ホームありますか?
●食事がおいしい老人ホームについて、詳しくはこちら
→「食事がおいしい老人ホーム」の見分け方はありますか?
<構成・文:髙橋光二>
老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。
●本人と家族にぴったりの老人ホームを探すには → 良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
●介護業界の著名人や有名人にインタビュー → 私が思う「良い老人ホーム」
