46回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
前回は、「軽費老人ホーム・ケアハウスで、医療ケアが必要な入居者や看取りの状況」について見てみました。
今回は、「老人ホームの入居時要件や居室面積」などについて見ていきます。
「要介護」「要支援」「自立」…老人ホームの受け入れ状況は?
シンクタンクの野村総合研究所は、平成27年3月、「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」の報告書を発表しています。それによると、入居者が老人ホームへ入居するのに求められる要件(条件)について、次の図のような実情にあることがわかりました。

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
「自立・要支援・要介護(要件なし)」が全体の半数を占めています。その比率が最も高いのは、特定施設入居者生活介護の指定(後述)のないサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、68.1%を占めています。
次は、特定施設入居者生活介護の指定があるサ高住で56.0%。次に、介護付き有料老人ホーム44.9%、住宅型有料老人ホーム39.3%と続いています。
「自立のみ」「自立・要支援のみ」を受け入れているホームはそれぞれ1%前後とわずかですが、「自立・要支援・要介護(要件なし)」であれば、どんな状態でも入居可能ということ。つまり、サ高住は最も自立の人を受け入れている割合が高いということになります。
入居時要件が「要支援・要介護のみ」のホームは、介護付きが最多の40.6%。続いて、住宅型29.4%、指定ありサ高住27.5%、指定なしサ高住21.1%の順です。
入居時要件が「要介護のみ」のホームは、住宅型27.5%、指定ありサ高住16.5%、介護付き11.8%、指定なしサ高住7.5%の順番です。
「特定施設入居者生活介護」とは?
「特定施設入居者生活介護」とはどういったものなのでしょうか?
特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設では、入居している要介護者に対して、介護保険を利用し、介護サービス計画に基づいた入浴・排泄・食事等の介護を行います。また、介護以外の日常生活と療養上の世話や機能訓練を行います。これら以外にも、特定施設入居者生活介護の指定を受けるには、定められた設備や運営の基準を満たさなければなりません。
それでは、有料老人ホームとサ高住の特定施設入居者生活介護の指定の状況について見てみます。

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
調査では、有料老人ホームの48.1%、サ高住の9.1%が施設内のスタッフによる介護サービスが受けられる特定施設入居者生活介護(一般型)で、外部の事業者による介護サービスが受けられる特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型)はそれぞれ0.2%、0.4%。いずれの指定も受けていないホームはそれぞれ50.2%、88.6%を占めています。
特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームは、「介護付」と表示できません。つまり、介護付き有料老人ホームは、すべての施設が特定施設入居者生活介護の指定を受けているので、上記データの「有料老人ホーム」で「上記のいずれの指定も受けていない」は、住宅型の回答だと思われます。
居室の面積はどのくらい?
次に、居室面積の状況について見てみます。

*野村総合研究所「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」平成27年<クリックで拡大>
平均面積が最も広いのは、指定ありサ高住の24.1㎡。18~25㎡未満が75.4%を占めています。2番目は、指定なしサ高住の22.7㎡で、18~25㎡未満は69.0%。3番目は、介護付き19.5㎡で、やはり最多の面積帯は18~25㎡未満の52.0%です。平均面積が18.5㎡と最も狭い住宅型は、最多の面積帯は13~18㎡の31.9%です。
サ高住は、居室面積が25㎡以上(共同スペースが十分な場合は18㎡)と定められています。これにより、18㎡以下の居室はありません。
住宅型は、13㎡未満が27.9%で、介護付きに比べて居室が狭い傾向にあります。
特定施設入居者生活介護の指定の有無や、居室の広さなども、老人ホーム選びでは参考資料のひとつとなるでしょう。
<構成・文:髙橋光二>
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