老人ホーム入居・退去時に出やすい疑問
老人ホームは契約内容も複雑で、たくさんの疑問がわきやすいものです。施設に入居するためにはそれなりの費用もかかり、入居も退去も簡単な決断ではありません。
入居前に気になる疑問が解決できるように、9つのQ&Aをまとめました。
Q. 広告で終身介護という言葉をよく目にします。一生面倒をみてくれるのですか?
A. 老人ホームによって対応は異なります。
しかし、認知症による暴力行為などで他の入居者に迷惑がかかると判断された場合や、ホーム側が対応できない疾患が判明した場合には、ほかの施設や病院へ移転の相談をされるケースがあります。
Q. 老人ホーム側も入居者を選別するのですか?
A. 重度の認知症や、見学や体験入居の段階で協調性がなく共同生活を送れないと判断された場合、入居を断られる場合があります。また入居した後でも、暴力行為などが頻発すると、退去せざるをえないケースも。
ただし、すべての老人ホームで条件が同じわけではありません。例えば、認知症介護に慣れている老人ホームであれば、他の施設で断られた方も受け入れ、入居後にご本人の症状が以前より安定する場合もあります。
また、ほとんどの場合はすぐに退去ということはなく、事前にご家族を交えて対応を相談します。
Q. 身元保証人・身元引受人がいないと、老人ホームには入居できないのですか?
A. ほとんどの場合で必要ですが、施設によっては身元保証人・身元引受人がいなくても入居可能な場合があります。
なお、保証人をお願いできる家族がいない場合でも、身元保証会社などを利用する方法があります。施設が保証会社を紹介してくれることもあるので、相談してみるとよいでしょう。
Q. 身元保証人・身元引受人が死亡した場合、どうすればいいのでしょう?
A. 新たに身元保証人・身元引受人を立てる必要があります。家族・親戚、身元保証会社など、施設と相談して探すようにしてください。
Q. 人工透析が必要なんですが、老人ホームに入居はできますか?
A. 看護師の有無や提携病院の存在など、一定のサポートが必要なため、すべての老人ホームが対応できるわけではありません。しかし、入居可能な施設もあります。
その他の医療ケアに関しても施設によって対応が異なりますから、事前の相談が必須です。
Q. 介護の状況により、老人ホーム内で部屋を移動すると言われました。どういうことでしょうか?
A. 介護や健康状態によって、今まで住んでいる部屋から他の部屋に移る場合があります。
移動が行なわれるのは一般的に、要介護度が重度になり頻繁に介助が必要になった場合や、病気になった場合です。それに対応できる設備や機器が配置されたフロアや、サービスステーションに近いなど、スタッフの目が届きやすい居室に移ります。
移動には、フロアが変わる、同敷地内の別の建物へ移る、提携・系列ホームへ移るといったケースがあります。
Q. 認知症になってしまったら、退去を強制されることはありますか?
A. あります。ただし、認知症が理由ではなく、他の入居者に迷惑をかけるからというケースが多いようです。
老人ホーム側が、他の施設や病院などの受け入れ先を紹介・準備してくれる場合もあります。
Q. 要支援だった介護度が入居中に自立に認定された場合、退去しなくてはなりませんか?
A. 施設によって異なります。契約書に要支援・要介護者が対象とあれば、退去しなくてはなりません。
自立でもかまわないというケースもありますが、その際、ホームには介護保険の支給額が入らなくなるため、同等の金額を請求される場合もあります。
Q. 有料老人ホームが倒産した場合、入居者はどうなるのですか?
A. 倒産した場合は、基本的には退去せざるを得ません。しかし、経営母体が交替することで入居者の退去を免れたケース、系列ホームへ移転するケースなども多くあります。
入居する前に運営会社が経営的に問題ないかどうかの判断は必要です。
●老人ホームが決まったら
→老人ホームが決定。入居契約の準備から、引っ越しまでの流れ