帯状疱疹に罹りやすい人の特徴をまとめました。どんな病気でもそうですが、帯状疱疹も早期の治療開始が症状の悪化を防ぐために重要です。リスクの高い人は疲れなどをためないよう注意して生活を送り、帯状疱疹を疑ったらすぐに医療機関にかかることが大切です。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄/文:星野美穂>
高齢者、女性に多い帯状疱疹
帯状疱疹は、疲れやストレスなどで免疫が低下した人がかかりやすいといわれています。なかでも糖尿病患者さん、ステロイドや抗がん剤を使った治療を行っている患者さんは免疫が低下しているため、より発症しやすく重症化しやすいといわれています。
高齢者の発症も多い疾患です。宮崎県で行われた調査では、帯状疱疹にかかる患者さんは50歳代から急激に増え、70代、80代でピークに達するという結果が出ています。また男性よりも女性がかかる割合が高いという結果も出ています。
ほとんどの場合、帯状疱疹にかかるのは一生に一度ですが、まれに二度、三度の発症を経験する人もいます。
季節による変動は少ない疾患ですが、7月8月に比較的多い傾向もあります。これは夏の強い紫外線による影響が関係していると考えられています。
間違えやすい疾患は?
発症当初は皮膚症状がなく、ぴりぴり、チクチクと表現される痛みだけが表れることが多い帯状疱疹。そのため、痛みが出る部位によっては神経痛と間違えたり、カブレや虫刺されなど勘違いされることがあります。
帯状疱疹は症状の悪化を防ぐためにも、帯状疱疹後神経痛を予防するためにも、早期に治療を開始することが大切です。いつもと何か違うなと感じたら、すぐに皮膚科を受診することをお勧めします。
口唇ヘルペスとどう違うの?
帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種である「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因で発症します。ヘルペスと聞くと、唇の周りに水ぶくれができる「口唇ヘルペス」を思い浮かべる人も多いでしょう。口唇ヘルペスの原因は、「単純ヘルペスウイルス1型」で、「水痘・帯状疱疹ウイルス」と同じ仲間ですが、別の種類のウイルスです。
症状も、皮膚に水ぶくれを伴う発疹ができるところは似ていますが、口唇ヘルペスは唇の周りなど限られた場所でのみ発疹がみられることが多く、水ぶくれが破れたあとにできる傷(びらん)も浅いものです。
一方、帯状疱疹は広範囲に帯状に発疹が表れ、水ぶくれが破れたあとが深い潰瘍になることも少なくありません。
口唇ヘルペスの治療には、帯状疱疹と同じ治療薬(抗ウイルス薬)を使用しますが、帯状疱疹よりも少ない量で治療を行います。
【参考】
横浜市衛生研究所
日本医師会健康の森
大規模帯状疱疹疫学調査「宮崎スタディ」
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