28回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
前回は、「老人ホームへの入居の経緯や、役立った情報」について見てみました。
今回は、「老人ホームでの生活」について探っていきます。
老人ホームでの外出の頻度や食事の場所は?
まず、老人ホーム入居者の外出や外泊の頻度について見てみます。下の図をご覧ください。

*公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームにおける前払金の実態に関する調査研究事業報告書」平成26年<クリックで拡大>
「週に2~3回」という人が、介護付(有料老人)ホームでは25.7%、住宅型(有料老人)ホームでは20.4%、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では24.5%と、それぞれ最多もしくは2位。介護付の場合は「ほとんど毎日」という人が17.2%おり、約43%の人が週2~3日以上外出していることになります。
一方、「ほとんど外出しない」という人も、介護付の18.6%、住宅型の27.0%、サ高住の20.7%を占めています。「月に1回程度」を合わせると、“外出は月1回以下”という人は、介護付の約30%から住宅型の約47%まで、かなりの割合を占めていることになります。
前回、入居時に要介護認定を受けていた入居者の割合を見ました。要介護認定を受けている割合が多い順に、住宅型、サ高住、介護付きとなっていました。つまり当然ですが、自立者が多いほど、外出の割合も多いといえます。
次に、食事。「ほぼ毎食ホームで食べる」という人が、介護付は64.2%、住宅型は83.2%、サ高住は78.1%と、2位以下を突き放し、それぞれ圧倒的に多くを占めています。ホームで食事をしない場合は、それぞれ外食をするという人が多いですが、介護付は自炊、住宅型はデイサービスなどの通所施設で食べるという人も少なくありません(図略)。
自費で負担する生活支援サービスは、何を利用している?
次に、介護保険サービス以外の、自費による生活支援サービスの利用状況について見てみます。まず、介護付は25.2%、住宅型は32.1%、サ高住は35.6%の人が、自費による生活支援サービスを利用しています。
それ以外の約70%の人は、介護保険サービスのみ、もしくは自立した生活を送っているということになります。
では、利用している自費サービスの中身をみてみましょう。

*公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームにおける前払金の実態に関する調査研究事業報告書」平成26年<クリックで拡大>
3つのホームとも「食事提供」「洗濯・掃除などの家事」が50~60%程度にのぼっています。「買い物代行」「健康管理」は介護付では40%以上を占めていますが、サ高住では30%以下と差が見られます。
食事や洗濯、掃除は毎日のこと。たとえ自費でもサービスを受けたい人が多いのでしょう。
<構成・文:髙橋光二>