有料老人ホームのトラブルは、年々増え続けているようです。特に、料金に関するトラブルは切実。年金や預金など、大事な財産を投入するのですから、トラブルに巻き込まれないよう、事前に知識や対策を身につけておきたいですね。「老人ホームのお金トラブル事例」特集の今回の事例は、「突然の管理費値上げ」がテーマです。
<資料:国民生活センター>
キャンペーン価格だから入居したのに、1年ですぐ値上げ
【事例】値上げしないと説明された管理費の値上げを通知された
見学時には高額な管理費だったため入居をあきらめたが、業者からキャンペーン価格の提示を受けた。キャンペーン会員はずっとその価格で上がることはないと口頭で確認し、有料老人ホームに入居した。しかし、来月から値上げをするという通知が届いた。入居時にキャンペーン価格だった管理費が約1年で値上げされ納得できない。
(相談受付年月:2010 年3 月、契約当事者:70 歳代、女性、東京都)
キャンペーン価格で値下げして、入居者を募ったものの、それでは立ち行かず、値上げに踏み切ったのでしょうか? 寝耳に水ですね。しかし、このような「値上げ」はしばしばあるようです。
経営状態の悪化を解決しようと値上げすることも?
値上げのタイミングや理由には、いくつかの種類があるようです。
開設当時から数年たつと、施設の修繕、物価上昇などの影響を受け、多少の値上げをするところが出てきます。
また、2014年の4月から消費税が5%から8%に上がったので、その分をまるまる上乗せするケースは多々ありました。消費税分は、収めなければならないものなので、いたしかたないと思えます。中には、「利用者様に消費税を支払っていただくのは申し訳ない」と据え置きにしたり、その分、何かのサービスをプラスしたりするところもありましたが、それらは珍しいケースです。
それよりも、消費税導入のタイミングで「便乗値上げ」をする悪質なホームもあり、都道府県では「便乗しないように」と強く指導しています。
そして深刻なのは、ホームの経営状態が悪くなり、値上げによって経営を改善しようとするケース。この場合は、サービスの低下も同時に起こることがあり、利用者にとっては「サービスは悪くなる、料金は値上げ」という最悪の事態になってしまいます。
都道府県の指導指針をよく確かめておきたい
ただ、値上げはホーム側が勝手にやっていいわけではありません。ある県の健康福祉局では、ホームに対し、料金改定時には以下の手順を踏むように指導しています。
<改定前>
●利用料金を改定する際は、改定ルールを入居契約書及び管理規程上明らかにすること
●県の指針を参考に適正なルールづくりをすること
●改定の根拠を入居者に明確に説明すること
↓
<改定する時>
●改定前にホームの運営委員会を開催し、改定の根拠を説明し、利用者などの意見を聞いてから利用料を改定すること
↓
<改定後>
改定後は、30日以内に県に利用料改定に関わる変更届出を行う(変更に伴う契約書、管理規程、重要事項説明書の提出含む)
勝手に値上げをされそうになったら、「運営会議を開いてください」「利用者の意見も聞いてからにするよう、県から指導されていると思います」と抗議する材料になりますから、頭に入れておくといいですね。
今回の事例のように、「口頭で伝えた」というのは法的な拘束力の点で難しい場合が多くあります。契約の際には、契約書に内容を盛り込んでもらう、少なくとも一筆書いてもらい、印鑑を押してもらうなど、証拠が残る形で料金の確認をするべきでしょう。
*このようなトラブルに関しては、地域の消費生活センターで相談を。消費生活センター等では、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せなど、消費者からの相談を専門の相談員が受付け、公正な立場で処理にあたっています。
連絡先がわからなければ、0570-064-370で聞くことができます。
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