高齢者のイキイキとした生活を実現し、ご家族の負担を減らすためのサービスとして注目されている「外出サポートサービス」。
第3回目は、現場では具体的にどのようなサービスを行っているのかについて、実際に「外出サポートサービス」を提供している、ドリーム・ケア・サービス株式会社の代表・加藤信一さんにお聞きしました。
外出に「介護のプロ」が同行するという意味とそのメリット

ドリーム・ケア・サービス 加藤さん。「例えば、車椅子の方でも、サポートがあれば自分で歩ける方もいらっしゃいます。その方がどういった席を希望されているかをお聞きし、それを実現するのが『介護のプロ』としての私たちの役割だと思っています」
ドリーム・ケア・サービスで、もっとも依頼が多いのは、コンサートや観劇、外食などの外出サポート。会場やレストランまでお連れし、外で待つのが基本なのだといいます。
「でも、音楽や演劇、食事をご一緒するケースの方も多いですね」
スタッフが中に入るためには、お客様がスタッフの費用も負担しなければならないため、その分の費用を負担する必要があります。でも、その費用を負担しても一緒にいて欲しいと思う理由は何でしょうか?
「途中で発作が出たらどうしよう…という健康面の不安がある方もいらっしゃいますし、一人よりも誰かが一緒の方が楽しいという方もいらっしゃいます」
でも、それだけではないと加藤さんは言います。
「例えば、会場側は一般的に、車椅子のお客様がいらしたら、椅子をどけたり車椅子専用の席に案内するなどして、車椅子のまま観ていただいたり、食事をしていただくようにすることが多いです。でも、少しでも歩ける、または歩きたいという方にとって、それは必ずしも正解ではありません」
車椅子はあくまでも移動の手段。そこに何時間も座って何かを鑑賞したり、食事をすることを苦痛に感じる人も少なくありません。しかし、いかにホスピタリティがあるスタッフでも、介護の知識がないとそれに気づかないのだと、加藤さんは言います。
「私たちが、介護の専門家としてそこにいる、という意味は大きいと思いますね」
「介護のプロ」の目で徹底リサーチした情報が提案に活きる

お客様の外出をサポート中の加藤さん。段差に気付きシルバーカーの車輪を持ち上げるようフォロー。「お客様には、ご家族と過ごしているような、ゆったりとした時間を過ごしていただきたいと思っています。でも、プロの気遣いも忘れてはいけません」(加藤さん)
イベント会場やレストランもそうですが、特に気を使わなければならないのは、旅行先の「宿」。
入口や通路といった移動ルートはもちろん、食事、寝具まで、お客様の希望は多岐にわたるからです。
「ドリーム・ケア・サービスは旅行会社ではありませんから、基本的に旅行の手配はしていません。でも、例えば『沖縄でキレイな海を見て、地元の料理が食べたい。ふとんよりもベッドがいい』といった漠然としたご要望の場合は、利用する宿や旅行のプランもご提案させていただきます」
この提案には、今まで北海道から沖縄まで、日本のあらゆる場所の旅行に「外出サポートサービス」で同行した実績と、宿をみる「介護のプロの目」が生かされているのだと加藤さんは言います。
「施設のバリアフリーはもちろん、送迎の車や高齢者の方の食事にどこまで対応してもらえるか?ということも確認しています」
しかし、事前のリサーチがどんなに完璧でも、旅行先では想定外の出来事が起きてしまうことも。
「例えば、ご希望のレストランに予約をして行っても、お客様が『違うものが食べたい』とおっしゃることもあります。そんな時、ご家族だったら『ムリ。わがまま言わないで』とおっしゃると思いますが、私たちはできるだけそれを実現するために、レストランと交渉しますし、承諾を得て他の店から取り寄せたりもします」
有名なレストランほど、対応力がすごいんですよと、加藤さんは微笑みながら言います。
「外出先ではさまざまなハプニングが起きます。その時に、お客様のニーズと現状を考え、何がお客様にとってベストかを考える。対応力とクリエイティブ力が、外出サポートのスタッフには必要なのだと思います」
次回は、加藤さんの外出サポートに密着。介護のプロの視点や動きをご紹介します。
また、外出サポートサービスを利用して、親の念願だった海外旅行を実現した家族のコメントもお届けします。
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