在宅介護のプロ“よっし~”が、簡単で分かりやすく介護術をお届けします。今回は「衣服の着脱方法」について。着替えの必要性、準備、衣服選びについてお伝えします。
取材協力・明正会グループ http://www.meisei-g.com/
<取材・文/橋本範子>
着替えの必要性を理解し、スムーズな着脱を
発汗や新陳代謝による汚れから身体を清潔にするためにも、着替えは毎日することが望ましいでしょう。清潔の保持、感染予防の役目を果たします。
【着替えが果たす役割】
(1)手足の関節の運動
(2)日常生活への意欲
(3)状況にあった衣服の着用により昼夜のけじめをつける事ができる
(4)気分転換
スムーズに衣服の着脱方法を取得するための、準備も重要です。
【衣服の着脱準備】
(1)身体状態の把握
手足に麻痺がないか? 座位・立位・保持が可能か? 体調や気分は?
(2)室温調整
特に冬は、入浴後の温度差があまりないように脱衣所をストーブなどで温めておきましょう。
(3)服を着やすいように馴染ませておく
袖部分をつまんで着やすいようにしたり、ボタンを開けておいたりするなど、ちょっとした気配りが重要です。
多少時間がかかっても、可能であれば介護される方に“自分で着る”ということを実践してもらい、自信や満足感を感じてもらうように努めましょう。
着やすさ、着心地の良さを考慮した衣服の選び方
衣服を選ぶ際は、以下を考慮しておくと役立ちます。
【衣服の選び方】
(1)マジックテープ付き
(2)ファスナー付き
(3)ボタンが少ないもの、またはボタンが大きく掴みやすいもの
(4)ウエスト周りが比較的余裕があるもの
(5)ズボン留めがないもの
(1)は、ボタンデザインの衣服を自分でマジックテープに変えてもいいでしょう。一方、脇が詰まった窮屈なものはNG。場合によっては、ワンサイズ大きいもので脇に余裕があるものを選びましょう。ねまきの場合には、以下のポイントをおさえておくことをおすすめします。
【ねまきの選び方】
(1)吸収性の良い木綿
(2)ワンサイズ大きいもの
(3)排泄やおむつの世話がしやすい
(4)洗濯がしやすい
ちなみに靴下を選ぶ際は、伸び縮みするもので、ナイロンより木綿がいいでしょう。麻痺側には、水虫の予防にもなる5本指ソックスが適しています。

左のようなワンタッチタイプのボタンや、右のようなマジックテープの衣服がおすすめです
プロフィール
よっし~
介護福祉士、ガイドヘルパー(全身性・視覚)。東京都葛飾区にある「ケアサービス新小岩」にて所長を務める。
