高齢者向けの便利な介護保険外サービスをご紹介する第2回目は、*「訪問理美容サービス」です。自宅や老人ホームに理美容師が来て、頭髪のカットやカラーリング、パーマ、さらにはひげそりやメイクまでしてくれるというサービスです。身体が不自由になったり、外出が困難な状況になっても、街のサロンと同様のサービスが受けられるとして人気上昇中です。
そこで、今週から4回にわたって「訪問理美容サービス」について、サービス内容や料金体系、実際の施術の様子などをご紹介します。
*「福祉理美容」とも呼ばれています。
「訪問理美容」って、どんなサービス?
女性は、いくつになっても「きれいでいたい」と思うもの。男性だって、年齢は関係なく髪が伸びたら散髪してスッキリしたいと思うでしょう。だからこそ、元気で不自由なく外出できた時は、誰もが定期的に行きつけの床屋さんや美容室に通っていたと思います。
けれども、足腰が弱ると遠くのサロンまで行くことが辛くなったり、億劫になったりします。さらに、車イス生活となったり、介護施設に入居した場合には、家族や介護スタッフの介助がなければそもそも外出ができません。
施設によっては、介助のしやすさを考えて、入居者の意向を聞くことなく髪を一律に短く刈ってしまうというケースもあるようです。とても「サロンに行ってきれいになりたい」などと言い出せなくなってしまいますね。
そんな人に朗報となるのが、「訪問理美容サービス」です。自分の住まいまで来てくれる、移動式の美容室のようなもの。
まだ歴史は浅く、サービス事業者によって内容や料金はまちまちですが、中には数多くの芸能人も利用している原宿のトップサロンで経験した美容師が、サロン同様のクオリティのサービスを提供してくれるという事業者もあります。
ポータブルのシャンプー台で洗髪もOK!
とはいえ、気になることもいろいろありますよね。
「家の中で髪を切ると、切った髪の毛が散らばらない?」
「どうやってシャンプーするの?」
「うちのおばあちゃん、寝たきりだけどできるの?」……などなど。
訪問理美容サービスは、専門の教育を受けた人であれば、高齢者や体が不自由な人への対応の仕方、個人宅での対応の仕方も学んでいます。
基本的に施術場所に応じてシートを敷いて切った髪を床の上などに散らさないようにしますし、洗髪は必要に応じポータブルのシャンプー台を持参します。お湯の提供や、シートを敷けるくらいの場所を確保する必要はありますが、それ以外は特段の準備が必要ないでしょう。
施設の場合は施設の許可が必要になりますが、最近では、特定の訪問理美容事業者に定期的に来てもらう契約をしている施設も増えていますので、確認してみてください。
訪問美容サービスを始める人のために、NPO法人 日本理美容福祉協会など、いくつか業界団体組織が結成され、「福祉理美容師」など独自の資格制度も創設されています。これらの資格取得者は、介護に関する基本的な知識やスキルを学んでいますので、車椅子の操作法や体位の変え方、高齢者への接し方なども心得ているので安心です。
次回は、利用するにはどんな注意点があるのかについてと、サービス事業者の具体例として「trip salon un.(トリップサロン アン)」をご紹介します。