「親の介護、そろそろ必要になるかも」「自分が高齢になったら、いったい誰が面倒を見てくれるんだろう」。そんな不安に駆られたら、まず気になるのがお金のこと。でも、介護ってどれくらい費用がかかるものなのか、検討がつかない人も少なくないはず。
そこで、介護事情に詳しいファイナンシャルプランナーの山田静江さんに、『介護とお金』にまつわる素朴な疑問をぶつけてみました。
▽相談内容
――現在在宅介護をしており、福祉用具を有効活用しようと考えています。
福祉用具が介護保険でレンタルできることは知りましたが、なかにはレンタルできないものもあると聞いたのですが……。
▽山田さんの回答
福祉用具のなかには、借りるのには不向きと思われるものがあります。たとえばトイレ用品、入浴のための用具など。
これらは肌に直接触れるので、衛生面から見ても個人の専用にしたほうがよいとされています。
こうした貸与に向かないものは「特定福祉用具」とされ、個人で購入する際は、介護保険を使って1~2割の自己負担で購入することができます。
対象となるのは5種類。
(1)腰かけ便座(和式便器を腰かけ式にかえるもの、洋式便器の上に置き、高さを補うもの、移動可能なポータブルトイレなど)
(2)特殊尿器(尿が自動的に吸引され、本人や介護者が簡単に使えるもの)
(3)入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり入浴台など)
(4)簡易浴槽
(5)移動用リフトの吊り具部分
です。
ただし、都道府県や市区町村の指定を受けた事業者から購入することが介護保険適用の条件。見た目や機能が似ていても支給対象とならない用具があるので注意が必要です。
また、介護保険を使って購入できる福祉用具は、各年度につき10万円まで。支払い方法は、利用者がいったん料金の全額を立て替え、購入後に市区町村に申請して料金の8~9割の支給を受ける方法(償還払い)と、対象費用の1~2割分のみ支払う方法(受領委任払)があります。
購入後、一度でも使用すると返品できないこともあるので、返品や交換、修理の対応について購入時に確認しておきましょう。
介護用品について、こちらでも詳しくご紹介しています
介護保険で安くなる介護用品には何がある?レンタルと購入、どっちがいい?
→介護保険が適用される介護用品について
プロフィール
山田静江(やまだ・しずえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP/FP技能士1級)。株式会社 WINKS 代表。日本FP協会埼玉支部幹事。
大学卒業後、都市銀行に入社。その後、会計事務所勤務、独立FP会社勤務を経て2001年にFPとして独立し、現在に至る。「損得ではない安心して暮らすためのプランニング」をモットーに活動している。
現在は介護や高齢者住宅問題のスペシャリストとして講演、執筆活動を展開している。
株式会社 WINKS