軽費老人ホームを取材!
社会福祉法人や地方自治体などが運営する「軽費老人ホーム」。老人ホームの一種ですが、法律で規定された社会福祉施設として、国や自治体が運営費用を一部補助するため利用料金を低価格に抑えているのが大きな特長です。では、どんな人がいくらで入居できるのでしょうか。
ここでは、「武蔵野ユートピアダイアナクラブ」(埼玉県熊谷市)を例に見ていきましょう。
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「身の回りのことは自分で対処できる」ことが条件
軽費老人ホームは、法律で次のような一定の条件を持った人が入所できると定められています。
・60歳以上(夫婦の場合は、どちらか一方が60歳以上)
・身の回りのことは自分で対処することができる
・身寄りのない人、または家庭の事情等によって家族との同居が困難な人
従来A型・B型・ケアハウス(C型)の3タイプがありましたが、2008年6月からケアハウスの規準に統一され、A型・B型は建替えるまでの「経過的軽費老人ホーム」という位置づけに置かれました。
※3タイプの違い
A型:食堂があり、食事のサポートが受けられる
B型:各居室に自炊設備があり、食事は提供されない
ケアハウス(C型):介護サービスが受けられる
基本的には、自立した生活ができるけれども、身体機能の低下などにより日常生活に不安があるといった人に適した施設といえます。
入居時0円・月額6万4280円から

埼玉県熊谷市の小高い丘の上に建つ武蔵野ユートピアダイアナクラブ
では、大きな特長である利用料は実際にはいくらなのでしょうか。
月額費用は、入居者の収入によって変わります。同じタイプの部屋でも、収入が少ない人は安く、収入がそれなりにある人はもう少し高く支払うようになります。
A型の軽費老人ホームである武蔵野ユートピアダイアナクラブの場合を見てみます。
●最も安い月額費用:前年度の所得が150万円以下の人が対象
<6万4280円(税込) 内訳:生活費54,280円+事務費1万円>
●最も高い月額費用:前年度の所得が250万1円以上の人が対象
<10万5480円(税込) 内訳:生活費54,280円+事務費51,200円>
●いずれも入居金や一時金などはなし(退去時に原状回復費用が必要)
上記には最も安い金額と最も高い金額のみを記載しましたが、実際の月額費用は、前年度の収入をもとに最高と最低の間が10万円刻みで10段階に設定されています。(12段階以上は一律10万5480円)
※夫婦で入居する場合、夫婦の収入および必要経費を合算した合計額の2分の1をぞれぞれの収入とします。その額が150万円以下に該当する場合は、次のとおりとなります。
<6万1280円(税込) 内訳:生活費54,280円+事務費7,000円>
どれも、生活費は同じで事務費が変動しています。
この料金には、3度の食事代(行事食含む)や浴室利用料(自立している人は毎日利用可能)が含まれています。部屋の電気代は毎月現金で集金されます(10アンペアまでの基本料金は施設が負担)。なお、スタッフによる入浴や洗濯の支援もあります。

高台に建つ施設からは、周辺の景色が一望できます。
前述のとおり、軽費老人ホームは入居条件に「身の回りのことは自分でできる」とある社会福祉施設であり、介護保険が適用される介護保険施設ではありません。
しかし、武蔵野ユートピアダイアナクラブの場合、A型でありながら要介護状態の人でも訪問介護などの介護サービスを利用することで、施設生活を維持できれば入居することは可能です。
「3分の1ぐらいの人は、外部の介護サービスを利用していますよ」と生活相談員の牧野英子さん。
低価格で、しかも食事の世話や生活支援サービスが受けられる。そんな軽費老人ホームの実際について、次回から武蔵野ユートピアダイアナクラブを例にご紹介します。
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