47回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
前回は、「老人ホームの入居時要件や居室面積」などについて見てみました。
今回は、「老人ホームの共益費、食費、光熱水費」について見ていきます。
介護付き有料老人ホームの共益費(管理費)が、もっとも高い理由
老人ホームに入居するには、入居一時金のほかに「月額費用」がかかります。月額費用には、家賃のほかに、共益費(管理費)、食費、光熱水費、雑費などが含まれます。それらがどれぐらいかかるのかは、老人ホームの種類によっても違いがありますし、同じ種類の老人ホームでも差があります。ここでは、老人ホームの種類別の共益費(管理費)、食費、光熱水費の分布を見ていきましょう。

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
まず、共益費(管理費)。平均金額は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)指定なしの1万6786円が最も安く、住宅型有料老人ホーム(住宅型)の2万1094円、サ高住(指定あり)の2万6232円、介護付き有料老人ホーム(介護付き)の5万3355円の順番で高くなっています。
サ高住の「指定」とは、介護保険で介護サービスが受けられる「特定施設入居者生活介護」の指定施設を指しています(詳しくは前回参照)。
共益費(管理費)とは、ホームの人件費や建物維持管理費などに充てられる費用です。
同じサ高住でも、指定ありが指定なしより高く、介護付きが住宅型より高いのは、介護サービスの有無の差と考えられます。一概にはいえませんが、24時間365日の介護サービスがある「特定施設入居者生活介護」はその分職員も多いため、人件費に差が出ているのではないかと思われます。
安いからと介護サービスのついていない住宅型や指定なしサ高住を選んでも、介護が必要になれば外部の介護サービスを利用することになります。結果的に、トータルでは介護付きのほうが安かったというケースも多くありますので、よく考えて選ぶようにしたいものです。
また、同じ種類のホームであっても、図のように共益費(管理費)の料金分布はバラバラ。老人ホームを探す際は、料金の高低だけでなく、どんなサービスレベルなのかは必ずチェックする必要があります。
老人ホームによって、食費には大きな幅が

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
次に、食費です。平均が最も安い住宅型の3万8943円と、最も高額の介護付きの4万9611円とでは1万円以上の差があります。全体的に概ね月額4~5万円ですが、6万円以上もあるなど、幅があることがわかります。食事の内容や提供の仕方はホームによって違いがあります。食事は入居者にとって毎日の楽しみのひとつといえるものなので、これも内容をよくチェックする必要があります。
●食事の内容について、詳しくはこちら
→「食事がおいしい老人ホーム」の見分け方はありますか?

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
最後に、光熱水費。いずれも0円が多くを占めていることが見て取れます。これは、光熱費は共益費(管理費)に含まれている施設が多いことを指しています。別途の場合でも、概ね2万円以内には収まるようです。
以上見てきたように、月額費用の内訳は老人ホームによって様々です。その内容レベルと金額の兼ね合いについては、よく調べてから納得して入居を決めるようにしたいものですね。
<構成・文:髙橋光二>
老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。
●本人と家族にぴったりの老人ホームを探すには → 良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
●介護業界の著名人や有名人にインタビュー → 私が思う「良い老人ホーム」
