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高齢者を見守る猫ボランティア~ペットから見る高齢者問題2

2017年4月7日

前回は、よくある野良猫の餌付けの問題が、「単に動物の問題ではなく、地域の人間の問題であり、さらには高齢者の問題」ととらえられるという、意外な側面を紹介しました。
猫の問題に取り組む通称「猫ボランティア」たちは、実は地域の高齢者と密接なかかわり持っているといいます。
都内で開かれた、猫問題のシンポジウムで語られた内容を通し、地域で「高齢者を見守る」とはどのようなことかという点に、フォーカスしてみたいと思います。

 

註 このシリーズでは、事例の一部は取材事実にもとづき、当事者のプライバシーに配慮して、適宜改変してあることをお断りさせていただきます。

 

<取材・文 椎崎亮子>

 

*「ペットから見る高齢者問題」の1回目2回目3回目4回目5回目(最終回)はこちら

 

高齢者の問題が語られた「猫問題シンポジウム」

NPO法人ねりまねこ代表の亀山知弘さん、副代表の亀山嘉代さん夫妻

NPO法人ねりまねこ代表の亀山知弘さん、副代表の亀山嘉代さん夫妻

東京都練馬区の地域猫推進ボランティアとして活動を始めた亀山嘉代さん・知弘さん夫妻は、2014年にNPO法人ねりまねこを立ち上げました。
野良猫の問題にたずさわるうち、それが「猫の問題」ではなく、「人間の問題」、つまるところ「社会の問題」だと気づきました。そして、解決法である地域猫活動の概念や取り組み方をもっと広く世の中に知ってほしいと考えたのが、ねりまねこ立ち上げのきっかけです。

 

2017年2月11日、ねりまねこ主催の『どうする!? 猫問題』と題されたシンポジウムが練馬区で開催されました。すると、日本全国からこの問題に関心を持つ人々が、定員を上回る350名以上も聴講に詰めかけたのです。

 

猫問題がテーマのシンポジウムではありますが、そこで語られていたことは高齢者問題と密接にリンクしていました。

 

猫問題に取り組む3者が語る、問題点とは?

大阪で猫問題に取り組む「大阪ねこの会」代表の荒井りかさん

大阪で猫問題に取り組む「大阪ねこの会」代表の荒井りかさん

「大阪ねこの会」代表の荒井りかさんは、一人暮らしの高齢者が動物を残して亡くなるなどの事例が大阪でも増加する一方だと語りました。
そのため猫に関わるボランティアは誰もが、高齢者が飼育できなくなった猫を預かっていて手一杯の状況だと訴えたのです。荒井さん自身も現在、高齢者から引き取った猫を7頭預かっているとのことでした。

 

動物愛護団体NPO法人「ねこけん」代表の溝上奈緒子さんは、最近テレビ出演などで発言の機会も多い

動物愛護団体NPO法人「ねこけん」代表の溝上奈緒子さんは、最近テレビ出演などで発言の機会も多い

動物愛護団体NPO法人「ねこけん」代表の溝上奈緒子さんは現在、猫の不妊手術を無料で行う動物病院設立に奔走しています。
動物医療費は高額であるため、飼い猫を含めた動物の不妊手術の普及の妨げとなり、特に年金暮らしや生活保護を受ける高齢者が、猫を適切に管理できず「増やしてしまう」原因の一つになっていると語りました。

 

元練馬区保健所職員で、「地域猫アドバイザー」として発言を続けている石森信雄さん

元練馬区保健所職員で、「地域猫アドバイザー」として発言を続けている石森信雄さん

石森信雄さんは、元練馬区保健所職員で練馬区方式の地域猫システムの生みの親でもあります。

 

「猫が好きで餌を与える人も、猫の被害で苦情を言う人もすべては地域住民。さらには、猫に関心がない人も、被害があっても黙ってがまんしている人もひっくるめて地域住民。
地域猫の『地域』とは、エリアではなくコミュニティという意味。猫をめぐってカオスになっている地域社会を、人と人とのつながりで適正化していくのが地域猫活動。
地域猫活動は、野良猫がいてもイライラする人が出ない、暮らしやすい地域社会にしていくもの」

 

石森さんは、あらためてこの活動が、地域づくりに直結する理由を語りました。
また行政の立場から、「動物の問題はすなわち管理する人間の問題。管理すべき人にその能力がないのなら、それは社会の仕組みから考え直す必要がある」と強調しました。

 

高齢者を見守る、猫ボランティア

パネルディスカッションでは、高齢者と猫の問題について、現場からのさまざまな問題提起がなされた

パネルディスカッションでは、高齢者と猫の問題について、現場からのさまざまな問題提起がなされた

後半のパネルディスカッションでは、高齢者と猫(を含む動物)の問題について、さらに一歩踏み込んだ議論が交わされました。

 

議論の中で「問題が起きてから対処するのではなく、問題を予見して防いでいくこと」が、高齢者と動物の問題への対処法として望ましいということが示されました。
パネリストが異口同音に語ったのが「猫(を含む動物関連の)ボランティアが地域の一員として、高齢者を見守っていく」ということでした。

 

実は、地域猫問題に取り組む猫ボランティアたちは、猫に餌を与えている高齢者自身のさまざまな情報に触れられる立場にあります。
家族でもなく、行政や福祉関係者でもないけれど、「地域の隣人」「同じ猫好き同士」として、高齢者とかかわりを持つことができるからです。

 

猫ボランティアは、あくまでも猫の問題を解決する(あるいは予防する)という目的で、野良猫に餌を与える高齢者にアプローチをします。
猫ボランティアにとって、餌やりをする高齢者は「不適切な餌やりで猫を増やしてしまうリスクを持つ人」である一方で、「野良猫に関する詳しい情報を持っている貴重な存在」です。
「地域猫活動」に協力してもらえれば、「猫を適切に管理する役割を担ってもらえる人」になり得るのです。

 

第1回でも書いたように、猫に関わる高齢者は近隣の苦情の対象となりがちで、そのために地域内で孤立し、近隣の人々に心を閉ざしていることも少なくありません。問題の解決のために、猫ボランティアは餌やりをする高齢者と良好なコミュニケーションを構築することが大切です。
そのため、餌やりをする高齢者を責めることなく、なんとか力になりたいという姿勢でアプローチする必要があるといいます。

 

会話の発端はいうまでもなく「猫」という共通の話題です。コミュニケーションがうまくいけば、その高齢者にとってのボランティアは、「猫好き同士として安心して話せる人」「気持ちに寄り添ってくれる人」になり得ます。
話をするうちに、高齢者の人となりや暮らしぶりに触れることもできます。場合によっては家族構成や健康状態といった立ち入ったことを知ることにもなるのです。
もし、公園に毎日餌をやりに来る高齢者が現れなければ、猫ボランティアは「どうしたかな?」と気付くこともできます。

 

求められる福祉・医療との連携

image011ただし、猫(を含む動物の)ボランティアが実際にできることは、猫という動物へのアプローチにほぼ限定されます。
たとえば、猫の不妊手術を怠っている高齢者に出会い、その理由がその人の経済的な苦境だと知ったとします。しかし、猫ボランティアが手助けできるのはあくまでも「猫の不妊手術に関するお金」に関してのみです。

 

話すうちに認知症をはじめとする心身の疾患などがあると気づいても、猫ボランティアがその人を病院に連れていくことはできません。
こんなとき、動物ボランティアとしては「人間の問題の専門家につなぎたい」と切実に考えるところです。

 

パネルディスカッションでは、「高齢者にかかわっている福祉などの職種から、早期に相談してもらえていたら、動物の問題が大きくなる前に対応できたのに」というケースも多いと、話題に上がりました。
高齢者が亡くなってペットが残されるような案件や、次回で詳しく取り上げる「多頭飼育崩壊」(*)などがその例です。

 

*多頭飼育崩壊 個人や組織などが、管理能力を超える頭数の動物を飼育し、それが破たんすることで、人間も動物もともに生命や尊厳にかかわる状況に追い込まれること

 

高齢者に関わっている介護、福祉、医療などの関係者がペットのことを把握している場合も少なくありませんが、動物の専門家である動物関連ボランティアとの連携は十分ではないといえます。これは、これからの課題のひとつといえるでしょう。

 

猫ボランティアも「地域包括ケア」の一員

image013今回の「ねりまねこ」主催のシンポジウムから浮かび上がったものは、高齢者を見守る「地域包括ケア」の一員として、猫ボランティアがもっと機能できるのではないか、という可能性でした。

 

今後、日本全国で展開される地域猫活動が、練馬区のように行政が全面的にバックアップする活動としてシステマティックなものになっていけば、活動に携わる猫ボランティアは「動物と人の問題の専門家」という地域の社会資源として、もっと認識されることになるのではないでしょうか。
また行政や、福祉、介護、医療などの分野の人々とつながることが普通になれば、猫ボランティア自身も自分たちが「地域づくりにかかわっている」という誇りを強く持てるはずです。

 

地域で高齢者を見守るということは、決して医療や福祉、介護といった視点からのみ語られるものではないと筆者は感じています。
高齢者へのアプローチは、もっとさまざまな視点からあっていいのではないでしょうか。猫などの動物という視点に立って高齢者を見守る人たちが、実は地域にいるということを知っていただければと思います。

 

なお、各地域で取り組まれている「地域猫」活動について知りたい場合は、その地域を管轄する保健所(生活衛生など、動物に関わる部署)や、動物愛護センターに問い合わせをしてみてください。

 

次回は、高齢者が当事者となることの多い「多頭飼育崩壊」の問題を中心に、解決方法について考えます。

 

*「ペットから見る高齢者問題」の1回目2回目3回目4回目5回目(最終回)はこちら

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