「入院からの在宅復帰支援」は<定期巡回>サービスの大きな目的のひとつです。事業者は具体的にはどのようにその要望に応えていくのでしょうか。前回に引き続き「やさしい手用賀店」店長の桜井さんにお話をお聞きします。
<取材・文・構成 佐藤大成>
病院と同様の安心感につながる緊急コールの存在感

緊急時の呼出し用に使用されているソフトバンク社の「みまもりケータイ」。ボタンを押すだけで24時間<定期巡回>チームが応答してくれる。ハンズフリーでの通話も可能
「疾病やケガなどで一時的に入院はしても、回復後は自宅で療養をと望んでいる方が多くいらっしゃるんですよ。8割ぐらいの方はそういう希望を持っていらっしゃると聞いています」と「やさしい手用賀店」店長の桜井さん。同店では、昨年4月の新サービス導入から半年余りで、累計16名の方の在宅療養をサポート。退院後の在宅復帰支援もすでに経験済み。桜井さんも確かな手応えを感じているようです。
「退院して自宅で療養を、というときに多くの方が不安に思うことは、やはり、果たして自宅で病院と同じような手厚いケアが受けられるのかどうか、ということなんですね。そういう方には、何か困ったときには緊急コールで24時間いつでも対応しますよ、とお話をしますと、納得していただけますから、随時対応というのは安心感があるんだなあと実感します」
同店がサポートした方の一例をご紹介しましょう(表参照)。この方は82歳の男性で圧迫骨折が原因で入院治療に入り、その後リハビリを経て、<定期巡回>サービスを導入しての自宅療養に入りました。「緊急コール」が導入の決め手になったといいます。
「退院後の療養のを検討したところ、この方が入院中のナースコールに大きな安心感を感じていたということがわかったんです。それで、ナースコールと同じ役目を果たす緊急コールのある<定期巡回>が良いのではということになったんですね」
桜井さんチームによるヒアリングのまとめにも「緊急コールの重要性」がうたわれていますが、身体の状態だけからではなく、心の面にも配慮したヒアリングが的確な提案につながったことがうかがえます。

利用者の生活全体をきめ細やかに配慮して
こうした的確なヒアリングをもとに、ケアプランが検討されます。ケアマネージャーが単独でプラン策定にあたるのではなく、サービス提供作成責任者(介護福祉士の有資格者)と呼ばれるこのサービスの統括責任者がケアマネージャーと共同してプラン作成にあたる点が<定期巡回>サービスの特徴のひとつです。
下表は先の導入事例で採用された一週間の訪問プランです。1日3回の定期巡回の他に、随時訪問、デイサービス、訪問看護、訪問診療などがきめ細やかにスケジューリングされ、この新サービスが生活全体をサポートするサービスであることが伝わってきます(随時訪問はプランの段階では想定です)。
「緊急コールの場合も30分以内に駆けつけられるように24時間待機しています」と桜井さん。病院と変わらない安心感を——これが<定期巡回>サービスの目標のひとつなのです。

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次回は<定期巡回>チームで活躍するスタッフの声などをご紹介します。