高齢者のイキイキとした生活を実現し、ご家族の負担を減らすためのサービスとして注目されている「外出サポートサービス」。第4回目は、実際に「外出サポートサービス」を提供している、ドリーム・ケア・サービス株式会社の代表・加藤信一さんの外出サポートに密着。
介護のプロの視点や動き、さらに外出サポートサービスを利用して親の念願だった海外旅行を実現した家族のコメントもお届けします。
「外出サポートサービス」を利用した、お買い物に密着フォトレポート!
外出サポートサービスでは、実際にどんなことをするのか?「介護のプロ」ならではの視点とは?加藤さんのある1日を追ってご紹介します。
●お迎え〜バス停
今日のお客様は、一人で歩けるけれど、少し片足に麻痺がある方。一人での外出は不安という家族の依頼で買い物に同行することに。
まずは、指定の時間にお客様のマンション前までお迎えに行き、一緒にバス停へ。歩いている時もバスを待つ時も、お客様と加藤さんは友だちのように楽しそうにおしゃべり。ユニフォームではなく私服だから、「介護」の雰囲気も感じさせません。
●バスの乗り降り
段差のあるバスの乗り降りは、少し難しいお客様。加藤さんはシルバーカーを乗せるサポートだけをして、本人の乗り降りはさりげなく手を添えるだけ。
「自分で歩きたいと思っていらっしゃる方は、過剰なサポートを嫌がります。手を出しすぎない、必要なところには手を出す、ということを心がけています」(加藤さん)
●道を歩く〜横断
足に麻痺がある人と一緒に歩く時は、麻痺がある方に立つのが基本。ただし、横断歩道を渡る時は、常に車が来る方向にいるように移動。
「何かあった時のリスクを考え、常に自分が車に近い位置にいます。これは、無意識にやっていますね」(加藤さん)
●ショッピングセンター到着
目的地のショッピングセンターに到着。少しお疲れのようだったので、ソファで休憩。
「お客様の安全はもちろん重要ですが、他に意識しているのはご本人の『自尊心』。病人扱いしたり、気を気遣いすぎて、必要以上に行動を制限しすぎないよう気をつけています」(加藤さん)
旅行や外出が、親と子の気持ちをつなぐ〜海外旅行体験記
「旅行はしたいけれど、家族にムリは言えないと遠慮している高齢者」と「親孝行したいけれど時間がない家族」、それぞれの思いを叶えたいというのが、加藤さんが「外出サポートサービス」を始めたきっかけでした。
そして今、この加藤さんの取り組みは、加藤さんが当初想像していた以上の喜びを生み出しています。
「喜ぶ親の顔を見て、自分もうれしかったとおっしゃるご家族は多いですね」
「また、ご本人も旅行に行く前は『これが人生、最後の旅行』とおっしゃるんですが、帰りの飛行機では『次は○○に行きたい』とおっしゃる(笑)」
そんな時、旅行を楽しむことが、お客様の心と身体を元気にしたということを実感するという加藤さん。
「時間がないから親を旅行に連れて行けないと諦めずに、『介護のプロ』に依頼することも考えて欲しいと思います。私たちは『ご家族』にはなれませんが、ご家族の代わりとしてのお手伝いはできる。親御さんに喜んでいただけるならば、それも素晴らしい親孝行だと思うんです」
海外旅行体験記
オーストリア旅行(23泊25日)
(80代/女性/要支援1)
この方は、今は亡きご主人と旅した国をもう一度訪れたいというご希望でオーストリアに。
ご依頼いただいたのは娘さんだったのですが、「行くと決めてから母が元気になった」とお聞きした時は、うれしかったですね。
現地では、バドガシュタインの2000m級の山にロープウェイとケーブルカーを乗り継いで登ったり頂上付近のレストランでコーヒーと焼きたてのピザを召し上がったり…。食事も景色も満喫され、すっかり元気になられたのは、ご本人も依頼された娘さんも驚いていました。
私自身も、この経験を通して、旅行という「非日常」が心も身体も元気にするのだと実感しました。
(加藤さん)
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介護保険外の自費サービスは他にもいろいろあります。次回は、また違ったサービスをご紹介します。