特別養護老人ホームを取材!
アンミッコの紹介記事の最終回は、施設での健康の要になる食事と入浴について語ります。有意義に過ごしていただくために、最高のステージを演出する。そんな気持ちで取り組んでいるそうです。
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見た目に美しいソフト食を採用する
高齢者の方々は、年齢とともに歯や歯茎の状態が変わり、飲み込む力が弱まってきます。通常の食事でむせてしまうことが多くなると、多くの施設では、きざみ食やミキサー食を提供するようになります。しかし、どちらも見た目が悪く、食欲がわかなくなってしまう場合もあります。加えて、きざみ食は水分が少なくなって食べにくく、またミキサー食は水分が多すぎて、栄養が少ししかとれないのにお腹がいっぱいになる、ということが起こります。
誤嚥(ごえん)は命にかかわりますし、食べきれないと栄養がとれず、健康状態が悪化します。どんな方も食事の時間を楽しみ、栄養もとれる食事にしたい、そんな思いから、アンミッコでは、きざみ食やミキサー食の代わりにスチームで食材をやわらかくする軟菜食や、一度ミキサーにかけてから成形し直すソフト食を提供しています。

左が普通食。魚料理に付け合せのブロッコリー、サラダ、味噌汁など。右が同じ日のソフト食
編集部では、普通食、軟菜食、ソフト食、すべて試食させていただきました。軟菜食は、普通食と見た目がほとんど変わらず、それでいて歯茎でつぶせるほどのやわらかさです。ソフト食は舌でつぶせるやわらかさ。お魚形に成形した主菜は、味は普通食と同じ、でも食感は魚のテリーヌのようでした。いったんミキサーにかけてから成形するので、普通食よりも2段階手がこんでいることになります。「しかし、これで食欲が戻ってくるなら」という強い思いで、取り組んでいます。
納得するケアをすることが「輝ける人生」へのステップ

ユニットバスに電動リフトが付いていて、リフトが左右に稼働するので、右麻痺、左麻痺、どちらの向きでも入浴可能。座位の姿勢が保てる場合、介護度4くらいまでの方が利用できる。
個別ケアを実現するアンミッコでは、入浴も大浴場を使わず、個別浴にこだわります。浴槽は3タイプ。
そのうちアシスト式浴槽は、座位がとれるなら要介護4程度でも使用でき、入居者の快適を実現するとともに、職員も負担が少なく、安心できます。
入浴の際は、マンツーマンで職員がサポート。
「お部屋にお迎えに行くところから、入浴し、お部屋にお送りするまで、1人の職員が1人のご入居者に付き添います。何人かのスタッフが分業して、流れ作業をするようなことは一切しませんので、リラックスしてくつろいでいただけます。また、ご入居者とゆっくりお話したいのにできない…、と日頃思っている職員は、この機会にゆっくりとおはなしをうかがえると、とても喜んでいます」と、理事長の三浦祐一さん。
パソコンを使った電子カルテの仕組みも先進的。介護記録や医療情報など、すべての情報を手書きではなくパソコンに入力。関係者全員がタイムリーに共有できる仕組みです。介護スタッフ、ケアマネジャー、栄養士、機能訓練士などと連携でき、気になることを書き込めるので、心身の変化などに気づきやすく、通院時の医師とのやりとりもスムーズ。家族が希望する場合は、データ化された情報を閲覧したりプリントアウトしてもらうことも可能です。
「当初はパソコンが苦手と感じる職員もいましたが、何度も使っているうちに慣れてきて、2ヶ月たったら『もう前には戻れません、電子カルテのほうが数段楽です』と言ってくれました」
これまで三浦さんは、介護業界の習慣などについて、「なぜこのやり方なのだろう」と疑問を抱くことがたくさんありました。通常ならそれらを「まあ、しかたがないこと」と諦めてしまうのかもしれません。しかし、アンミッコでは、「おかしい」と思ったものはすぐに納得のできる形に見直し、よりよい介護を目指しています。
「輝ける人生」のために、あらゆる工夫をし、サービスを提供するアンミッコ。特養は、介護とは、こうあるべきという理想を、形にしています。
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