老若男女問わず、人気の遊び『麻雀』。デイサービスでもおなじみですね。そんな麻雀好きに朗報と言えそうな調査データが、今月12日に日本早期認知症学会で発表されました。
オンライン麻雀が脳の認知機能に良い影響を与える可能性があるという検証結果で、発表したのはレデックス認知研究所所長の五藤博義氏。
この検証は、オンライン麻雀『Maru-Jan』(マルジャン)を日常的にプレイしている484人の男女を対象に、2013年5~7月に脳の認知機能との相関関係を検証したものです。
その結果、一般の方は年齢とともに、さまざまな能力が下がる(数値が下がる)傾向があるのに対し、『Maru-Jan』をプレイしている人は、必ずしもそうなっていないことがわかったのです。
「視覚性注意力」(物事を処理する際に視覚情報に注意する能力)、「短期記憶」(約20秒間という短期間保持される記憶)、「エピソード記憶」(事実と経験を保持する“宣言的記憶”の一部であるイベントの記憶)において、年齢が高いほどテスト結果の数値が高いことが確認されました。

年齢別の「視覚性注意力」と「短期記憶」の測定テスト結果

年齢別の「エピソード記憶」の測定テスト結果
一方、「ワーキングメモリ」(情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構想概念)には、相関関係は見られませんでした。

年齢別の「ワーキングメモリ」の測定テスト結果

シグナルトークの栢社長
五藤氏とともに今回の検証を実施した、『Maru-Jan』を開発・運営している株式会社シグナルトーク(東京都大田区)の栢孝文(かや・たかふみ)社長は、次のように説明します。
「今回、明らかにしたのはあくまでも“相関関係”であって“因果関係”ではありません。つまり、『Maru-Jan』をやっているから数値が高くなった、とは必ずしも言えないということです。また、なぜ年齢が高くなるほど数値がいいのかもわかっていません。しかし、相関関係が認められるということは、何らかの因果関係がある可能性があります」
仮に因果関係があるとすれば、『Maru-Jan』が脳の認知機能を高めることに役立ったということになります。『Maru-Jan』をプレイすることで、脳を賦活し、“廃用萎縮”を防いでいることが考えられます。
外出できない高齢者が家で一人でも楽しめる
「認知症とよく混同されるものに『老人性うつ病』があります。これは、アルツハイマー病のように脳内に特定の原因物質が蓄積して起こるというものではない精神的な病気なので、『Maru-Jan』が症状の軽減に役立つ可能性はあるといえます。もちろん、麻雀やゲームが好きではないという方は対象外ですが」(栢さん)
オンライン上で麻雀を楽しめる『Maru-Jan』は、現在約70万人が利用。最近は特に50~70代の登録者が増えているといいます。
オンライン麻雀は、パソコンがあれば家で一人でも楽しむことができます。高齢になって麻雀仲間が減った、病気や足腰の不調で家を出られない、老老介護で家から離れられないといった事情がある場合も気軽に楽しむことができます。
さらに、他の麻雀仲間の存在をネット上で感じ心が癒されたり、スコアを競ったりする楽しみも。遊びながら認知機能に良い影響を与えてもらえるなら、こんないいことはありませんね。