16回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
前回は「老人ホーム入居者の年齢、要介護度」について見てみました。
今回は、「老人ホームに、認知症や特別な医療が必要な入居者はどれくらいいるか」について探ってみます。
老人ホームに入居する認知症高齢者はどのくらい?
まず、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)入居者の、認知症の割合について見てみます。
その前に、認知症高齢者の「日常生活自立度」について確認をしておきましょう。
「日常生活自立度」とは、文字通り認知症高齢者が日常生活をどの程度自立して送ることができるかを表す基準。逆にいえば「どれぐらい介護の度合いが高いか」を表しているともいえます。
基準の内容については、下の表をご覧ください。表の上(I)から下(M)にいくに従って、自立度が低くなります。

厚生労働省「認知症について」平成21年<クリックで拡大>
その上で、下の図をご覧ください。

*公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」平成25年<クリックで拡大>
これは、ホームの種類別に、入居する認知症高齢者の日常生活自立度の分布について調べたものです。
「日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる」状態である「Ⅱ」以上の認知症の入居者は、「介護付き(有料老人)ホーム」では50.7%、「住宅型(有料老人)ホーム」では 58.4%と半数以上を占めていることがわかります。「サ高住」でも4割近くを占めています。
前回、ホームの種類別に、入居者の要介護度の状況について触れました。そこで、介護サービスを外部の事業者が行う「住宅型有料老人ホーム」や「サ高住」に、要介護3以上が多いことについて以下のように説明しました。
“(住宅型有料老人ホームやサ高住で)要介護度が高くなったときにもケアできる体制の施設が増えているということ。これらの施設は、要介護度が重度になると費用が高くつくという特徴があるが、最近では介護保険の限度額内におさまるプランを設ける住宅型なども出てきている”
住宅型有料老人ホームに認知症の割合が多いのも、同様のことが言えると考えられます。
老人ホーム別に見た「医療」の傾向は?
次に、“特別な医療を受けている入居者が1人以上いる”老人ホームやサ高住の割合について見てみます。

*公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」平成25年<クリックで拡大>
これによると、「介護付き(有料老人)ホーム」の61.9%に、胃ろうなどの経管栄養を受けている入居者がいることがわかります。同じく、酸素療法を受けている入居者は45.4%、(痰)吸引処置は41.8%です。
一方、「住宅型(有料老人)ホーム」の場合は、最も多い処置である経管栄養を受けている入居者は25.4%と、介護付きの半数以下。「サ高住」も最多の酸素療法が24.9%で、介護付きの半数程度という状況です。
以上をまとめると、こんな傾向が言えます。
・住宅型有料:認知症はあるけれど身体は健康、という人が多い
・介護付き有料:身体機能も衰え医療面でのケアが必要な人が多い
・サ高住:2種類の有料老人ホームに比べ、心身ともに症状のない・軽い人が多い
それぞれに特徴がありますね。
また、「介護付き有料」を中心に、特別な医療が必要となっても問題なく入居し続けられる老人ホームや住宅が一定数、存在していることがわかります。それらの施設では、外部の医療機関の連携が取れているといえます。
このことは、親の介護を考える子ども世代にとって、一つの安心材料といえるかもしれませんね。
<構成・文:髙橋光二>
老人ホームを検討される方は・・・
老人ホームや高齢者向け住宅を検討中の方は、こちらのページも、ぜひ参考にしてみてください。
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