都心に近く交通アクセスの良い「千葉」エリア。東京都心と同じ設備・サービスのホームでも、都心と比較すると費用はお手頃です。このエリアの注目ホームをピックアップしてご紹介します!
豪奢な外観と洗練されたデザイン

新浦安にある「舞浜倶楽部 新浦安フォーラム」は、スウェーデン式の介護を取り入れた老人ホーム。認知症ケアや元高級料亭の料理長が作る食事など、さまざまなトピックスでも新聞や雑誌にもとりあげられています。
JR京葉線 新浦安の駅から徒歩15分。ロシアのエルミタージュ美術館をイメージしたという建物はヨーロッパの邸宅か、リゾートホテルのよう。 入口のドアが開くと、目の前に現れるのはホテルのようなコンシェルジュ。
開放的なカフェテリアや落ち着けるラウンジもあります。
「新浦安フォーラムには、『自立』から『要介護5』まで74名の方が入居されています。そのうち7割の方が認知症ですが、入口のドアに鍵はかけません。外出時は担当スタッフがほぼマンツーマンで付添していますし、フロントでも必ず声をおかけして様子を確認します。鍵ではなく、人の目でケアしているんです。」と前施設長で、現在は常務執行役員の佐藤さん。

ご家族が来るのに事前連絡は必要無し。取材中もたくさん来られていました。

ご家族やお客様を迎えるのにぴったりのラウンジ。

日本語堪能で気さくなグスタフ社長と佐藤常務。
理念を、理想で終わらせない

施設内は7つのユニットに分かれ、それぞれ浴室や玄関があります。写真のようなユニットリビングも複数あり、ここで食事をします。
重度の認知症専用ユニットに入居した方々は、他の有料老人ホームや病院から移ってきた方が多いと言います。
「入居される時は精神的に不安定だったり、周辺症状をお持ちの方も多いのです。しかし入居して3~6ヶ月たつと、みなさん精神的に落ち着かれ周辺症状も軽減します。要介護度も改善されることがあり、ご家族の方も驚かれます。」
実際に重度認知症の方専用ユニットにお伺いすると、何人もの方がユニットリビングでくつろがれ、雰囲気はおだやかそのもの。何故なのでしょう?
「スウェーデン式介護の効果があると思います。私達が大切にしているのは、入居されている方の人格の尊厳を守ること。QOL(クオリティオブライフ=生活の質)を保つことです。その理念を実践していけば、周辺症状が改善されたり、進行を遅らせる場合も多いです」と佐藤さん。
『スウェーデン式の介護』は日本の介護と何が違うのでしょうか?
スウェーデン出身のグスタフ・ストランデル社長にお伺いしてみました。
「スウェーデンは福祉先進国と言われていますが、最初から福祉が進んでいたわけではありません。以前のスウェーデンでは、オムツ、褥瘡、大量の薬があたりまえでした。グループホームの建設の際には近隣住民から反対運動…。しかし、現在のスウェーデンでは全くありません。」
「私は日本全国250箇所以上の介護施設を自分の目で見てきました。素晴らしいホームもあり、そうでないホームもありますが、全体としてスウェーデンに比べ一世代遅れているように感じます。しかし、設備やスタッフの質が低いということではありません。遅れているのは『社会の理念』。そしてそれも徐々に変えていけるし、変わりつつあると感じます。」
社会の理念とは、具体的にどういうことでしょう?
「スウェーデンでは『人格の尊厳を守る』という理念が浸透したため、介護の質が変わりました。
ただ息をするのではなく、人間らしく自分らしく満足のいく暮らしができること、尊厳を持って生きることを重視します。」
「もちろん、掛け声だけでは実現できません。そのための介護体制と正しい知識や経験が必要です。」
例えば、どんな介護体制でしょうか?
「介護保険では『要介護者3人に対して、ケアスタッフが1人以上いる』ことが条件づけられています。ですが現実的に3:1では少なすぎます。特に認知症の方をケアするには足りません。ケアスタッフにきめ細かなサービスをする時間がなく、施設の都合でサービスをせざるをえなくなりがちです。新浦安フォーラムではその2倍の『要介護者1.5人に対してケアスタッフ1人』という体制にこだわっています。」
「また、理念に伴うスウェーデン式の介護を取り入れています。毎週勉強会を行いケアの事例を検証し共有して、スタッフのスキルアップを図っています。ケアの質=介護者の質ですから。」
福祉先進国 スウェーデン式の介護方法
スウェーデン式の介護方法として新浦安フォーラムが取り組むものには、こんなものがあります。
■「コンタクトパーソン制」
入居者お一人お一人に、担当(コンタクトパーソン)を明確にします。コンタクトパーソンは、担当する入居者の方の生活歴や個性などを理解し、しっかり向き合います。そのため入居者・スタッフ間の信頼がより強まり、ご家族もコンタクトパーソンに問い合わせや相談をされることが増えているそうです。
■「タクティールケア」

末期ガンや看取りケアの際にも安心感や、やすらぎを与えます。
入居者の方に対して行うスキンシップ。
手足・背中などを決まった法則で10分以上マンツーマンで触れていきます。安心を促すホルモンが分泌されるなどの学会報告もあり、特に不安や不眠、徘徊などのある方に対しとても効果があるそうです。
■「ブンネ法音楽ケア」
4種類の専用楽器を使いみんなで演奏するプログラム。楽器の知識や経験がなくても簡単に扱うことができます。音楽の力は洋の東西を問わず大きいものですが、自分の担当楽器や、担当する音(ド、レ、ミなどそれぞれ音を決めて担当します)という役割を得て、より一層喜びや楽しみが大きくなっているのだとか。

楽器演奏の前に、紙芝居のような絵を用いて昔を回想し記憶を刺激。

ギター、ベース、単音フルート、チャイムバーなど何種類もの専用楽器を使用します。

週に2回のセッションには入居者の7割の方が参加されます。
■「スウェーデン式の排泄ケア」
入居時にオムツをされている方にも、自分で排泄ができるように働きかけます。
オムツの濡れ方や、時間、サイクルなどをデータに残し、その時間の少し前にトイレに誘導するなどを続けながら、自力で排泄ができるよう支援します。寝たきり生活に近かった方が、排泄ケアを続ける中で回復され、介助なしでトイレはもちろん散歩に行けるようになったなどの事例もありました。
入居されている方の満足度は?

趣味の油絵の前で舩尾さんとコンタクトパーソンの田部さん。
2年半前に入居された舩尾洋二さん(90歳)は、とてもお元気そうですが…
「実は、私は末期の肺がんや、脳梗塞、狭心症などの病気があって、余命2年と宣告されてから入居しました。体験入居をして気に入り、グスタフ社長に『私はガンで余命が短いですがここで死なせてくれますか?』と聞いたら『OK!』と即答されて(笑)。でもその余命、既に1年オーバーしているんですが。」
「入居したときは要介護2で杖がないと歩けませんでしたが、今は要支援2になって支えなしに歩けるようになっています。料理がおいしいせいかもしれません。もうそろそろお迎えがきてくれないと、私も予定が狂ってしまいます(笑)」
ウィットに飛んだ舩尾さんですが、今の介護の現状や施設についてはシビアな目も。
「他にも5、6件の老人ホームを見る機会があったのですが、スタッフの効率を重視し手間のかからないマニュアル通りの介護が行われているという印象を受け、入りたいとは思えませんでした。新浦安フォーラムは、知人に相談した時に教えてもらいました。もともと東京住まいで家族も東京ですが、新浦安は近いですしね。スタッフの方も、マンツーマンで見てくれるので信頼できます。」
コンタクトパーソンの田部さんいわく「人生経験豊富な舩尾さんとお話していると楽しいし、スタッフとしても勉強になります」。
新浦安フォーラムは、浦安市と「認知症ケア」の協働事業も行っています。
グスタフ社長は、浦安市に、そして日本に『人格の尊厳を守る』という理念を伝えたい、と語ります。
「スウェーデンの良い部分は積極的に取り入れながら、日本の文化や生活に根付いた介護のかたちに磨きあげていきたい。それが日本で暮らすスウェーデン人である自分の、そして新浦安フォーラムのできること、すべきことだと思っています。」

床から天井まである大きな窓で車椅子やベッドからも景色を楽しめます。

ユニット毎にあるヒノキのお風呂の他、銭湯のような大浴場も。

個室内のシャワーは排泄に失敗したとき、すぐに清潔にするための工夫。
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