現在巷で増加しつつあり、今後も普及する見込みの介護タクシー。前回は介護タクシーの料金について見ましたが、今回はそれをふまえたタクシー会社の選び方のポイントを、複数の介護タクシー運営会社への取材を元に、まとめてみました。
<取材・文 興山英雄>
損をしない、介護タクシー会社の選び方

介護タクシーを利用する際、運賃の他に車からの乗降をサポートするなどの「基本介助料」が発生する場合が多い(協力:福祉タクシーいるか雲)
前回の記事で触れた通り、介護タクシーは利用時に掛かる料金の種類が多く、それぞれの額も業者によってまちまち。一般のタクシーとは違い、適正な料金を判別しにくい状況にあります。
そこで、以下に介護タクシーの開業支援や、業者向けの情報提供サービスを行っている全国組織「全国介護タクシー協会」が加盟会社に推奨している運賃料金表を掲載しました。介護タクシーを利用する際の料金のひとつの基準になると思うので、業者選びをする場合に、参考にしてみてください。
全国介護タクシー協会が加盟会社に推奨している運賃料金表
迎車料金 |
普通車(710円) |
大型車(750円) |
基本介助料 |
1回30分 1000円~ |
|
初乗運賃 |
加算運賃 |
時間制運賃 |
東京都内 |
大型車2kmまで750円 |
以降、272mごと90円 |
初乗 1時間まで4750円 |
加算 以降30分ごと2170円 |
普通車2kmまで710円 |
以降、288mごと90円 |
初乗 1時間まで4550円 |
加算 以降30分ごと2050円 |
多摩地区 |
大型車2kmまで750円 |
以降、269mごと90円 |
初乗 30分まで2960円 |
加算 以降30分ごと2960円 |
普通車2kmまで710円 |
以降、284mごと90円 |
初乗 30分まで2800円 |
加算 以降30分ごと2800円 |
※この表の見方……介護タクシー事業者は、タクシーメーター運賃(初乗運賃+加算運賃)か、時間制運賃のいずれかを採用している。表内の運賃はそれぞれの相場を示す
その他のオプション料金
レンタル料 |
車いす使用料 |
1乗車 |
|
500円 |
リクライニング車いす使用料 |
|
2000円 |
簡易ストレッチャー使用料 |
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4000円~ |
ストレッチャー使用料 |
|
4000円~ |
介助料 |
室内(院内)介助料 |
1回/30分 |
|
1000円~ |
階段介助 |
ドライバーのみ |
2階まで |
2000円 |
2階以上1階上ごと |
1000円増 |
家族+ドライバー |
2階まで |
2000円 |
2階以上1階上ごと |
1000円増 |
介助補助員 |
1回/1名 |
5000円 |
移送外介助 |
1回/30分 |
1000円 |
キャンセル料 |
予約の3時間前から |
基本料金分 |
ただし、この運賃料金表には表記されていない部分でも、利用する業者によって負担額が大きく異なる要素がありました。複数の介護タクシー会社にリサーチし、最低限、利用者が押さえておくべきポイントを挙げておきます。
(1)メーター運賃発生のタイミング
介護タクシーは基本、予約制。運賃発生のタイミングを予約時刻に設定している業者と、一般タクシーと同様に乗車時点に設定している業者に分かれる。前者の場合、予約時刻から遅れた分の運賃も徴収されることになる
(2)診断・治療中の待機料の有無
通院で介護タクシーを利用した際、診断・治療中の待機料を取る業者と取らない業者がある。前者の場合、診断・治療中でも料金メーターを回したままにするケースが多い。およそ100秒ごとに90円が加算され、1時間の待機料は3000円~4000円になるという
(3)往復利用の際の基本介助料を徴収する回数
基本介助料の相場は1回1000円だが、例えば自宅と病院往復の移送の際、行きと帰りで2回分の料金(計2000円)を取る業者と、1回分(1000円)しか取らない業者がある
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今回は料金面を中心に業者の選び方を見ていきましたが、次回は実際に受けられるサービス面から考える上で、実際に介護タクシー事業者の具体的なサービスを見ていきます。