歩行のための福祉用具はなぜ必要なのでしょうか?
介護を必要とする方は筋力の低下や疾患によって足腰が弱くなり、バランスがとれずに歩くときに不安定になることがあります。転倒による骨折で寝たきりになってしまうというケースもあり、転倒を恐れるあまりに歩くことを控えてしまうこともあるでしょう。
ただし、不安だからといって歩かないでいると、立ち歩きするための身体能力そのものを失ってしまい、歩かないでいることが寝たきりにの原因になってしまいます。
「転ばぬ先の杖」という言葉がありますが、歩行支援の福祉用具はまさにそれです。身体状態・生活環境に合わせて杖、歩行器、手すりなどを使用して環境を整備することで、自分で歩き、自分らしく目的を持った自立した日常生活を送ることができます。
これらがリハビリになり、身体機能の維持・向上に繋がるのです。
杖(介護保険レンタル対応 ※一部対象外)

杖は、支持基底面を広げることで、歩く時のバランスを取り、信号待ちなどの時の立位保持をします。
使う方によって、杖の握り部や長さの調整が必要です。一般的には足の付け根(大腿骨頚部)辺りと言われていますが、腕の長さや背中が丸まっているなど体格や姿勢で異なりますので、使いやすい高さで使っていただくのが良いでしょう。
●杖の長さの決め方はこちらを参考にしてください
→杖の長さはどう決める?身体に合う杖の選び方
●写真でわかる杖の長さの決め方はこちら
→写真でわかる身長に合った杖の長さの決め方
杖の種類はさまざまですが、もっとも一般的な杖がステッキ(一本杖)。握る部分がT型やU型のものなどがあり、伸縮や折りたたみできるタイプもあります。T型の方が体重をかけやすく安定します。
次によく見かけるのが四点杖。先端が四点にわかれていて、設置面が広くステッキより安定性が上がります。ただし、凹凸面だとバランスが取りづらく不安定になるので、基本的には屋内などの平らな場所での使用になります。
その他にも、ロフストランドクラッチという握り部と上腕部で支える杖(握力が弱く、手首に力が入らない方用)や、サイドケインといった歩行器に近いかたちで立ち上がりから歩行までを補助する杖もあります。
要支援・要介護の方が介護保険でレンタル可能です。但しステッキタイプは介護保険対応外の商品となりますので、全額自己負担での購入になります。
<自己負担1割の場合の料金目安>
月々レンタル料 100円~300円程度(自己負担額)
歩行器・歩行車(介護保険レンタル対応 ※一部対象外)

杖で不安定な方には、歩行器・歩行車がオススメです。杖よりも支持基底面が広がり安定した歩行のサポートをします。
歩行車は主に屋外用で、カゴ・バッグ・休憩用の椅子がついてるものがあり、歩くことだけでなく長距離の買い物などもサポート。
歩行器・歩行車とも、使う方の身体状態や体格に合わせて高さ・幅などが調整可能です。歩行器は主に室内で使用。歩行補助はもちろん、病院・在宅での歩行リハビリにも利用されています。
要支援・要介護の方が介護保険でレンタルができます。ただし、同じような商品であるシルバーカーは、基本的に福祉用具貸与の対象外です。
<自己負担1割の場合の料金目安>
月々レンタル料
歩行器・歩行車 200円~500円程度(自己負担額)
手すり(介護保険レンタル・介護リフォーム対応)

ベッドや椅子から立ち上がった後に、トイレや食卓など目的の場所まで手すりを連結することで、健康だったころの動線を取り戻すことができます。
また繋げるだけでなく、転倒しやすい場所へ手すりをピンポイントに設置することことも可能です。
介護を必要とする高齢者は、健常者ではあまり意識することがないわずかな段差(敷居、畳の縁、カーペットの端など)でもつまづき、転倒してしまうことがあるのです。
しかし手すりを設置することで、段差や転びやすい場所の目印、転倒予防、安定した歩行のサポートとなります。
福祉用具貸与とは別に、手すりは住宅改修(介護リフォーム)で介護保険の対象サービスとなっています。20万円を上限として、所得に応じた自己負担で手すりの取り付け工事が可能です。
工事の必要がない手すりがレンタル可能で、壁や床に穴をあけるなどの工事を必要とするものが住宅改修の対象となります。
レンタルと住宅改修ではどちらの手すりが適しているか、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談しながら検討しましょう。
●住宅改修について詳しくはこちら
→介護リフォーム(住宅改修)とは?費用、補助金、失敗しないポイント
<自己負担1割の場合の料金目安>
月々レンタル料 約100~800円(自己負担額)
●レンタル・購入、それぞれのメリット・デメリットや介護保険の手続き はこちらで紹介しています。