「親の介護、そろそろ必要になるかも」「自分が高齢になったら、いったい誰が面倒を見てくれるんだろう」。そんな不安に駆られたら、まず気になるのがお金のこと。でも、介護ってどれくらい費用がかかるものなのか、検討がつかない人も少なくないはず。
そこで、介護事情に詳しいファイナンシャルプランナーの山田静江さんに、『介護とお金』にまつわる素朴な疑問をぶつけてみました。
▽相談内容
介護が必要になった母親のために住宅改修を計画していますが、依頼する業者を選ぶ際の注意点を教えてください。
▽山田さんの回答
介護リフォームでは様々なトラブルが起きており、高齢者から苦情や相談が相次いでいるのが現状です。
たとえば次のような苦情・相談事例があります。
「介護保険を利用して手すりを取り付け、床の材料を変更する工事を85万円で契約したところ、介護保険が適用されるのは8万円ほどとわかった。施工前だったので解約の意思を事業者に伝えると違約金として40%を請求された」
「風呂場をバリアフリーにしたはずが、入口部分に4~5㎝もの段差が残っている」
「自宅の階段の手すりが外れて転倒しそうになった」
改修工事後に、なぜこうしたことが起きるのでしょうか?
ひとつには、依頼者の希望や意図が十分に工事業者に伝わっていないことが考えられます。
工事業者の中には、介護の知識にそれほど明るくなく、「利益重視」「改修ありき」で話を進めようとするところもあります。
介護リフォームの目的は、あくまで当事者の生活改善。介護リフォームを進める際は、事前に複数の業者から見積もりを取ったうえで、依頼する業者と納得いくまで話し合うことが大切です。
また、苦情が出るもう一つの理由として、業者の施工ミスがあります。こうした被害を避けるためには、リフォーム瑕疵(かし)保険に加入している業者を選ぶことです。
工事後に万一欠陥が見つかった場合に、その欠陥を無償で修理することができます。この保険への加入の有無はひとつの信頼の目安になるでしょう。

プロフィール
山田静江(やまだ・しずえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP/FP技能士1級)。株式会社 WINKS 代表。日本FP協会埼玉支部幹事。
大学卒業後、都市銀行に入社。その後、会計事務所勤務、独立FP会社勤務を経て2001年にFPとして独立し、現在に至る。「損得ではない安心して暮らすためのプランニング」をモットーに活動している。
現在は介護や高齢者住宅問題のスペシャリストとして講演、執筆活動を展開している。
株式会社 WINKS