失敗しない老人ホーム選びには、見学が必須!
せっかく時間をかけて見学するのですから、ただ漠然と説明を聞いているうちに終わってしまった、肝心な部分を見忘れた・聞き忘れた、ということがないようにしましょう。
また、施設の見学担当者は、こちらから質問しない限りわざわざ話してくれない場合もあります。特に見るべき、聞くべきポイントを以下にまとめました。
見学にあたっての心得
複数の老人ホームを見学しよう!
介護サービス、立地、費用、スタッフ、緊急時の対応など、老人ホームを選ぶ要素はたくさんあります。そして、どんな施設であっても一長一短があるものです。
即決したいほど良いと思える施設があったとしても、なるべく多くのホームを見学することをおすすめします。見ているうちに目が肥え、それぞれの違いがわかり、自分のこだわりたいポイントが明確になっていきます。
気に入った老人ホームは2度見学・もしくは体験入居を
気に入った老人ホームがあっても、すぐに契約を決めないようにしましょう。複数の施設を見比べた上で判断してください。複数見て目が肥えると、再度チェックしたい部分が出てくるかもしれません。入居を決める前にもう一度見学をするか、体験入居をするようにしてください。
初めて見学した施設が気に入ったとしても、勢いで入居を申し込んでしまうのは避けましょう。
気になることは必ず理解できるまで確認!
老人ホームの仕組みや介護の専門用語などは、その職業に携わっている人や経験のある人でなくてはすぐには理解できないものです。
わからないのが普通ですから、恥ずかしく思う必要はありません。どんなことでも疑問を持ったら、必ず理解できるまで施設へ確認してください。
お金を払うのはあなたです! 遠慮は不要です。
見学の流れ(準備から実際の見学まで)
実際の見学の流れとポイントをご説明します。
1.見学前の事前準備
●確認ポイントをまとめる
インターネットの施設情報や請求した資料でわからなかった点、確認したいポイントは事前にメモにまとめておきましょう。
見学時にはここもチェック!良い老人を見学時に見極めるヒントを、こちらでご紹介しています
●持ち込みたい家具類のサイズを測る
必ず持ち込みたい家具・家電などがあれば、部屋に持ち込めるかどうか確認するために、事前にサイズを計っておきましょう。
●体調管理
入居する本人が見学に行く場合は、体調管理に気を付けましょう。慣れない場所をあちこち見学したり、話を聞くのは元気な人でも、疲れるもの。介護が必要な高齢者なら、なおさらです。
具合が悪くなって途中できりあげてしまった、などとならないよう、万全の体調で見学できるようにしましょう。
<見学時の持ち物>
●履きやすい靴
●質問事項や確認したいポイントをまとめたメモ
●筆記用具
●カメラ
●メジャー

2.見学予約
見学の日時をホームへ連絡します。見学はいつでもいいというわけではありません。ホームの現入居者の生活習慣の邪魔になる時間は割けるべきですし、スタッフの忙しい時間帯はじっくりと見学ができません。
突然の見学でもOK!とうたわれている場合も、事前に連絡をしておいた方が安心でしょう。
担当者が外出などで不在だと、一通りの見学はできても、費用や契約などに関する詳しい話が聞けなかったりします。
また、見学予約の際は、見学に同行する人数、特に見学を希望する設備、撮影の許可や、当日欲しい書類などを伝えましょう。
<予約時に伝える事>
●見学に行く日時
●同行人数
●具体的な交通手段
●特に見学をしたい設備
●撮影したい設備
●必要書類(財務諸表など)

3.前日の電話確認
見学する前日になったら、電話で確認をしましょう。
これは予約の確認をすると共に、スタッフの教育レベルを見る材料のひとつになります。いくら運営理念が立派で見学担当者の説明が素晴らしくても、働いているスタッフが電話受付すら満足にできなかったり、不快に感じる対応をする場合、入居後の暮らしも想像できます。

4.立地環境の確認
当日は騒音、振動、車の交通量、自然の多さといった周囲の環境も確認しましょう。
実際に入居すると、徒歩で行ける範囲での行動が多くなります。コンビニやスーパー、散歩道なども見てみることをおすすめします。
駅から遠い場合は、シャトルバスがあったり送迎車を用意してくれる場合もあります。見学者に対してのみなのか、入居してから家族が訪問する時にもサービスがあるのかを確認しましょう。
家族が訪問する時には送迎車が用意されないのであれば、訪問時に利用するであろう交通手段で行った方が参考になるかもしれません。

5.老人ホーム内見学
見学担当者や施設長の案内で、ホームを見学します。入居者が実際に生活している場所ですから、撮影したい場所があれば担当者に確認をしてください。
建物の雰囲気、設備、居室の広さ、共用スペースなど、チェックすべき点はたくさんあります。実際に暮らしたときの生活を想像しながら、施設内での移動や入浴、食事、排泄などがスムーズに快適に行えるかをチェック。
個室については、時間帯によって日当たりが変わります。日当たりにこだわる場合は、その時間をしっかり確認しましょう。
また見学する個室はほとんどの場合がモデルルームです。イメージをつかみやすいよう、部屋には家具やベッド、カーテン、エアコンなどが配置されています。ですが、実際には備え付けではない家具が置かれているだけのことがあります。
どこまで備え付けか、備え付けがあっても今自宅で使用中のものを持ち込み可能か、などを確認しましょう。
スタッフや他の入居者の雰囲気をチェックすることもお忘れなく。

6.ホームからの説明
具体的に施設を見学したあとは、パンフレットや契約書などの資料に沿って、担当者から施設の説明が行われます。理解できない、疑問点などはその場で必ず確認してください。

7.入居者・家族側からの質問
事前にチェックしておいた質問だけでなく、実際の見学で疑問に思った点があれば、それも確認してください。
質問に対する返事ももちろんですが、質問に対する担当者の態度や対応も判断材料になりますから、気になることは必ず確認してください。

8.必要書類をもらう
説明、質問を終えたら揃えるべき書類を用意してもらいましょう。
以下に入手すべき主な資料を明記しましたが、正当な理由なくこれらの提出を渋る場合、慎重になった方がよいでしょう。
<入手すべき書類>
●入居契約書
●管理規定
●重要事項説明書
●介護サービス等の一覧表
●詳細なサービス料金表
●特定施設利用契約書
●決算書、損益計算書、貸借対照表を含む、財務諸表等一覧
●東京都の施設の場合、東京都消費生活条例による表示書面

9.事後チェック
自宅に戻ったら、見学時のチェック内容を確認してみましょう。聞き漏らしたことはないですか? 気になるところはありませんか?
入居希望者側、家族を預ける側、双方の感想をまとめましょう。
見学時の注意点
老人ホームには、多くの入居者が実際に生活しています。それを見学させてもらうのですから、マナーは守らなくてはなりません。見学の際には、以下のことに注意してください。
予約をせずに勝手に見学に行く
「予約なしでの見学が可能」といった案内がない限り、ほとんどの老人ホームで見学は事前予約制です。
スタッフが忙しい時間に突然見学に行くと、スタッフや入居者の生活を邪魔することになってしまいます。
見学する際は、事前に連絡しましょう。予約なしで見学できると言われている場合も、事前に連絡をする方がベター。きちんと伝えた上で、しっかりと説明や案内をしてもらいましょう。
勝手に施設内を移動する
老人ホームは入居者が生活する場所である、ということを念頭に入れてください。見学担当者の説明を聞かずに歩き回ったり、勝手に居室を覗くなどは絶対に止めてください。自分の家を勝手に人が覗いているのを知ったら、入居者は気分のいいものではありません。
居室、浴室を見学したいのであれば、予約の際にその旨を伝えておきましょう。当日の場合も、まずスタッフにお願いをして、入居者の許可が出てからとなります。
大人数で見学に行く
大人数で見学に行くと、どうしても大声でしゃべったり騒いだりしがち。もともと老人ホームは介護が必要な高齢者が暮らす場所ですから、度が過ぎることのないよう注意しましょう。
但し、ホームを選ぶためには第三者の目も必要です。2、3人で見るのが最もおすすめです。この人数も、予約の際に伝えておきましょう。
勝手に写真を撮る
見学後、ほかのホームと比較検討するためにも、写真は重要ですが、許可なくむやみに撮影するのは止めましょう。
どこを撮影したいのか、具体的に示して見学担当者に撮影の許可を取りましょう。入居者の顔はなるべく入らないように配慮してください。
知り合いが入居していたことを、帰ってから別の人に話す
入居者の中には、自分が老人ホームで暮らすことを公表したくないという方もいます。入居者だけでなく、そのご家族が知られたくないかもしれません。
知っている顔がいたからと、外でそのことを話題にするのはエチケットに反します。注意しましょう。
●老人ホームを探す際には、こちらのページもご覧ください
老人ホーム探しのヒントが満載 → 良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
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