サービス付き高齢者向け住宅を取材!
「見守り」や「生活相談」などが受けられるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。高齢者やその家族が安心できる賃貸住宅です。ここでは、2014年6月にオープンした「ウエルガーデン エミナース春日部」をご紹介します。
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運営主体が特養なども運営しているメリット

「ウエルガーデン エミナース春日部」は、以前はホテルとして使用されていた建物を改装してオープン
ウエルガーデン エミナース春日部を運営しているのは、1973年に設立された社会福祉法人ウエルガーデン。同年に東京都青梅市で特別養護老人ホーム(特養)の運営をスタートし、現在は特養3施設、介護付き老人有料ホーム1施設、ほかにもデイサービス・訪問介護・居宅介護支援事業所などを運営しています。同法人にとって「ウエルガーデン エミナース春日部」は1カ所目のサ高住となります。
サ高住の入居者にとって、運営主体が特養や介護付き老人有料ホームも運営していることには、大きなメリットがあるといえそうです。入居者の要介護度が重くなり、より緊密な介護が必要になると、一般的なサ高住では対応が難しくなりがち。多くの場合、特養や介護付き有料老人ホームへの転居を検討することになります。
別の施設に住み替える時、ウエルガーデンの中では、サ高住時代に蓄積された入居者の性格や生活習慣、持病の状況、ケアプラン、ケアの好みなどの情報をそっくりそのまま引き継ぐことが可能だと言います。
「ウエルガーデン エミナース春日部からウエルガーデンが運営する特養に転居された方は、オープンから1年半で1名、介護付き有料老人ホームに転居された方は3名いらっしゃいます。この際に、入居者ご本人に了解を取って、ご本人についてあらゆる記録を残したファイルを丸ごと転居先のホームに渡しています」とウエルガーデン エミナース春日部 居宅介護支援事業所所長の古川真介さんは言います。

古川真介さん
こうすれば、新たなホームに転居した直後から、自分にフィットした心地よい介護サービスが受けやすいといえるでしょう。ほかの運営主体のホームに住み替えた場合は、フィットするまでに時間がかかってしまうことがあります。
順番待ちの特養に比較的入居しやすくなる
また、特養の場合、需要に供給が追い付かず、何年も入居を待たなければならないホームが大半という現状があります。特養の入居は、介護保険法改正により2015年4月から原則として「要介護度3以上」に厳格化されました(例外規定あり)。かつ厚生労働省令で「施設サービスを受ける必要性が高いと認められる入居申込者を優先的に入居させるように努めなければならない」と通達されています。“申し込みが早い者順”ではありません。
入居者を決めるのは、受け入れる特養や所管の自治体です。同法人が運営する3カ所の特養の場合、都内の2カ所は入居者の決定を自治体(区)が主に管轄。もう1カ所(ウエルガーデン大宮)は同ホームが主に管轄しています。

特別養護老人ホームのウエルガーデン大宮
「ウエルガーデン大宮(特養)の入居審査は、エミナース春日部の入居者様とそうではない一般の方を差別するということはなく、公平に対応させていただくことが大前提です。しかし、ほとんど同じ条件でタイミングも重なった時などは、やはりエミナース春日部の入居者様を優先すると思います。それは、これまで同じ法人の施設で生活をしてきていただいている方という心情的な面と、前述のとおり入居者様の情報の蓄積があるため、より充実した介護サービスが提供できるという考えがあるためです。
したがって、特養のウエルガーデン大宮に入居を申し込まれる方の中で、自宅で入居を待つことができない事情がある場合は、一旦、サ高住のエミナース春日部に入居いただいてお待ちいただくことをお勧めしています」
ちなみに、サ高住はお元気な自立から要介護2程度までの人が対象というイメージがあるかもしれませんが、「エミナース春日部は要介護3~5の方も来ていただきたい」と古川さん。古川さんはじめ、特養での経験が豊富な介護スタッフが在籍しているので、要介護度が重い高齢者の対応に習熟しているためです。
自立で入居し、要介護度が重くなったとしても、安心して暮らし続けることができるサ高住といえそうです。
サ高住選びも、先々のことを考え併せておく必要があるということですね。
次回は、充実した医療サポート体制についてご紹介します。
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