10回目を迎えた、“親の介護の最新事情”がわかるシリーズ企画。介護に関わるさまざまな情報を、データを通じて客観的に見ていきます。
「一人暮らしをしている親は介護についてどう考えている?」を探ってみた9回目に続き、今回は「同居者を介護する人の“介護時間とストレス”」の実情について探ります。
60%以上の人が「悩みやストレスがある」
まず、1日のうちで介護にかかる時間がどのくらいかを、要介護度別に見てみます。下の図をご覧ください。

*厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年<クリックで拡大>
同居の場合、介護度が高まるにつれて、介護者の介護に要する時間も増えていることが一目瞭然です。
特に、「ほとんど終日(介護している)」という人は、介護度が上がるごとに、その人数が大幅に増えていく傾向にあることがわかります。
次に、少し古いデータになりますが、介護者の悩みやストレスの状況について、男女別に見てみます。下の図をご覧ください。

*厚生労働省「国民生活基礎調査」平成22年<クリックで拡大>
同居の家族の介護をしている人は、全体で60%以上の人が「悩みやストレスがある」と回答しています。男女別では、女性の方が9.5%高くなっています。また、40~50歳代の場合は65.4%と、他の年代を含めた全体よりも4.6%高くなっています。介護者の年代によって悩みやストレスの度合いが異なることに注意が必要です。
一家を支える男性は“仕事”や“収入”の悩みも
では、どういった悩みやストレスがあるのでしょうか。下の図をご覧ください。

*厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年<クリックで拡大>
男性、女性とも「家族の病気や介護」が7割以上を占めています。圧倒的に多くの人が、自分のことよりも親や配偶者の病気や要介護状況を心配し、思い悩んでいる様子が伺えます。
男性が女性よりも数値が高い項目に、「収入・家計・借金等」と「自分の仕事」があります。仕事は収入源ですから、この両者は相関しているといえるでしょう。つまり、「介護に時間を取られることで仕事に支障を来し、収入にも影響が及んでいる」という構図が見て取れます。男性は、家計を支える立場であることが多いために、このような結果になったと想像できます。
なお、平成22年の本調査では、介護者の仕事の状況も調べていますが、「仕事なし」の人が57.6%を占めています。「一般常雇者」は17.0%。“仕事と介護の両立”の難しさが浮き彫りになっているようです。
*一般常雇者:雇用期間について別段の定めなく雇われている者。
次回は“仕事と介護の両立”の状況について探ってみましょう。
<構成・文:髙橋光二>