高齢になるにつれて、噛むこと・飲み込むことが難しくなります。飲む・食べるという機能は、見た目でわかりにくいため、高齢者本人も、家族も、機能の衰えに気がついていない場合があります。
まず高齢者の身体機能の状況を正しく把握し、ふさわしい食事を用意することが必要です。
なぜ汁物でむせる?
味噌汁でむせてしまう原因として、嚥下(*)能力の低下があります。嚥下能力が低下すると、サラサラしている水分ほど飲み込みにくくなります。
嚥下能力の衰えには段階があり、状態は一人ひとり異なります。なるべく高齢者本人の嚥下能力を生かし、本人の口で食べられるように調理しましょう。
*嚥下…口に入れた水分・食物をゴックンと飲み下し、胃へ送り込むこと。
「とろみ」をつけて、飲み込みやすく
水分に「とろみ」をつけることで、飲み込みやすくすることができます。とろみ剤などもありますが、普通の食材を工夫することでとろみを出すこともできます。
例えば味噌汁の場合は、じゃがいも、里芋などの粘り気がある具を使うことで、素材そのものの「とろみ」を活かした介護食を作ることができます。
<味噌汁にとろみをつける時のポイント>
・じゃがいも、里芋の一部を取り出して、汁と一緒にミキサーにかける。
・芋類以外の具材は食べやすいように、少し小さめに切って、後から加える。
・喉に貼り付きやすい「わかめ」などは避ける。
少しの芋類でとろみが出ますし、味の変化がなく食べられます。
普通食から高齢者用の食事へ切り替える時の注意点
ご自身で食事が出来る場合は、今までの普通の食事が、いかにも介護用とわかるような食事に切り替わることに抵抗があるものです。私もホームヘルパーとして、実際に介護していたお客様から、とろみ剤を使った食事を拒否されたことがありました。
なるべく今までの食事と同じように感じられるように、見た目・味に工夫をするとよいでしょう。