老人ホームの見学や体験入居などをして、入居したい施設が決まったらいよいよ契約です。
老人ホームへ入居する本人、ご家族、双方が満足していますか?
もし、問題点、疑問点があるなら、納得できるまで施設に確認してください。家族みんなが納得できるまで話し合い、その上で決定したのであれば、以下の流れで進めましょう。
1.老人ホームに入居する本人に、最終の意思確認をする
いよいよ契約ですが、本人は本当にその老人ホームへ入居することに納得していますか?
「家族がすすめるから」といった気持ちでは、せっかく選んだ施設でも豊かな老後は送れません。
本人への最終意志確認を怠ったために、入居後すぐに退去してしまったり、無気力になってしまう高齢者も少なくありません。
必ず確認するようにしてください。
2.身元保証人・身元引受人を決める
一般的に老人ホームでは、相談する窓口として入居希望者の身元保証人・身元引受人を必要とします。
金銭面や介護の問題で施設側が相談をしたいときは誰に連絡をすべきか、誰が代表して保証人や引受人になるのかを決めましょう。家族間で十分に話し合って決めてください。
なお、老人ホームによって、身元保証人が不要なところもあります。家族がいない人や、家族はいるけれど頼れない状況の人は、施設に確認してみてください。
3.家族の責任・連携・役割を確認
老人ホームに入居した後、家族がどのように役割分担するのかを再度確認してください。
<金銭面>
老人ホームで暮らしていくことは、決して安価なものではありません。ですから、入居後いちばんトラブルになりやすい原因が「お金」なのです。
入居希望者の年金口座や預貯金の状況確認、月々の支払いが不足した場合、誰が不足分を補うのか。身元保証人・身元引受人を中心に、あとで揉め事が起こらないよう、しっかり取り決めを行ってください。
<健康面>
入居時には健康で自立した生活ができていたのに、その後体調が悪化して要介護度が急速に重くなるケースもあります。また、病気や事故で急に体調が悪化する、救急車を呼ぶ、というケースもあるでしょう。
健康上の問題が出たとき、施設は、原則、身元保証人・身元引受人に連絡や相談をします。
時には、すぐに電話でなんらかの判断をする、病院へ連れて行く、様子を見に行くなどが必要になります。
しかし、遠方に住んでいる場合や、仕事中は電話に一切出られないなど連絡がとれにくいと、臨機応変な対応ができません。
これらも想定して、身元保証人や引受人を考えておいた方がいいでしょう。家族間で、健康面での問題が起きた場合に備えて、話し合っておきましょう。
<精神面>
住み慣れた自宅を離れて老人ホームに入居することは、精神面でも大きく影響します。心細くなったり、寂しくなったりするなど、入居に全く抵抗がない入居者は少ないでしょう。
施設への訪問や、外出しての食事、家族宅への外泊など、誰がどれくらい行うのかも、なるべく家族間で話し合って欲しいポイント。「時間があるときに」「できるだけ」といった約束は、約束していないものと同じです。
たとえば、入居したばかりの方に半年間家族の誰一人訪問しないような時に、「〇〇がやっていると思った」、と家族みんなが口にしたというケースがあります。
このように家族間で連携が取れていないと、入居者の精神を不安定にさせてしまいます。入居の前に、十分話し合いの場を持ってください。
4.老人ホームとの契約
契約には保証人や必要な書類があります。
たとえば有料老人ホームとの契約だと、たいてい入居者の署名と、身元保証人・身元引受人が必要になります。
身元保証人・身元引受人は支払い債務に連携して責任を負い、入居者が退去する場合の備品等引受人の責務も負います。
入居希望者、身元保証人・身元引受人共々、契約書、管理規定等を再度確認して、契約時にはお互いが立会って契約書にサインをしてください。
契約時には、入居時に必要な書類、入居金、月額利用料の支払い方法、入居後の事務手続き等の説明があります。
あとで聞いてない、ということのないようにしっかりと確認してください。
なお、契約には、健康診断書や印鑑証明、住民票などが必要になる場合が多いですが、健康診断書や診療記録など病院からもらうような書類は、入手するまでに時間がかかります。
必要な書類が何なのかは、事前に確認して早めに手配した方が良いでしょう。
5.老人ホームへの入居日の決定
すでに運営している老人ホームへの入居は、お互いの都合のよい日時を話し合えばよいのですが、これからオープンする施設では、入居日を指定されるケースがあります。
また、入院中の入居希望者は退院の手続きをしなければなりません。
施設と相談しつつ、お互いがもっとも都合のよい日を決定しましょう。家族はなるべく付き添えるよう、スケジュールを調整してください。
6.行政等の手続き
住民票、年金受け取り口座、健康保険の変更をしなくてはならない老人ホームもありますし、月額利用料の支払いのために、新しい口座を作らなければならない場合もあります。
時間の余裕を持って、対処してください。
7.老人ホームへの引っ越し準備
衣類などの生活必需品を基本に、必要なもの、そうでないものを、入居希望者と家族で選定してください。
新しいものに買い換えてもいいのですが、消耗品でなければ使いやすいものがいちばん。思い出が詰まっているものもあるでしょう。
選定には入居者の意見を尊重するのがよいでしょう。
8.引っ越し時・引っ越し後の片付け・処分
引っ越しに伴って出てくる不良品はリサイクルショップに売ったり、売れないようなものであれば回収業者に一括取引の依頼をしましょう。
家具や家電など大型のものでも引き取りに来てもらうことができます。
業者によって引き取り金額が異なるので、複数のお店に問合わせることをお奨めします。リサイクルショップに売ることができれば入居の費用の足しにもなるでしょう。
9.老人ホーム入居後の注意
引っ越しが終了したからといって、ゴールではありません。これからが新たな生活のスタートです。
入居者が楽しく快適に老人ホームで生活できるよう、以下のことに注意してください。
最初の3ヵ月はできるだけ家族が施設を訪問する
老人ホームでの生活は、入居者も最初はとまどうことでしょう。
施設側でもなるべく早く新しい生活に溶け込めるような努力はしていますが、やはり家族の愛情がいちばんの支えになります。
最初の3ヵ月はなるべく訪問回数を増やして、一緒に食事をしたりしてください。
ケアプランの策定に参加する
入居者が快適な生活を送るためには、施設の努力だけでは実を結びません。中でも介護に関しては、お互いが密になってケアプランを策定、実行、変更してください。
家族の訪問時には、老人ホームのスタッフに、入居者の体調やケアプランの確認などを行うとよいでしょう。しばらく訪問できないときは、電話で確認するようにしてください。
老人ホームへの意見・要望は早めに伝える
設備やサービスがいくら素晴らしくても、好みや考え方は人それぞれ。不安や不満が生じたら心にしまいこまず、施設にきちんと意見を伝えましょう。
我慢をしてためこんだ上で突然クレームとして爆発させてしまうのは、お互いにとってマイナスです。
お金の問題は即解決を
お金に関して疑問を感じたら、すぐに施設に伝えて解決するようにしましょう。
特に金銭の問題は、解決しておかないと後になってさらにこじれることがあります。注意してください。
●老人ホーム探しのヒント
良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
