高齢化に伴い、老人ホームは増加が続いています。施設により、サービス、価格、規模等さまざまですが、大事な資産を使うのですから、入居後に「こんなはずではなかった……」と後悔したくはありません。
そこで、注意すべき老人ホームの特徴と、これだけはやめたい老人ホームの選び方・決め方をご紹介します。
こんな老人ホームには要注意!
老人ホーム選びには注意したい点がいくつかあります。早まった決断をしないよう、しっかりチェックさいておきましょう。
契約書等の必要書類をくれない
契約前に契約書や管理規定を確認できないのであれば、選びようがありません。
事前に資料を渡せないということは、サービス内容が説明と違う、あるいは自信がないということになります。こういった老人ホームは避けましょう。
サービスの有料、無料がはっきりしない
こういった施設で、もめる一番の原因はお金のことです。
老人ホーム毎にさまざまなサービスを提供していますが、この費用の有無の詳細は必ずチェックすべきです。それ次第では入居の予算額をオーバーしてしまう可能性も。はっきりさせないのは、信用できる老人ホームではありません。
説明やパンフレットに抽象的な美辞麗句が多い
説明を聞いたりパンフレット見る際、「安心」「快適」「豊かな老後」などといった抽象的な表現に惑わされないでください。あいまいな場合は、具体的な説明を求めるようにしましょう。
「介護スタッフがいつでもお世話します」ではなく、「介護スタッフは、昼間は○人、夜間は○人」「24時間介護」などとはっきり説明してくれるとイメージもわきやすいですよね。
主観的な美辞麗句ばかりを並べ、サービス内容の説明があいまいな老人ホームは避けましょう。
スタッフの態度が悪い!
挨拶がない、言葉遣いが乱暴、笑顔がない、靴のかかとを踏んでいる……など、スタッフの態度が悪い老人ホームも避けましょう。
もしも素晴らしい運営理念を掲げ、見学担当者の説明の内容がよくても、態度の悪いスタッフが働いているということは、その理念が職員に届いていません。届いていなければ、より良いサービスも受けることも難しいかもしれません。
契約を急がせる
「この部屋しか残っていません」「見学者の予約が入っています」「いますぐに契約を」と急がせる老人ホームも少々心配です。もちろん、実際に部屋が埋まりかけていたり、予約が入っている場合もあるので一概に信用できないわけではありません。
ですが、かつて不動産を探したことがある方なら経験があるかもしれません。「この界隈で予算に合った物件はここしかないですよ」と古くカビ臭い部屋を紹介されたものの、念のため他の不動産屋に行ってみたらよい物件がたくさんあった、などの話はよくあることです。
病院から退院を迫られていたり、家族側が焦っている場合は、つい勢いで決めてしまいそうになります。でも、老人ホーム選びは本人や家族にとって一大事。長い人生のフィナーレでもあります。
個々の施設のメリット、デメリットを比較検討するためにも、勢いで契約させようという雰囲気を感じる老人ホームは慎重に検討しましょう。
体験入居ができない
契約書を熟読して説明を聞いても、実際に暮らしてみないとわかりません。また、サービスは素晴らしくても、老人ホームの雰囲気に馴染めない方もいます。ですから、暮らしを疑似体験できる体験入居は必須事項といえるのです。
事情があり受け付けていない施設もあるかもしれないので、断られた場合にはその理由が納得できるものなのかを確認しましょう。
もし納得のいく説明がないのであれば、施設側がサービスに自信をもっていない可能性もあります。こういった老人ホームは避けましょう。
運営懇談会が開かれていない、またその説明を避ける
老人ホームの運営について、施設、入居者、家族などが集まって、施設サービスの問題などを話し合い、解決する場が運営懇談会です。厚生労働省の指示によるもので、管理規定等に明記されているところが多いのですが、実際には定期的に行われていない施設もあります。
行われていなければ、入居後、施設への苦情を全体で話し合う場がないのです。
運営懇談会は、利用者や家族の声を聞き、よりよいホームを目指すための場。運営懇談会の代わりになる家族会などが開かれる場合もありますが、話し合える場を作らない老人ホームは避けた方がよいでしょう。
こんな老人ホームの決め方はダメ!
老人ホームを探すことに慣れている人はほとんどいません。そのため、焦って条件など曖昧なまま契約してしまうことも多いのです。老人ホームへの入居を決めることは、大きなお金が動くということ。見極めが大切です。
金額に左右される!
とにかく安さ重視!と選んでしまうと「安物買いの銭失い」になりかねません。有料老人ホームの費用は、施設や権利を含んだ入居金と、毎日の生活のための月額利用料から成り立っています。
建物のグレード、立地条件、配慮の行き届いた介護などを求めれば、高額にならざるを得ません。かといって、高額ならば最高の空間とサービスを提供してもらえるのかといえば、そうとも限りません。
重視するポイントに優先順位をつけて、妥協できるポイントも考えた上で、しっかり費用対効果を見極めましょう。
1人で入居を決める!
入居する本人と、家族との意見交換が重要です。話し合いをせずに勝手に決めてしまうと、あとでトラブルの元になります。老人ホームは、おそらく生涯暮らす場所。見学もなるべく家族で行いましょう。
入居する本人が元気なうちに探す場合、誰にも相談せずに自分だけで決めてしまうこともあります。でも、今は自立していても、将来介護が必要になった場合や亡くなった後は、たいてい家族の誰かのお世話になるのです。
わだかまりが生じないよう、事前に相談しておくことをおすすめします。
また、もし病気などで本人との意思疎通が難しくなっている場合は、意見交換のしようがありません。その際は、本人だったらこう考えただろう、というのを想像してみましょう。
もちろん、病気がそこまで悪化する前に、本人の意思を確認しておくのがベターです。
その場ですぐ入居を決める!
見学に行った老人ホームのゴージャスな雰囲気やサービスの充実度に圧倒され、その場で契約を交わしてしまう人がいます。
その後の暮らしに問題がなければいいのですが、そんなラッキーな人ばかりではありません。雰囲気に流されずに、複数の老人ホームを見学して、じっくりと比較検討をしてください。
家を買う、賃貸物件に引っ越す際でも、その場ですぐに決めるということは少ないですよね。他の家族ともよく相談をして、熟慮の上決めましょう。
ひとつの老人ホームしか見学しない!
老人ホームにどんなイメージを持っていますか? 暗いイメージのまま初めて見学に行って、その清潔な雰囲気や豪華なインテリアに驚いてしまう人が多いそうです。
そんな人に多いのが、「ひとつの施設しか見学をしない」というミス。どんな施設も一長一短です。多くの老人ホームを見学すればするほど、それぞれの強み・弱みが見えてくるはずです。
必ずいくつかの老人ホームをチェックしてください。
契約書等の書類をよく読むこと!
福祉施設である特別養護老人ホームと違い、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は民間施設です。そのため、設備やサービス、料金は施設によって大きく違います。ですから書類に記されている内容をしっかり確認することが、非常に重要になるのです。
「難しいことはよくわからない」「説明を聞いたから」と契約書をよく読まないで契約する人がいますが、言葉での約束は信用できません。面倒がらず、契約書は必ず何度も理解できるまで目を通してください。
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