今回は“顔と上半身の清拭方法”について。各部位の拭き方やポイントなどを紹介していきます。
取材協力・明正会グループ http://www.meisei-g.com/
<取材・文/橋本範子>
顔の細かい部分、特に目元はしっかりと拭く
顔や身体を拭く前に、まずは熱いタオルを皮膚の上に置いて5~10秒ほど蒸してあげましょう。それでは、さっそく清拭に移ります。
【手順】
(1)まずは、目やになどが溜まり、細菌やばい菌が起こりやすい目元部分から。タオルの面を小さくして目の上を拭いたら、別の面に変えて、目の下を拭きます
(2)顔全体は内側から外側に向かって
(3)生え際、小鼻などの細かい部分もしっかりと
(4)耳は包み込むようにして、耳の内側、外側を入念に
タオルを持つ時は両手で持って、シーツが塗れないようにしましょう。身体に比べてくぼみがあったりするので、細かく丁寧に拭く事が重要です。

画像左:“拭く前に蒸す”。顔はもちろん、身体も同様です
画像中:人指し指にタオルを包みこんで、目元の上から拭いていきます
画像右:目元の上を拭いた同じタオルの面で、目元の下を拭いたら、ばい菌が移動するだけ。必ずタオルの面を変えて拭きましょう
バスタオルを被せて、露出を最小限に
続いて、上半身の清拭を行いましょう。この時、前開きの服を着ていると清拭しやすいです。
【手順】
(1)前開きの服の場合、ボタンを外したら、胸やお腹などにバスタオルを掛けて、皮膚の露出を最小限に抑えます
(2)(1)の状態で、首から拭いていきます
(3)胸部分はタオルの面を大きく使って拭きましょう。女性の場合、胸の下部分は汗を掻きやすいので入念に
(4)腕は片方ずつ出したら、乾式用タオルを下に敷いておきます
(5)タオル2枚を使って、二の腕から手首まで蒸します
(6)腕を拭き終わったら、(4)で下に敷いた乾式用タオルをそのまま腕にくるむようにしましょう
(7)背中は背骨の溝部分もしっかりと
(8)反対側の腕も(4)~(6)の手順で行いましょう
おへそ周りも忘れずに、入念に拭いてあげましょう。おへその周りも汗が溜まりやすく、汚れやすい部分です。おへその清拭のポイントとして、コットンのような柔らかい素材のものにベビーオイルなどを浸して乗せ、しばらく置き取ります。無理に一気にきれいにしょうとせず、何回かに分けて行っていくと良いでしょう。毎回する必要もありませんが、汚れが気になった時に行うと良いと思います。
濡れタオルで清拭したあとは、乾いたタオルで拭く「乾式」を行いますが、どの部分も同様に“乾いたタオルを乗せて、なでるくらい”で十分です。

画像左:肌の露出は最小限に。この際も、タオルの端が肌に当たらないようにしましょう
画像右:腕を拭く際は、乾式用タオルの上で。シーツが濡れるのも防ぎます

画像左:下に敷いておいたタオルでそのまま腕をくるんで、乾式します
画像右:背中は大きい面で拭きます。背中は片面ずつ拭いてもいいでしょう
プロフィール
よっし~
介護福祉士、ガイドヘルパー(全身性・視覚)。東京都葛飾区にある「ケアサービス新小岩」にて所長を務める。
