※最終更新:2018年8月1日
介護にはあらゆる場面でお金が絡むもの。介護保険の仕組みがわかっても、さまざまな介護の場面でどのぐらいお金がかかるかは案外知られておらず、実際に困った経験がある人も少なくありません。
さまざまな介護の「困った」ケースを見て、自分の介護に役立てましょう。
<取材・文 興山英雄/協力 ファイナンシャルプランナー 山田静江さん>
実例

最近、母親が要介護2の認定を受け、在宅介護を始めることになった勝俣さんだが、要介護認定申請を行い、認定結果が出る前に福祉用具を購入してしまった。
支払った金額は、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽などなど、総額10万円相当。
福祉用具の場合、特定の商品に対しては年間10万円を上限額に、購入費の7~9割が介護保険から支給される。
支給方法は購入に掛かった費用をいったん全額負担し、申請書や領収書など必要書類を提出することにより、後日、対象額の7~9割分が支給される仕組みだが……
「要介護認定の結果が出る前に購入してしまったのですが、介護保険は適用されるのでしょうか? 一部、領収書を紛失してしまっているのですが……」
山田さんのワンポイントアドバイス
『条件付きですが、支給されます』
要介護認定の申請前に福祉用具を購入した場合は保険給付の対象外ですが、申請を行い、認定結果が出る前なら、規定通りに申請を行えば7~9割分を支給してもらえます(認定結果が『非該当』の場合は支給されない)。
ただし対象となるのは、入浴補助用具、腰掛け便座、特殊尿器、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具部分、という5品目のみ。それ以外の福祉用具は介護保険の対象外です。
さらに、保険給付ができるのは都道府県の指定を受けている販売業者から購入した場合のみ(購入を考えている販売店が介護保険の指定事業者かどうか確認したい場合は、自治体の担当窓口か地域包括支援センターに問い合わせてください。業者名を告げれば調べてもらえます)。
購入品の一部の領収書を紛失したとのことですが、購入した店に再発行を依頼してください。その際、手数料を取られるかもしれませんが……。
介護用品について、こちらでも詳しくご紹介しています。
介護保険で安くなる介護用品には何がある?レンタルと購入、どっちがいい?
→介護保険が適用される介護用品について
プロフィール
山田静江(やまだ・しずえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP/FP技能士1級)。株式会社 WINKS 代表。日本FP協会埼玉支部幹事。
大学卒業後、都市銀行に入社。その後、会計事務所勤務、独立FP会社勤務を経て2001年にFPとして独立し、現在に至る。「損得ではない安心して暮らすためのプランニング」をモットーに活動している。
現在は介護や高齢者住宅問題のスペシャリストとして講演、執筆活動を展開している。
株式会社 WINKS