高齢者の安否確認を行ってくれる、さまざまな「見守りサービス」があることをご存じですか?
ご家族にとって、高齢の親がひとりで過ごす時間は心配のタネです。「自宅でひとりで過ごしているときに倒れていたらどうしよう」「認知症を持つ親が心配」など、特に離れて暮らしている場合には日々ご家族も不安なことでしょう。
そんなときに役立つのが「見守りサービス」です。
高齢者が増加し続けている現在では「見守りサービス」がより必要とされ、多くの企業や自治体から提供されています。見守りのかたちはさまざまなので、それぞれのご家族に適したものを選んでみてください。
見守りサービスの選び方
見守りサービスにはさまざまな種類がありますが、選ぶ際のポイントとして、利用者の生活スタイルに合わせることが大切です。
利用者がよく外出をする場合には、自宅内の見守りサービスだけでなく外出時にも対応可能なサービスを取り入れれば、より安心した生活を送れます。
また、食事の準備に不自由を感じている場合には、食事宅配サービスを利用しながら配達員に安否確認をしてもらえれば、よりメリットを感じられるでしょう。
見守りサービスは、高齢者本人にしてみると監視されているようで窮屈だと感じることもあります。ですが、利用者の生活スタイルに合わせれば窮屈さを気にせず利用できます。
ストレスを感じさせないためにも、必ず利用するご本人の意見を尊重することが大切です。
家族が一方的に見守りサービスを押し付けると、ご本人は意固地になり頑なに拒否をしてしまうかもしれません。そうならないためにも、導入のためにはご家族間での話し合いが必要といえます。
見守りサービスの種類
普段の生活を送るだけで見守ってくれるサービス
見守りサービスのなかには、普段通りの生活を送るだけで安否確認できるものがあります。
ガスや電気、ポットの使用状況での確認、室内でのセンサーやカメラの設置、空調や室温の状況などで高齢者を見守るというものです。
さまざまなサービスがあるうちの一部をご紹介します。
●象印マホービン株式会社「みまもりほっとライン」
象印で行っている「みまもりほっとライン」というサービスは、無線通信機を内蔵した電気ポットを高齢者が自宅で使用すると、そのポットの使用状況を家族にメールでお知らせしてくれるというものです。
そのスタートは2001年3月と歴史が古く、テレビコマーシャルなどでご存知の方も多いでしょう。
2021年11月現在の情報によると、累計契約者数は1万3千件を突破しているそうです。
1ヶ月間無料お試しキャンペーンも実施しているので、契約前に体験利用してみてから検討することも可能です。
象印マホービン株式会社「みまもりほっとライン」
●東京ガス「くらし見守りサービス」
毎日使うドアにセンサーを設置し、開け閉めで親の安否確認ができます。ドアを開け閉めすると家族のスマホにその情報が届くため、いつもと違う様子があったらすぐに気づけます。
設置場所は、トイレや自分の部屋、居間などの必ず使うドアがよいでしょう。
インターネット回線がなくても利用できるのもメリットのひとつです。
他にも、外出・帰宅がわかるセンサー、玄関の戸締りを確認できるセンサー、ガスの見守りなどをオプションで申し込みできます。
東京ガス「くらし見守りサービス」
●有限会社インターフェース「ifまもる君」
この「ifまもる君」というサービスは、主に生活を送ることの多い部屋に人感センサーを設置し、利用者の安否を感知して家族へメールで報告をするというものです。
高齢者にとっては、異変の際に自分で緊急ボタンを押したりする必要がなく、また設置しておくだけで何もする必要はないのでわずらわしさもありません。
有限会社インターフェース「ifまもる君」
緊急時に助けになるサービス
高齢者は特に「今すぐ助けがほしい」という緊急事態も考えられます。そのようなときに便利なのが、緊急時に助けになるサービスです。
●ALSOK「HOME ALSOK みまもりサポート」
ホームセキュリティサービスを提供しているALSOKで行っているこのサービスは、緊急時に「緊急ボタン」を押すことで緊急通報ができ、近隣のガードマンが駆け付けるというものです。
事前に自宅の鍵を預けるので、鍵のかかった自宅内で異変があった際にもスムーズに駆けつけてくれます。
また、「相談ボタン」を押すと、24時間ALSOKヘルスケアセンターに繋がるようになっているため、体調に異変がありちょっと相談したいなどのときにも便利です。
オプションもいくつかあるので、同時に検討してみるとよいでしょう。
ALSOK「HOME ALSOK みまもりサポート」
直接会話をして安否確認するサービス
近所付き合いが少ないなど人とのふれあいが少ない高齢者には、直接訪問してくれたり、電話で話せるサービスもよいでしょう。
定期的な訪問などで安否確認を行います。
●日本郵便「郵便局のみまもりサービス」
郵便局で行っている「みまもり訪問サービス」は、月1回、郵便局社員などが自宅に訪問して、生活状況を把握するなどの会話をします。話す機会の少ない高齢者にとっては、月1度の訪問が楽しみになることもあるそうです。
会話の内容などは、家族に報告をしてくれます。
また、自動音声による「みまもりでんわサービス」やオプションで「駆けつけサービス」もあります。
日本郵便「郵便局のみまもりサービス」
見守り方法を複数組み合わせたサービス
さまざまな見守りの手段がありますが、ここでは複数の手段が組み合わさった複合したサービスをご紹介します。
これまで紹介した見守りサービスでも、さまざまなプランやオプションを盛り込むことで複合的なサービスを受けることが可能です。
●NPO法人在宅医療サポート協会「あんしん見守りサービス」
在宅医療サポート協会で行っているサービスでは、毎日の安否確認や、緊急時には利用者が専用端末の緊急ボタンを押すだけでコールセンターに連絡をすることができます。
状況に応じて救急車や消防車を要請したり、担当医に連絡をしてくれるというものです。
それだけではなく、生活の中での相談や身体についての相談、食事の宅配やタクシーの手配などの生活支援も行っています。
NPO法人在宅医療サポート協会「あんしん見守りサービス」
自治体によるサービス
自治体によってもさまざまな見守りサービスを提供しています。
見守りたい高齢者がお住まいの地域に見守りサービスがあるのかも、あわせて確認してみましょう。
千葉県佐倉市を例にご紹介します。
●千葉県佐倉市「高齢者見守り協力事業者ネットワーク事業」
千葉県佐倉市では、「高齢者見守り協力事業者ネットワーク事業」という取り組みを行っており、協力事業者が「郵便物が長期間たまっている」「いつもと様子が違う」などの異変がないか見守りをしています。
何か異常があった場合には、警察・消防、地域包括支援センター、市の高齢者福祉課に連絡がいきます。
協力事業者は、市や地域包括支援センターと各家庭を対象としている事業者です。
見守りサービスが必要な理由
WHO(世界保健機関)と国連の定義によると、高齢化率が7~13%で「高齢化社会」、14~20%で「高齢社会」、21%以上で「超高齢社会」となっています。
日本が「高齢化社会」となったのが1970年、そして2007年には「超高齢社会」へと突入しています。2019年時点の高齢化率は28.1%で、この先も上昇していく見込みです。
このデータからわかるように、見守りサービスの需要が高まっているいちばんの理由は高齢者が増加していることですが、それだけではない要因があります。
現在の世帯状況は、高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦のみで暮らしている世帯が多くを占めています。
つまり、二世帯、三世帯の同居であれば高齢者の異変にも気づきやすいですが、特に高齢者の一人暮らしの場合は、もし何かあっても離れて暮らす家族はなかなか気づくことができません。
内閣府の資料によると、1995年の65歳以上の高齢者単独世帯の割合は17.3%、高齢者夫婦のみの世帯は24.2%、三世代世帯は33.3%でした。
それが2015年になると、65歳以上の高齢者単独世帯の割合は26.3%、高齢者夫婦のみの世帯は31.5%、三世代世帯は12.2%へと推移しています。
この20年を比較すると、65歳以上の高齢者単独世帯の割合は9.0%、高齢者夫婦のみの世帯は7.3%増加しています。反対に、三世代世帯は21.1%も減少しています。
このデータからわかるように、年々両親と同居をする割合が減少しています。
特に近年では、高齢者の一人暮らしで「孤立死」の発生が増加しています。
近所付き合いが少なく、家族もなかなか様子を見に行けないという一人暮らしの高齢者は、急な体調不良などで倒れてしまうと、発見したときには死亡していたということも少なくありません。
孤立死は、安否確認が行えていれば防げることも多いのです。
高齢者のみで生活をしている世帯のなかには、健康で自分で身の回りのことを行える方だけではなく、介護を要する状態である「要介護認定」を受けている方もいますし、認知症を持つ高齢者しもいます。
内閣府の資料によると、2025年には65歳以上の認知症の高齢者数が約700万人に増加し、5人に1人が認知症高齢者となることが見込まれています。
認知症になると、記憶障害や判断力の低下などから、火の消し忘れや戸締りを忘れてしまうなどの問題が生じることもあります。
高齢者自身も不安かもしれませんが、別居している子どもが不安を感じていることも多いでしょう。
そのようなお互いの不安を少しでも解消できるのが「見守りサービス」です。
家族が頻繁に様子を見に訪問することが難しければ難しい状況なほど、安否確認を目的とした見守りサービスは安心につながります。
ご本人やご家族の安心のために、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※各社が提供するサービスは、2021年11月現在の内容です。