36回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
前回は、「特別養護老人ホーム(特養)入所の申し込み理由や、入所可能になった時の対応」について見てみました。
今回も同じく特養がテーマ。「特養にはどういった人が入所しているのか」について探っていきます。
特養入所者のほとんどは認知症!?
前回、介護保険制度の改正で特養入居の条件が変わったと紹介しました。従来の「要介護1以上」から「要介護3以上」に厳格化しています。
では、特養の利用者における要介護度はどのように分布しているのでしょうか。下の図をご覧ください。

*公益社団法人 日本看護協会 医療政策部「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書」(2015年)<クリックで拡大>
ルール改正直後の2015年のデータですが、「要介護1」および「要介護2」の軽度者は合わせて1割強しかおらず、「要介護4」および「要介護5」の重度者が7割近くを占めていることがわかります。
常時介護が受けられる特養は、重度者に適していることがうかがえます。また、入居待ちが多い状況を鑑みれば、より要介護度が高い人が優先的に入居し、軽度者は原則的に入居資格から外されたのは仕方がなかったのかもしれません。
ちなみに、特養の利用者に占める認知症高齢者の「日常生活自立度」別の利用者の割合は、下の図のとおりとなっています。

*公益社団法人 日本看護協会 医療政策部「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書」(2015年)<クリックで拡大>
認知症高齢者の「日常生活自立度」とは、認知症高齢者の介護の度合いのレベルを表したもので、簡単に説明をすると以下となります。
・「自立」は認知症がない状態
・「Ⅰ」以上は、認知症が認められる。最も軽いレベルが「Ⅰ」で、軽度の物忘れがある程度。数字が大きくなるにつれ症状が重くなる
・「M」は最も重く、「著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態」
「Ⅲ」が45.7%とほぼ半数を占めています。次に「Ⅳ」の24.5%、「Ⅱ」の19.3%と続いています。この調査結果によると、特養入所者の98.3%は、軽度も含めた認知症であるということになります。
入所者の年齢や、入所の期間は?
次に、年齢構成はどうなっているでしょうか。下の図をご覧ください。

*公益社団法人 日本看護協会 医療政策部「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書」(2015年)<クリックで拡大>
「85~94歳」が49.7%を占めています。次に、「75~84歳」が28.0%、「95歳以上」が14.7%、「65~74歳」が6.5%という状況です。
2016年7月発表の最新データによると、日本人の平均寿命は、女性87.05歳、男性80.79歳なので、平均寿命を超えた高齢者が多くを占めていることがわかります。
入所期間は、下の図のような状況です。

*公益社団法人 日本看護協会 医療政策部「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書」(2015年)<クリックで拡大>
「3年以上」が40.0%と最多です。次に「1~2年未満」が20.6%、「2~3年未満」が14.9%、「6カ月~1年未満」が11.7%です。比較的、分散している傾向です。
以上を総合し、特養入居者の平均的なプロフィールをまとめると以下のようになります。
「年齢は80代後半で、要介護度は4、認知症高齢者日常生活自立度はⅢのレベルにあり、入所期間は3年程度」
特養入居を考えている場合、この平均的なプロフィールと比べてどうなのか。検討する際のひとつの材料にしてください。
●特養について詳しく
→「特別養護老人ホーム(特養)」の特徴・メリット・費用
●特養の入居待ちが待てないときは
→特養の入居待ち…空くまで待てない時はどうしたらいい?~入居の悩み相談室
<構成・文:髙橋光二>
老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。
●本人と家族にぴったりの老人ホームを探すには → 良い老人ホームの「見つけ方・選び方」
●介護業界の著名人や有名人にインタビュー → 私が思う「良い老人ホーム」
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