介護離職をしないために
仕事と介護の両立を支援するために、法律で決められている制度があるのをご存知でしょうか?
育児・介護休業法により、以下の3つの制度・措置が定められています。
【介護休業制度】
労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態にいたるごとに1回、通算して93日まで介護休業を取得することができる。
【介護休暇制度】
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話(*)を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度として、介護休暇を取得することができる。
*その他の世話とは、通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等
【介護のための勤務時間の短縮等の措置】
事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、就業しつつ対象家族の介護を行うことを容易にする措置として、対象家族1人につき、介護休業をした日数と合わせて少なくとも93日間利用可能な勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない。
「介護のための勤務時間の短縮等の措置の措置」では、「事業主は短時間勤務制度等の措置として、以下のいずれかの措置を講じなければならない」と定められています。
1. 短時間勤務制度
2. フレックスタイム制度
3. 始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤の制度)
4. 介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成 その他これに準ずる制度
育児・介護休業制度は、すべての事業主に義務付けられています。あなたが雇用される立場であれば、原則として勤務先の職場にもこうした制度が導入されているはず。ぜひチェックしてください。
これらの制度が利用できれば、従来どおりの就業形態でも、ある程度の物理的な負荷を低減させることはできるでしょう。
介護休業や介護休暇だけでは休みが足りない?
しかし、これらの制度だけですべてが解決するわけではありません。制度を利用する際に、気を付けるべき点もありますので、以下ご説明します。
まず、「介護休業制度」。
“休業”ですから、当該期日分の賃金は保障されるわけではありません(就業規則や労働協約による)。ただし、一定の要件を満たした人には「介護休業給付金」が支給されます。詳しくは下記の資料を見てください。
介護給付の内容及び支給申請手続きについて(pdf)
介護休業の上限日数は93日ですが、介護は数年に渡ることがほとんどです。この日数では足りないこともあるため、介護保険サービスを上手に利用してできる限り心身の負担を減らすようにしましょう。
次に、「介護休暇制度」。
これも賃金が保障されたものではありません。また、家族1人につき5日という日数は、介護そのものをするためのものではなく、要介護認定の手続きや、介護施設を探すなどのためにある、という位置づけです。
しかし手続きを5日間で終わらすことができない可能性もあります。足りない場合には有給休暇なども利用して、まずはしっかり準備を整えるようにしましょう。
介護離職を防ぐには?
介護と仕事の両立で重要となるのは、一言でいえば“ワークライフ・バランス”。つまり、仕事と生活を調和させるためのバランスです。
また、介護保険制度を上手に利用して、外部の介護サービスや介護施設を活用することが不可欠といえるでしょう。
まず介護は、自宅で家族中心に行う「在宅介護」と、施設に入居して行う「施設介護」に大別されます。
「在宅介護」の場合、介護をする家族が出勤中は、親にはデイサービスなどで過ごしてもらうことが中心となるでしょう。この場合、朝9時前後に施設の迎えがきて、17時頃に送り届けてもらうことが多くなります。
しかしこの時間帯であれば、多くの人は短時間勤務が必要になります。難しい場合には、他の家族に見守ってもらえるように協力をお願いするか、訪問介護サービスを利用するなどするとよいでしょう。
一方、介護が必要となった親に、介護や見守りが可能な場所(老人ホーム、グループホームなどの施設)へ住み替えてもらい、介護の負担を大幅に軽減する「施設介護」という手段もあります。
いずれにせよ介護しながら働き続けるには、介護休業や介護休暇、短時間勤務、そして介護サービス・施設の活用が不可欠といえます。