看護師24時間常駐の安心感
今回は、柏市の住宅型有料老人ホーム「未来倶楽部柏高柳」を取材させていただきました。平成25年2月にオープンした新しい施設です。
豊かな自然に囲まれゆったりと配置された77室はどこも日当たりが良く、四季折々の移ろいを味わうことができます。
現在入居されている方は全員、要介護。看護職員が24時間常駐し、健康管理をはじめ痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養といった医療処置も可能です。

未来倶楽部柏高柳

看護職員が24時間常駐なので、安心して過ごせます。
娘が母のために作った家

広報本部・本部長の加藤誠一さん(左)と施設長の和田賢一さん。
この施設を運営する「未来設計」は、首都圏に26の有料老人ホーム・介護施設を展開しています。広報本部・本部長の加藤さんによれば「創業者が『実母の終のすみかを作りたい』という思いからスタートした会社」だそうです。
「十数年前、創業者は勤めを持ちながら一人で母親を介護し続けることに限界を感じ、高齢者施設を探しました。しかし、医療情報を持って施設へ相談に行くと『対応できない』とどこからも断られてしまったのです。
そこで、受け入れてくれないなら自分で作るしかない!こうして、有料老人ホームのことなど何もわからないまま、ただ『母のための終のすみかを作ろう』と、会社を立ち上げました。

気持ちのよい入浴ができることも、快適な暮らしのための大切な要素。
社名の『未来設計』には、ご入居者様とそのご家族様の大切な未来の設計を私どもにお手伝いさせてください、という思いが込められています。」
「母のことを考えた娘の発想」からスタートしたからこそ、出来たこともたくさんあったそうです。
「たとえば、『母が気持ちよく過ごせるように』とヒノキ風呂を作り、『お風呂は1日おきに入りたいよね』と入浴回数を週3回に設定。また、『看護師がそばにいてくれたら安心だし、吸引だけで病院へ行くのは大変』と看護職員を配置しました。経管栄養への対応も早くから始めています。」
今ではヒノキ風呂での個浴や、看護師の常駐も多くのホームで行われていますが、未来倶楽部はその先駆けだったんですね!

健康管理室。看護職員やケアワーカーがいて、入居者の健康状態の情報もここで管理。
施設長の和田さんいわく「未来倶楽部柏高柳では、とくに医療面のサポート体制が、ご入居者様にもご家族様にも喜ばれています。看護職員も24時間常駐、つねに見守りの目がありながら、病院ではなく自宅に近い家庭的な環境でくつろげるんです。
また、夜間や緊急時も看護職員が対応し、必要があれば協力医療機関の医師に連絡。日ごろから診察している医師なので『○号室の○○さん』と言えばすぐに話が通じ、的確な対応ができるんです。協力医療機関の医師・看護職員が連携していますからご入居者様はもちろん、スタッフにとっても安心です。」

薬剤師は薬の飲みやすさも確認。錠剤、粉末など薬の形状や大きさも相談に乗ってくれるそうです。
医療との連携では、他にもユニークなサービスがあるそうですね。
「はい、グループ会社のみらい薬局が月に4回施設を訪問し、ご入居者様にお会いして服薬指導をしています。最新の薬情報を把握している薬剤師の目でチェックすると、発見もあるんです。
多くのご入居者様は内科・眼科・歯科など複数の医師にかかり、それぞれから処方された薬を飲んでいます。その際、複数の医師から同じ効能の薬が重複して処方されるケースは少なくありません。
血圧、胃薬など、気づかないまま同じような薬をいくつも飲んでいることがあります。この薬の情報を一つの薬局に集約すると、不要な薬や良くない組み合わせに気づくことができます。それで薬の量が減ることもあります。また、薬剤師がご入居者様の様子を見て体調の変化に気づくこともあります。」

ゆったり過ごしていただきたいから、エントランスは広々とした設計です。

約240㎡の菜園で収穫した野菜を食べることも。園芸は認知症の方にも良い効果が見られます。

日当たりが良く大きな食堂。どの状態の方でもお食事を楽しめるようにソフト食などメニューも工夫。
入居者を選ばない受け入れ方
胃ろうやIVH、末期ガンなど医療依存度の高い方でも入居可能とのことですが、認知症はどうですか?
「もちろん認知症の方も入居可能です。暴力行為、不潔行為などがあって、病院や他の施設から退去を余儀なくされ、未来倶楽部に入居された方もいます。そして、未来倶楽部に入居されてから問題行動が収まったという方も多数います。
認知症の方は、おひとりおひとり違います。未来倶楽部では、それぞれフィーリングの合うスタッフが、可能な限り長い時間かかわって、その方が快適だと感じることや、嫌だと思うことを理解するようにしています。何が気に入らないのか、何が喜ばれるのかを探し出せれば、それぞれの方に合った接し方で、それぞれの方が快適と感じる生活スタイルをサポートできます。また、精神疾患で並行してメンタルケアが必要な場合も、往診で専門医を呼ぶことができます。」
終末期ケアにも早くから会社として取り組んできたそうですね?
「施設のお部屋で眠るように亡くなられていくのを、何人もお看取りしてきました。状態が悪くなって疼痛管理もしなければならない時は、ご家族も落ち着いて考える時間が持てない中で日々の介護に追われてしまいます。そして亡くなられた後に『きちんと介護できたのだろうか・・・』という思いが残ることもあります。
お看取りさせていただいたご家族からは、『施設で介護を受け、距離を置くことで気持ちの整理ができ、悔いなく看取ることができた』という声もお聞きします。」
入居者さんに聞いてみました!

納涼祭で華やかなレイをかける北澤さん
歌や手作りクラフトなど、日々いろいろな趣味を楽しんでいらっしゃるという北澤好井さん。
「ここの皆さんには、とても親切にしてもらってます。日々の体調管理はもちろん、何から何まで至れり尽くせりで、毎日楽しく過ごさせていただいてます。」
はつらつとした笑顔で、とてもお元気な北澤さんですが、ご入居のきっかけは心臓疾患による入院だったそうです。退院後のお身体を案じて、息子さんが有料老人ホームを探し手続きされました。
実は入居当初は、自分の意思に関係なく入居の手続きをしたご家族を恨んだ時期もあったそうです。「8年間も続けた独り暮らしと比べて、不自由な暮らしになるんじゃないだろうか?」と不安だったとか。
でも、夜間に再び心臓発作に襲われた時、スタッフが迅速に救急車を手配して、病院までずっと付き添い一命を取りとめたことに、心から安堵感を覚えたそうです。「一人暮らしだったら多分助からなかったろう。」と北澤さん。
また、毎日の食事の用意や家事に煩わされることがなくなった分、歌や体操、リハビリ、他のご入居者様と手作りクラフトなどを楽しめるようになったそうです。
今では納涼祭やお誕生会などの催しにも積極的に参加。デイサービス利用時から楽しんでいた、お花の絵や千切り絵づくりに励むようになったそう。ご自身のお部屋や施設の展示スペースにたくさん飾って、大好きな作品に囲まれていらっしゃいます。
充実した日々を過ごされていくうちに、心境もすっかり変化したという北澤さん。「(ここを選んでくれた)息子には感謝しているぐらいです。幸せですよ。」
終のすみか選びはご本人はもちろん、ご家族にも重要なこと。一方で、頼れる家族のいない高齢の方も増えています。未来倶楽部は有料老人ホームとしては珍しく、保証人を用意できない場合も入居が可能。これも、もし自分が老人ホームに入るとしたらどうなるんだろう…という創業者の発想から生まれています。保証人がいなくても、成年後見制度などいくつかの方法で入居が可能だそうです。
重度医療、認知症、保証人不在…難しい条件でも、入居者や家族の視点に立って受け入れてくれる。未来倶楽部は、そんな頼れる駆け込み寺のようなホームと言えるかもしれません。

個室には介護ベッド、エアコンを完備し安心コールも設置しています。

ファミリールーム兼多目的室。ご家族の方とのんびり時間を過ごせる快適なお部屋です。
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