この記事をご覧になっているあなたは、少なくとも親の介護が気になり、情報を集めている方だと思います。あるいは、もっと切羽詰まっている状態かもしれません。
いずれにしろ、準備を整えようと情報を探すあなたは、親の介護問題を解決するための第一段階をクリアしているといえます。
なぜならば、世の中には「うちの親はまだまだ元気。介護なんて意識したこともない」という30~40代がとても多いのです。
ですが、介護は突然やってきます。親が突然の病気やケガで入院し退院後に介護が必要になったり、久しぶりに実家に顔を出して親の認知症に気づいたり。
いざというときに慌てないためには、介護を“自分ごと”としてとらえることが、まずは不可欠です。
介護は“他人ごと”では済まされない問題だということは、下のグラフからわかります。
年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合

厚生労働省「平成29年度 介護給付費等実態調査の概況」
要支援・要介護となる高齢者は、75~79歳までは10%未満ですが、80歳前半には男性16.0%、女性23.4%まで増加します。80代後半の女性では半数近くです。
夫婦2人に対して親がそれぞれ2人いるとすると、親の人数の合計は4人。80代になると、4人のうちの誰かに介護が必要になってもおかしくありません。
もうひとつ、別のグラフも見てみましょう。
日本の高齢化率の推移

内閣府「平成30年版高齢社会白書」
日本は世界最高の高齢社会の国で、2025年に高齢化率は30%に達すると推測されています。つまり日本の人口10人のうち、3人が65歳以上ということです。
この数字を見て、「自分にとって介護は遠い話」といえるでしょうか?
“誰が介護するのか?”という重い問題
介護が誰にとっても無縁ではないと確認できたところで、さらに踏み込んで考えなければならない問題があります。“誰が介護するのか?”という、とても重い問題です。
一昔前の日本社会には、親の介護は嫁の役割といった認識がありました。しかし、2014年は共働きが1,114万世帯と、687万の専業主婦世帯を大幅に上回っています。以前は共働きは少なく、専業主婦世帯が多数でした。それが徐々に逆転していき、その差はさらに広がろうとしています。
妻も仕事で忙しいですし、仮に妻が専業主婦だとしても、親の介護を全面的に任せてしまうのは過剰な負担となり、問題が大きいといわざるを得ません。
では、どんな点が大きな負担となるのでしょうか。
●介護をする上で困難や負担を感じる理由

川崎市健康福祉局(平成25年度 川崎市高齢者実態調査 報告書)
「精神的にもたない」「体力的にもたない」と感じる人が44%を占めています。「介護ロボット」が普及し始めているのをみてもわかるとおり、入浴や排泄、着替えなどの身体介護は重労働である上に、精神的にも負荷の大きいもの。さらに、認知症を患っていれば、その負荷は倍加するといっても過言ではありません。
介護はとても妻一人に任せきりにできるものなどではないのです。
介護が必要になったら誰が介護するのか、在宅なのか施設なのか、介護の費用は誰が出すのかなど、決めなければならないことがたくさん出てきます。
介護は発生したら待ったなしです。何も準備していない中で突然介護が必要になると、介護のために仕事を辞める介護離職(介護退職)という事態にもなりかねません。
親が要介護となる前から、先回りして準備をしておくことが極めて大切です。また、事前に情報収集をしたり心構えができていれば、介護はきっとスムーズになるでしょう。