介護付き有料老人ホームを取材!
内科医だけでなく、精神科医の健康チェックも受けられる「メディカルケアホーム与野中央」。今回は、介護スタッフの育成および業務改善への取り組みについてご紹介します。
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介護スキル向上のため、スタッフが主体的に取り組む“委員会活動”

市販の介護食を購入し食べ比べた研修
同ホームでのスタッフ教育・研修は、2012年6月のオープン以来、管理者(施設長)が決めた方法で取り組んできました。しかし、2015年からは、現場の介護スタッフが自ら考えて主体的に取り組む方法に一新しています。その理由について、施設長の鈴木善己さんは次のように説明します。
「オープンから3年経ち、運営がだいぶ軌道に乗ってきた頃に、いつまでも管理者が主導していたらスタッフは自分で考えなくなるのではないかという問題意識が生まれました。そこで、管理者は枠組みだけをつくり、何をどのようにやるのかはすべてスタッフに任せることにしたのです」
その枠組みとは、5つの委員会活動。各委員会が、持ち回りで研修や勉強会を開催し、スキルアップとスタッフ間の情報共有に努めます。
5つとは、入居者の食事内容の改善を図る「給食委員会」、入居者の日常生活全般の向上を考える「生活委員会」、転倒事故や感染症の予防など、日常の危険の除去を図る「リスク委員会」、レクリエーションなどホームとしての行事を企画運営する「行事委員会」、そして介護スタッフの業務レベルの向上を推進する「業務改善委員会」です。
スタッフ自身が自分の頭でどうすべきかを考える

看護師の指導による服薬の研修
では、委員会ではどういった活動をしているのでしょうか。
「例えば、汁物などにとろみをつける“とろみ材”があります。最近になって、従来のもののように濁ったりダマになったりせず、よりおいしい料理がつくれるという良い物が出回るようになりました。そこで、介護食に詳しい外部の講師をお招きし、使い方や実際にどんな味なのかといったことを学ぶ会を設けました」と鈴木さん。
本来であれば、業務の中で情報収集し、全スタッフに周知させるのが一般的なやり方かもしれません。
「しかし、シフトが異なるスタッフ間で業務中に伝え合うのでは、内容にバラつきが生じがちです。そこで、自主的な委員会活動として全員が一度に共有できる仕組みを取り入れました」
この方法に切り替えてから、介護スタッフはより能動的に業務に取り組むようになっているといいます。
ほとんどの介護施設には基本的なマニュアルがあります。しかし、イレギュラーな出来事が起きたり、入居者一人ひとり微妙に異なる対応が求められたりと、マニュアルに書かれていないことも多々あるもの。そんな時、「マニュアルに書かれていないから対処できない」というのでは、施設の運営はギクシャクしてしまいます。
「スタッフには、常に自分の頭でどうすべきかを考えることが求められます。そんな姿勢を一人ひとりに持ってもらうことが、当ホームの教育方針です」と鈴木さんは言います。
次回は、同ホームの“和”をあしらった施設の特徴や、入居料金体系のメリットなどについてご紹介します。
<取材・文:髙橋光二>
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