特別養護老人ホームを取材!
施設の美しさだけでなく、ケアのすみずみまで「美しい」と言いたくなるアンミッコ。きめ細やかな心遣いがあちらこちらに注がれています。
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寝心地のよさや、むれずに過ごせる環境に心をくだく

ユニットケアなため、居室は個室。まるでホテルのよう。
アンミッコの個室に入ると、まるでホテルのようなインテリアに驚きます。やわらかな照明やスタイリッシュな椅子とテーブル。壁のデザインもかわいらしいですね。
「よく、壁に高さ60cmぐらいついている、茶色の巾木が気に入らなくて。本当はつけたくない、と設計者に伝えたら、『車いすがぶつかるなど、支障があるので必要だ』と言われました。それならできるだけ低くしてほしい、色はアイボリーにして目立たなくしてほしいと依頼し、立ち上がり30cmの短いものにしました」
と、理事長の三浦祐一さん。細部にまでこだわるからこそ、介護施設としての機能性・安全性とデザインが両立しているのですね。

エアウィーヴという、優れた機能を持つ高級パッドを使用しているので寝心地がよい
また、ベッドマットのファスナーを開けると、こんなスポンジのようなものが。寝返りが楽で優れた体圧分散を実現した、夏涼しく冬暖かいマットレスパッドで、むれにくく、深く眠れると、巷でも評判の高級パッドです。
「よくあるビニールのマットレスは通気性が悪く、寝汗やおむつのむれで不快な思いをすることが多いんです。少しでも快適に過ごしていただきたいと考えています」
おむつの話をしながら施設内を見学していると、扉をガラリとあけて、おむつのストレージも見せてくれました。通常、施設ではせいぜい3、4種類のおむつしか揃えておかないそうですが、アンミッコでは全メーカー・全種類のおむつをそろえているとか。実は、おむつはメーカーによって大きさやフィット感、肌への刺激にかなり違いがあります。同じMサイズでも、違いの大きさに驚くほどです。
「ご入居者おひとり、おひとりに合ったものを使用するため全てのサイズ、種類を用意しています。毎週のようにどこかのメーカーに来てもらって、おむつの正しい利用や特徴を学ぶ講習をしてもらっています。」
利用者様の時間感覚に合わせたケアを

ドアの手前の壁に便器が据えられている
さらに、トイレの向きについても、説明してくれました。
アンミッコのトイレは、手前の壁に便器が据えられていて、通常と向きが違います。しかし、車いすの導線を考えると、この向きがいいとわかります。トイレのドアをあけてまっすぐに車いすを前進させ、利用者様が腰を上げ、奥の手すりにつかまれば、便器にすわることが容易になります。
排泄の自立に役立ち、介助者も腰を痛める機会を減らすことができます。
それに、ドアを開けたり閉めたりすることが多いので、利用者様が後ろ向きのほうが、プライバシーが守れます。
ひとつひとつ「よくぞそこまで気づいてくださる」と感嘆します。
「何件もの施設の立ち上げに携わってきた経験があるから、だと思いますよ」と、三浦さん。
ここでは、家庭と同じように過ごしてほしい、と三浦さんは考えます。職員の都合ではなく、入居者自身の希望を第一に優先して動くのだ、というのが、サービスの根底にあります。
「アンミッコでは『特別扱い』をよしとしています。それでは不公平ではないか、という人もいますが、50人の職員が100人のご入居者に接するわけですから、職員が2人に、特別扱いをすれば、50人×2人で100人全員が特別に扱われ、個別ケアが実現されることになります」
アンミッコとは、イタリア語で「ウィンク」という意味。あうんの呼吸のことを示します。ここに住む方に、あうんの呼吸のケアができるように、施設名には、そんな願いが込められているそうです。
次回は食事や入浴などについてご紹介します。
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