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認知症を持つ本人は何を思う?認知機能低下による運転免許返納

2017年7月13日

2017年3月、改正道路交通法が施行され、75歳以上のドライバーの認知機能検査が強化されました。
運転免許の更新の際などに「認知症の恐れがある」と判定されると、「臨時適性検査」(専門医の診断)の受検、または医師の診断書の提出を求められます。その結果、認知症と診断をされた場合には、免許の停止や取り消しという措置が執られることになったのです。
改正法が施行された3月から5月までの3ヶ月間で、認知症の恐れがあると判定された75歳以上の高齢者は1万2000人弱。そのうち、1000人弱が医師のアドバイスなどによって、免許を自主返納したという報道がありました(*)。

 

中高年に人気の映画でも扱われていた“免許返納”

1中高年に人気だった映画『家族はつらいよ2』でも、高齢者の運転免許返納がテーマの一つとして取り上げられていました。
橋爪功さん演じる主人公は、75歳前後の男性。車のあちこちにぶつけた形跡があり、子どもたちが心配して免許を返納させようとしますが、それを誰が説得するか、その役回りを互いに押しつけ合います。
それを見ていていらだった本人は、「死ぬまで運転する」と宣言。しかし、妻の海外旅行中に女性を同乗させて運転していると、トラックに追突事故を起こしてしまって…というような展開です。
この映画を見ていて、こういう頑固な男性に免許を返納してもらうのは、なかなか難しいだろうと改めて感じました。

 

この男性は、注意力はやや低下しているかもしれませんが、決して認知症があるわけではありません。
おそらく企業人として活躍してきた自負もあり、高いプライドを持っています。一方で、家庭では、海外旅行に行くなど生活を楽しんでいる妻と比べると、特にやることも楽しみと言えることもなく過ごしています。
やることがない=人から必要とされていない、という寂しさを感じているかもしれませんが、プライドの高さから、それを自ら認めることはありません。
そんな自分自身の立ち位置に、言いようのないイライラを感じているのか、何となくいつも不機嫌に見えます。

 

こういう高齢者にとって、現状、車は自分自身で自在にコントロールできる数少ない存在かもしれません。そして同時に、車は「社会に向けて開いた窓」ともなります。
車を運転して出かけることが、なすべきことが少なくなった高齢者にとって、数少ない「目的ある行動」となり、「社会との接点」ともなります。
しかし一方で、年齢を重ねれば、認知症でなくても徐々に認知機能が衰え、事故を起こすリスクは高まっていきます。難しい問題です。

 

“免許返納”がもたらすつらさを私たちは十分理解できているか

2今年の1月、若年性認知症を持つ、42歳の丹野智文さんがイギリスに行き、現地の認知症を持つ人たちと触れ合うドキュメンタリーが放映されました。
自動車販売会社のトップセールスマンだった丹野さんは、30代後半で若年性認知症の診断を受け、認知機能の低下から車の運転をやめています。

 

ドキュメンタリーの中では、車の運転が大好きで、今も運転を続けている認知症を持つイギリス人の男性が、運転を諦めなくてはならなくなったらどうかという質問を受けるシーンがありました。
ちなみに、イギリス・スコットランドでは、認知症を持つ人も、運転技能の検査を受けてクリアすれば、期限付きで運転することができるのだそうです。

 

その男性は、苦渋の表情を浮かべ、絞り出すようにこんなふうに答えていました。
自分にとって、今一番大切なのは運転免許だ。出かけるときには車で迎えに来てもらうこともできるので、運転ができなくなっても、どこにも行けなくなるわけではない。
しかし、運転ができなくなったら…私の一部は「壊れる」。それを認めざるを得ない。魂の一部がもぎ取られるようなものだ――。

 

男性のこの言葉も印象的でしたが、それ以上に印象に残ったのは、隣でその答えを聞いていた丹野さんが泣き崩れたことです。
丹野さん自身、運転がとても好きで、運転技能を競う大会に出ていたこともあったとのこと。しかし、認知症となって運転を諦めました。
「運転をやめたときには、本当につらかった…」と、丹野さんは涙をぬぐいながら言っていました。

 

高齢になり、あるいは認知症になり、事故を起こす危険があるから免許を返納してほしい。そう家族が願うのは、もっともなことです。
しかし、返納することで本人がどれほどつらい思いをすることになるかについて、どれだけ思いを致すことができているでしょうか。
魂がもぎ取られるような思い。返納して何年たっても思い出して涙が出るほどのつらさ。
家族がそのつらさを理解し、本当に寄り添うことができたとき、本人も返納しようという気持ちになれるのかもしれません。

 

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

 

*75歳以上のドライバー、認知症の恐れ1万人超 3~5月(日本経済新聞 2017年6月23日)

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