在宅介護に役立つ介助方法・介助技術を介護のプロがご紹介。安全で、介助する側にも負担の少ない介助動作のポイントを流れにそってご紹介します。
今回は理学療法士が教える「スライディングシートと三角柱クッションを使った、ベッドから車椅子への移乗介助方法」です。
寝たきりの要介護度の高い人、身体の大きい人などをベッドに寝た状態から、車椅子に移動できます。スライディングシートと三角柱クッションを使うことで、高齢者の身体を無理に引きずったり、持ち上げたりせずに移乗できます。
【1】スライディングシートの端にのってもらう
ベッドで寝ている高齢者のひざの下に手を入れて両足を持ち上げ、高齢者に両ひざを立ててもらいます。
そして、立てたひざを横に倒し、まず下半身だけ横向きになってもらいましょう。

次に、高齢者の肩と腰を傾け、上半身も横向きになってもらいましょう。
そして、横向きになっている高齢者の身体の横にスライディングシートを広げます。

高齢者の身体を上半身→下半身の順に仰向けに戻し、高齢者にまずスライディングシートの端にのってもらいます。

【2】スライディングシートの真ん中に移動してもらう
高齢者の足首をスライディングシートの端に寄せます。
そして、高齢者に上半身をスライディングシートの真ん中に移動してもらう準備として、介助者は右手を高齢者の首の下に通して肩を支え、左手で高齢者の腰を支えます。

支えている高齢者の肩と腰を引き寄せ、上半身をずりずりと移動させながら、スライディングシートの真ん中にしっかりのってもらいましょう。

【3】車椅子を高齢者の腰の辺りに移動する
車椅子を高齢者の腰の辺りに直角になるよう移動し、ロックをかけましょう。

【4】ベッドと車椅子の間に三角柱クッションをはさむ
ベッドと車椅子の間に三角柱クッションをはさみましょう。
このとき、小さな三角柱クッションを使うと車椅子とベッドの間から落ちてしまうことがあるので、大きな三角柱クッションを使います。

【5】上半身を起こす
右手を高齢者の首の下に通して右肩を支え、左手で高齢者の左肩を支え、そのまま両手でゆっくり高齢者の上半身を起こします。
上半身を起こす時、介助者は右足をベッドにのせて行いましょう。

【6】身体を車椅子へ移動してもらう
ベッドの上に右足をのせたまま、背後から高齢者の両脇に腕を通します。高齢者の両腕を重ねあわせて両手でしっかりつかみ、身体を少しずつ引きずって車椅子へ移動させましょう。

【7】車椅子をベッドから離す
高齢者が車椅子に座ったら、高齢者の下敷きになっているスライディングシートを引っ張って取り除きましょう。その後、三角柱クッションもはずします。
そして、高齢者のひざの下に左腕を入れ、両足を支えたまま右手で車椅子をベッドからゆっくり離します。

【8】高齢者の両足を下ろす
最後に、左腕で高齢者の両足を抱えながら、ゆっくり地面に下ろします。

●スライディングシートを使った介助方法は、こちらも参考にしてください。
→移動介助/道具を使い、横向きになれない人を枕元へ
<協力・カイゴ大学>