※最終更新:2018年8月1日
「親の介護、そろそろ必要になるかも」「自分が高齢になったら、いったい誰が面倒を見てくれるんだろう」。そんな不安に駆られたら、まず気になるのがお金のこと。でも、介護ってどれくらい費用がかかるものなのか、検討がつかない人も少なくないはず。
そこで、介護事情に詳しいファイナンシャルプランナーの山田静江さんに、『介護とお金』にまつわる素朴な疑問をぶつけてみました。
▽相談内容
――関節疾患にかかった夫が車椅子生活となり、思いきって家の中をリフォームしようと考えています。
車椅子が通りやすいように段差をなくしたり、階段や廊下に手すりを付けたり……。でも、費用面が心配です。介護保険は使えるものでしょうか?。
▽山田さんの回答
在宅介護のために必要な住宅改修では、以下6種類について介護保険が適用されます。

工事内容が上記条件を満たしていれば、1軒20万円分までは工事費用の1~3割負担で改修を行うことができます。限度額内なら数回に分けて利用することもでき、要介護度が3段階以上あがった場合や、転居した場合は新たに20万円分までの支給を受けられます。
支給を受けるには、改修工事の着工前に市町村の窓口へ申請しなければなりません。工事終了後、いったん利用者が全額を支払い、後で7~9割分の支給を受けるのが一般的です。申請から着工、支給までの流れは以下の通りです。
・事前申請(工事前)…必要な書類(支給申請書、工事の見積書、住宅改修が必要な理由書、工事個所が確認できる図面)を揃え、市区町村の担当窓口に提出
・着工…許可が下りたら工事を行い、いったん費用の全額を利用者が支払う
・事後申請(工事後)…必要な書類(工事費の領収書、工事費の内訳書、工事前後の日付入り写真、住宅所有者の承諾書)を揃え、市区町村の担当窓口に提出
ただ、利用者が改修工事を発注する際、要介護者本人に役立つかどうかではなく、介護保険が適用されるかどうかに目が行きがちです。『右半身にマヒがあるのに、右側に手すりを設置してしまった』なんて失敗例も少なからず耳にします。
プランを立てる際は福祉住環境コーディネーターなどに相談し、改修の内容を冷静に検討するようにしましょう。
プロフィール
山田静江(やまだ・しずえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP/FP技能士1級)。株式会社 WINKS 代表。日本FP協会埼玉支部幹事。
大学卒業後、都市銀行に入社。その後、会計事務所勤務、独立FP会社勤務を経て2001年にFPとして独立し、現在に至る。「損得ではない安心して暮らすためのプランニング」をモットーに活動している。
現在は介護や高齢者住宅問題のスペシャリストとして講演、執筆活動を展開している。
株式会社 WINKS