家族が一緒に取り組める「在宅リハビリのガイドブック」

■書名:また立てる・また歩ける 寝たきりの人でもできる「足腰体操」
■著者:黒澤尚
■発行所:講談社
■発行日:2013年8月
>>『また立てる・また歩ける 寝たきりの人でもできる「足腰体操」』の購入はこちら
意欲と継続がセットになれば、「また立てる・また歩ける」ようになる
ふだん元気な人でも、風邪や体調不良で二、三日ベッド中心の暮らしをすると、なんとなくカラダを動かすのが億劫になるもの。いわんや、お年を召して足腰に自信がなくなったと感じている方の場合は……である。
そんな弱気が弱気を呼んで「寝たきり」になってしまった……という例もたしかにあるのだが、逆に、一度寝たきりになった人が、心機一転、意欲を出して、リハビリに取り組んだら、みるみる回復したという例も、年齢を問わず、数多く報告されている。
整形外科医として、足腰が悪くなった多くの高齢者の治療にあたってきた本書の著者も「だれでも意欲さえあれば必ず動けるようになるものですよ」と、心強いこんなメッセージを寄せている。
<……それらの経験から、入院しなくても、リハビリ専門家が往診しなくても、自宅で正しいリハビリのやり方を地道に継続してくだされば、立てなくなったり、歩けなくなったりした方でも、また立てる、歩けるようになるということに確信をもつようになりました>
本書は豊富な著者の経験から、自宅で取り組める足腰のリハビリ体操を紹介したもの。現在の運動機能の状態に合わせて「ベッドから起き上がる」「立つ」「つたい歩きをする」といった運動目標を設定、目標に到達するための運動法を紹介するという流れで全体がまとめられている。
「寝たきりの人でもできる」とタイトルにあるように、紹介されている体操は、体調や場所を選ばずできるシンプルなものばかり。疾患を抱えている人用のメニューも用意されるなど、現場に即したきめ細やかな提案になっている。
介護保険のサービスを利用している方も、それに加えてぜひ自主的にリハビリをしてください、と著者。30分程度の介護保険のサービスでは、食事等の生活支援に時間がとられてしまい、運動時間が「絶対的に不十分です」とのこと。
解説は大きな図解入りなのでわかりやすい。リハビリをしたいけどどんな運動をしたらいいかわからない、という方には好適な「在宅リハビリのガイドブック」になりそうだ。
<佐藤>
>>『また立てる・また歩ける 寝たきりの人でもできる「足腰体操」』の購入はこちら
著者プロフィール
黒澤尚(くろさわ・ひさし)さん。1943年生まれ。1970年、東京大学医学部卒業。現職は順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター特任教授。膝疾患の外科、関節鏡手術、運動療法などを専門とする。著書に『変形性膝関節症』(共著)、『歩いて治すひざの痛み』などがある