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過剰な医療を求めると逆に不健康!?健康に長生きし、医療費も節約するには

2016年8月18日

退院後、自宅療養できないのは介護体制が整わないから

image001最期は自宅で迎えたい。内閣府の調査によれば、そう考える人は、約55%にのぼります。では、実際に在宅で亡くなった人はどれぐらいいるのでしょうか。2016年7月、厚生労働省がはじめてその全国集計を発表しました(*1)。それによると、死亡者数に占める在宅死の割合は、全国平均で12.8%。最も在宅死の割合が高かった東京・伊豆諸島の神津島では54.8%と、半数を超えていました。

 

厚生労働省では、24時間往診対応を行う在宅療養支援診療所(在支診)や訪問看護などの医療資源の状況と、在宅死の割合との関係についても分析しています。それによれば、在支診がたくさんあっても在宅死が全国平均より低い地域もあります。反対に、在支診は少ないのに在宅死の割合が比較的高い地域もあります。医療資源が充実していれば在宅死が多い、ということでもないようです。

 

また、入院中の患者に、退院の許可が出た場合、自宅療養できるかを尋ねた調査では、55%が「できる」との回答(*2)。「自宅で療養できない」と答えたのは、24%でした。「できない」と答えた人に、何があれば自宅で療養できるかを聞くと、以下のような結果となりました。

 

▼自宅療養を可能にする条件(複数回答)

*厚生労働省「第1回全国在宅医療会議 参考資料2」平成28年<クリックで拡大>

*厚生労働省「第1回全国在宅医療会議 参考資料2」平成28年<クリックで拡大>

 

これを見ると、上位3つは介護体制や環境です。療養のための指導や医師等の定期訪問などの医療を求めているのは、4人に1人程度。医療より、まず、日常生活を支えてくれる介護の体制や環境が整わないと、在宅で療養するのは難しいと考えている人が多いようです。

 

充実した医療資源は、住民の医療費を膨張させる

医療資源について言えば、在宅療養に限らず、必ずしも充実していることがいいとは言い切れません。たとえば、病院のベッド数(病床数)が多い都道府県は、それだけ1人あたりの入院医療費も高くなることが明らかになっています。あればあるだけ当てにし、使ってしまうからです。それで平均寿命や健康寿命が伸びるのかというと、そういうわけでもありません。医療資源の過剰な整備は、医療費を押し上げるものの、住民の健康維持にはそれほど関係していないのです。

 

▼全病床数(人口10万人当たり)と一人当たり入院医療費の関係(概算医療費、都道府県別)

*神奈川県ホームページ「病床数の状況(平成26年度)」

*神奈川県ホームページ「病床数の状況(平成26年度)」

 

全国平均の在宅死亡率12.8%を上回る自治体の一つに、14.7%の北海道夕張市があります。2007年に財政破綻した夕張市は病院が閉鎖され、「医療崩壊」と言われました。171床あった病床数が、市全体でたったの19床になったからです。市内には救急病院がなくなり、救急車は隣の市まで1時間以上かけて搬送しなくてはならなくなりました。

 

住民意識が変われば、少ない医療資源でも健康を保てる

image007それで、夕張市では健康を害する人が増え、死亡者が増えたのでしょうか? そんなことはありません。高齢化率約48%(2015年時点)と、日本一の高齢化都市にもかかわらず、死亡者数はほぼ横ばいです。むしろ、肺炎での死亡者数は大幅減。心疾患の死亡者数も減少したといいます。その分ふえたのが、「老衰死」。2007年には全死亡者の2.3%だった老衰死が、14.1%にまでふえたのです。

 

病院の閉鎖後、夕張市では一人ひとりが、たとえば肺炎球菌ワクチンを接種して肺炎を予防するなど、病気を予防するようになりました。同時に、高齢者は必要以上の医療を受けるのをやめ、「天命を待つ」ようになったのです。こうした市民の意識の変化によって、平成13~18年には約81万円だった市民1人あたりの年間診療費は、平成19~25年には約77万円に減りました。北海道全体では、78万円から85万円にふえているにもかかわらずです。

 

夕張市では、在宅で暮らしながら「天命を待つ」人のために、病院閉鎖前にはなかった在支診が開設されました。24時間対応で訪問介護を提供する介護事業所もできました。入院して過剰な医療を受けるのはやめよう。そんな意識が市民に根付いたのでしょう。19床に減った病院のベッドは、実は、常に空きがある状態が続いているといいます。安易に救急車を呼ぶこともなくなりました。かつては年間900回を超えていた救急車の出場回数は、今では500回を切るまでに減少したそうです。

 

もちろん、継続的な医療が必要で、病院閉鎖の際に夕張市から他市に転出した市民もいることでしょう。しかし、たくさんの医療施設があることが、必ずしも良いとは言えない、ということにも気づかされます。そして、過剰な医療を求めることが医療費を膨張させている事実も、私たちは意識する必要があります。
医療をスリム化せざるを得なかった夕張市からは、学べることがいろいろありそうです。

 

(この記事は、元夕張市立診療所所長の森田洋之氏の講演と著書『破綻からの奇蹟~いま夕張市民から学ぶこと~』を参考に構成しました)

 

<文:宮下公美子 (社会福祉士・介護福祉ライター)>

 

*1 第1回全国在宅医療会議 参考資料3 (2016年7月6日)

*2 第1回全国在宅医療会議 参考資料2 (2016年7月6日)

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