
ボランティアの情報を提供している森玲子さん
長く社会生活を送ったシニアの中には、定年退職を機に「お世話になった世の中に、何か恩返しをしたい」と考える人がとても多くいます。そんな人にお勧めなのが、ボランティア。仕事と違い、報酬は得られませんが、その代わりに得られるものも多いでしょう。
リタイア後も活動を通して社会と関わりを持つことができ、社会の役に立てるだけでなく、仲間もできて生きがいが生まれ、老後の生活がより豊かになるといえます。
しかしながら、「ボランティア活動には、どんなものがあるの?」「どうやって探せばいいの?」「自分にできるボランティアとは?」などと、わからないことも多いかもしれません。
そこで、ボランティアの上手な見つけ方や、どんなボランティアがあるのかを、*東京ボランティア・市民活動センターの相談担当専門員の森玲子さんに伺いました。
*東京ボランティア・市民活動センター
ボランティア・市民活動・NPOと、市民・コミュニティをネットワーキングするセンター。東京エリアを中心に、様々な団体や機関とのネットワークを図りながら、ボランティアや市民活動の推進・支援を行っている。
「ボランティア活動の未経験者の中には、『1回行ったら辞められなくなるのでは?』『経験も体力もないけれど、自分にもできるの?』といった不安を感じられる方がたくさんいらっしゃいます。そういった方に、当センターでは活動に安心して取り組んでいただけるよう、わかりやすく情報をご提供しています」と森さんは言います。
ネットや地域の支援センターで探せる
インターネットが発達している今は、ボランティア情報もネットで探す人が大半です。同センターのホームページにもボランティア募集情報が掲載されています。
「募集人員が満たされれば募集を中止したり、新たな募集があったりなど情報は日々更新されていますので、ネットは最新の情報を手軽に知るには便利です」
しかしながら、「情報がたくさんありすぎてどれにすればいいかわからない」という人も。そんな人は、各地にある支援センターに行って相談するとよいでしょう。東京都の場合、23区や市町村にボランティアを支援するセンターが設けられています。
「お住まいの近くにあるセンターでは、各地域に密着したボランティア情報が多く集まるので、身近なエリアで活動したい、地域デビューをしたいという方には最適かと思います。相談に来られた方の得意なことや趣味などを伺い、合いそうな活動を一緒に探してくれます」
一方、「環境に役立つことをしたい」「国際協力に携わりたい」「福祉活動をやってみたい」といった希望する分野や活動テーマがある人は、東京ボランティア・市民活動センターのような広域系の支援センターや、特定の分野に特化した専門のセンターに相談してみるものおすすめです。
●東京ボランティア・市民活動センター 「地域の情報と相談窓口」のページ
ボランティア探しの注意点
森さんによると、「特技を生かした活動をしたい」という場合、注意点があるそうです。
「いきなり『自分の特技で活動したい』と申し込むと、ボランティア先から大いに期待されて重大な仕事を任されて、『抜けられなくなっちゃったなあ…』という気持ちになることもあるかもしれません。まずは一般の活動に参加して、その団体の雰囲気や様子をみたり、関係を深めていく中で『実は、パソコンが得意で…』など、自分からできることを提案するのもアリです」
また、活動を探す際は、分野のほかに活動場所・地域や「平日昼間」「週末だけ」などの時間、「週1回」「月1回」といった頻度も考えておくとよりスムーズに探せます。
ボランティアの種類としては、環境、福祉、国際協力、教育など様々な分野がありますが、囲碁、手品や落語、イベントの司会など特技を登録しておくと随時活動募集を送ってきてくれる団体や、「将棋の相手をする」といったサークル活動的な団体などもあります。
「好きなことをして人に喜ばれるので、とても人気がありますね」と森さんは言います。
まずは、どんなボランティア活動があるのかを調べてみるといいでしょう。
次回は、シニアのボランティア活動団体「ジービーパートナーズ」をご紹介します。お楽しみに!